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LIVE 61 「あの日、国際司法裁判所で何が話されたのか?」第二部

次のライブは、LIVE 61 「あの日、国際司法裁判所で何が話されたのか?第二部になります。

Keep talking about Palestine

パレスチナについて語り続けましょう。

「パレスチナ人のために何かしたいが何も出来ない、無力感に打ちのめされる」というような投稿が少なくないです。自分もそう感じているという人も少なくないでしょう。

でも、一つだけ誰でも出来ます。パレスチナで起きていることを語り続けることです。彼らは過去80年近く、何度も何度もまったく理不尽な目にあわされ、何度も何度も世界から忘れられてきました。そして、その結果が、今起きている人類史上でも稀にみる大惨事とも言えるでしょう。


南アフリカによる緊急要請

2024年2月12日、南アフリカ共和国が国際司法裁判所に、"URGENT REQUEST FOR ADDITIONAL MEASURES UNDER ARTICLE 75(1) OF THE RULES OF COURT OF THE INTERNATIONAL COURT OF JUSTICE"を提出しました。国際司法裁判所規程75条(1)に基づいて、追加措置を緊急に要請するということです。従って、これまでの流れは以下のようになります。最後の赤字の部分が今回の緊急要請です。

前回の暫定措置の命令が公判から2週間後に出されたので、今回の南アフリカの申し立てが、追加的措置の緊急要請であることと、「極めて緊急な場合には、口頭審理を行わず」に暫定措置を命じることが出来る判例が確立していること(LaGrand事件)を考慮すると、今回も国際司法裁判所は、かなり早く、2週間くらいで決定を出すかもしれません。

今回のLIVE 61「あの日、国際司法裁判所で何が話されたのか?第二部では、追加措置の緊急要請とそれに対する国際司法裁判所の決定(もし出ていたら)も含めて見ていこうと思います。

なぜ緊急に追加措置が必要なのか?

南アフリカ共和国の国際司法裁判所に提出したドキュメントには、なぜ南アフリカがイスラエルに対する緊急の命令を国際司法裁判所に求めるかの背景が説明されています。今回のLIVE 61 では、これについても原文に沿って説明しますが、南アフリカは世界中でイスラエルの残虐な行いに反対している人たちの代表として、国際司法裁判所に緊急措置の命令を出すように訴えていると言えます。

イスラエルはガザの住民を南の国境へ避難しろと言ってきました。その国境の街がラファです。元々人口が28万人くらいの街です。そこに今140万人のパレスチナ人がいます。ガザの北方は危険だから南へ行けとイスラエル政府に言われて逃げてきた人たちです。

1月26日に国際司法裁判所がイスラエルに対して行った命令は、「パレスチナ人を殺すな、パレスチナ人に精神的にも身体的にも危害を加えるな、パレスチナ人の生活環境を破壊するな、パレスチナ人の出産の妨害をするな」等々を含む命令です(下記引用参照)。しかも、「イスラエルは直ちに、自国の軍隊が上記のいかなる行為も行わないようにしなければならない」と念を押しています。

これを日本では国際司法裁判所は「軍事作戦の即時停止は命じなかった」と報道します。人は殺してはいけない、傷つけてはいけない、破壊してはいけないが、軍事作戦は続けて良いという解釈が詭弁にもならない。軍事作戦を因数分解すれば、それら全てが国際司法裁判所の命令に含まれていることが分かります。

国際司法裁判所がこのような言葉遣いをする理由は、これがジェノサイド条約を根拠にしているからです。南アフリカの主張は、イスラエルが行っている軍事行動はジェノサイド条約に違反しているということです。南アフリカは、ジェノサイド条約の条文に従って、何がどの条文に違反しているのかということを示しています。それに対して、国際司法裁判所の命令文も当然、ジェノサイド条約の文言を忠実に使っています。

The Court considers that, with regard to the situation described above, Israel must, in accordance with its obligations under the Genocide Convention, in relation to Palestinians in Gaza, take all measures within its power to prevent the commission of all acts within the scope of Article II of this Convention, in particular:

(a) killing members of the group;
(b) causing serious bodily or mental harm to members of the group;
(c) deliberately inflicting on the group conditions of life calculated to bring about its physical destruction in whole or in part; and
(d) imposing measures intended to prevent births within the group.

The Court recalls that these acts fall within the scope of Article II of the Convention when they are committed with the intent to destroy in whole or in part a group as such. The Court further considers that Israel must ensure with immediate effect that its military forces do not commit any of the above-described acts.

ORDER 2024 26 January General List No. 192


2月9日、イスラエルのネタニヤフ首相は、その140万人のパレスチナ人が避難している小さな街を攻撃する計画を発表しました。人間がこれほど邪悪なことが出来ることの恐ろしさに世界は震えたのです(日本がどうだったかは知りません)。国連事務総長、パレスチナ地域の人権状況に関する国連特別報告者、UNICEF、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)、国連人道問題調整事務所(OCHA)、ノルウェー難民委員会(NRC) 、 セーブザチルドレンなど多くの組織が一斉に警告を発しました。ラファはまさにBloodbath(血の海)になるだろうと。

南アフリカ共和国が国際司法裁判所に緊急の追加措置を要請したのは、ネタニヤフ首相がラファ攻撃計画を発表した三日後です。政府というのはそんなに速く動けないものですから、これは異常に速い行動です。それくらい、南アフリカがこの事態を真剣に、深刻に捉えているということが分かります。彼らが世界の良識ある国の代表として戦ってくれていることが日本にあまり知られていないのが残念です。

参加要領

実施日時:2024年2月25日午後1時(実施日が変わりました)。
実施方法:Zoom
参加方法:
参加申込フォームに記入して下さい。開始時刻の6時間前が締め切りです。
参加料金:参加後に自分で決めることが出来ます。但し、零円以上いくらでも。

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