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2023-10-05、3回目の月命日

2023年、7月5日10時48分。
ノエルが亡くなった日…あれからもう3ヶ月。
8月22日がノエルの49日。
10月5日は3度目の月命日。

もう3ヶ月。
でも、まだ3ヶ月しか経ってないとも感じる。

正直なところ僕は無宗教だし49日もへったくれもない。

もし49日で生まれ変わるというなら生まれ変わってまた僕のところに来てほしいと思うし、そもそも僕は死んだことがないから輪廻転生とかあるかどうかも分からないわけで、なんなら何かしらの形で僕のそばにずっといてくれ、とは思う。

だいたい猫は人間の都合など関係ないだろうからね。
猫飼いさんあるある的な話だけど、買ってきたベッドより入っていたビニール袋の方を気に入ってしまいベッドはそっちのけ、かと思えば忘れた頃にベッドに入って寝てるのが猫というもの。

自由になったノエル、だから自由にしておくれ。
もし気が向いたら近くにいておくれ。
そして好きなだけ僕のそばにいてくれ、という気持ち。

ただ、やっぱり寂しい。
ノエルに会いたいとずっと思ってしまう。
切望しても叶わぬ願いだとは自覚しているけど、会いたいよ。
また君に触れたい。
差し出した僕の手に、また擦り寄って欲しい。

虚しいのは分かっているけど、いないのに名前呼んでしまう。

自室に入って、いないと分かっているのに出窓のカーテンを開けてる。
その中で、いつものように日向ぼっこしてないかと見てしまう。
毛だらけの古いジーンズしかないのは分かっているのにね。

いつも外を見ていたキッチンの出窓に骨壷を置き、祭壇にしている。
まだ遺影が用意出来てなくてごめんね。
写真をじっと見たり細部の加工をしていると辛くて…。
編集ソフトで拡大して切り抜きをしていたら毛束の感覚が手に蘇るんだ。
触れそうで触れないのがもどかしくてね。

祭壇にある、カリカリをお供えしているノエルの食器。
いつも奥へ寄ってしまったご飯を手前に寄せていたノエル用のスプーンを使って『ちん、ちりりん』と仏壇のおリンの代わりにしている。

花を飾り、猫の小さなフィギュアや、頂いたプリザーブドフラワーを置き、
少しでも寂しくないようにと華やかにしてあげている。
直射日光が当たらないように猫柄のカフェカーテンをかけた。
丈が短かったけれど、これならノエルは外が見えて都合がいいかなって。

ちょっと千切ってあげていたお菓子とかも買ってきたらお供え。
ゆで卵を作ったら、好物だった黄身を小皿にのせてあげる。
月命日にはちゅーるを出す。

もう、それくらいしか出来ないけれど。

時折、骨壷を抱いてあげる。
なんとなくだけど、抱いてるとじんわり温かく感じる。
僕の気持ちの問題だろうけれどね。
ノエルの体とは違って、小さくて固くて冷たい壺だから。

出かける時は、生前いつも言っていた
「留守番よろしくね」「温かい(涼しい)ところにいなよ」
「帰ってきたら撫で撫でしようね」
と骨壷に手をおいて、話しかけてから出かけている。

身体が失くなってしまったノエル、残ってるのは骨の入った骨壷と、
あちこちに残る毛。
あとは遺影とお守りにするために切った遺毛、抜け落ちたのを見つけるたびに集めていたヒゲくらいか。
他はもう、この世界には残っていない。
もう触れられないのがもどかしい。

下の階で洗濯をしていたら階段を下りる足音が聞こえて、ひょこっと顔を出しそうに感じる。
時々、階段を降りる時のトットットという足音が聞こえるように感じるよ。

部屋移動のドアの開け締め、視線はいつも下に落ちる。
いつも足元にいて、ドアから入ったり、中から出てきたりしていたから。
その習慣はまだ抜けない。

掃除機の集塵カートリッジには少ししかホコリが溜まらない。
そんなことすら寂しく感じてしまう。
ノエルの行き来で部屋も階段もマメに掃除していたけれど
掃除する回数もすっかり減ってしまったな。

家に帰宅してもいない姿を自然と探してしまう。
いない現実を突き付けられるようで、家に帰ることが辛く思うこともある。

いつも寝ていたお気に入りのダンボール箱、ノエルの自重で凹んでしまったところにまだいるように錯覚してしまう。
まるで凹んでる場所に見えないノエルが寝ているみたいに思える。

トイレの猫砂も、最後に踏ん張った足跡がそのまま残っている。
亡くなる前の晩にした、最後のトイレのそのままの状態で。
処分など出来るはずもなく…。

……わずか6年半、されど6年半。
ずっといたノエルの存在感、その当たり前だった日常が無くなった。

いない当たり前が、重く辛く、虚しい。

仕方のないことだとは分かっていても、感覚や記憶が掠れていくのが辛い。
ノエルの時間は終わり、あの時で止まってしまった。
僕からどんどん離れていくような感覚がする。
もちろん忘れたりはしないけど、薄らいでいくのがまた寂しい。
ノエルのいた日常に上塗りされていき、いなくなった日常で薄まっていく。

毎日毎日、1日に何度も撫でていた、柔らかくフカフカで暖かい感触。
長くて温かい毛越しに感じる体温、しなやかな筋肉と固い骨。
真っ白でモフモフの手、少ししっとりした肉球。
指の一つ一つが小さくて、でも骨と爪が確かに固くて。
ふにふにとよく手を握っていたものね。

いつも撫でる度に「撫で甲斐があるな」と感じた、ノエルの大きな体。
ノエルの性格のように優しさに満ち溢れる手触りだった。
どれだけあの手触りに救われていたか。
もう触れないと思うと寂しいよ。

手を差し伸べたら、ノエルの顔の感触が指先と手のひらに蘇る。
ザラザラして濡れた鼻、ヒゲの硬い感触、大きな牙の先がわずかに当たる。
まぶたと頬の毛束の感触を過ぎると肩から背中、尻尾へ。
撫でようとするとノエルは半身を向けて迎えてくれていたし、
撫でてる最中は手に身体を預けてくれて体重を乗せてくれたよね。

彼のいない世界…
体の一部が失くなったような、色が1つ抜け落ちたような、
感覚を1つ失くしてしまったような、そんなふうに虚しくて空しい。

悲しむより、ありがとうを伝えてるつもり。
それでもやっぱり、悲しいよりも、淋しい。

息を引き取る瞬間を看取り、骨を拾い、壺に納めた。
頭では分かっている、彼の肉体はもうここには無い。
ノエルは亡くなったのだからと。
でも、気持ちはまだ慣れない。

ノエルに会いたい。
叶わない願いを切望してしまいます。

ノエルの記事をマガジンとしてまとめてみることにしました。
現時点ではまだ2つしかありませんが…
今後、月命日を目安にノエルについて書こうと思います。
https://note.com/yoshihiro_y/m/m15df6bad9bcb

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