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アナリストが教える!「株価レーティングで1億円儲ける」3つのコツ


■アナリストレポートは玉石混交

 株式市場では国内外の証券会社やシンクタンク各社から毎日、多数のアナリストレポートがリリースされています。もともと、大口の売買注文を出す機関投資家向けに書かれていましたが、最近では一般の個人投資家にも提供されており、目にする機会も多いのではないでしょうか。

 アナリストレポートには、相場見通しやストラテジー、高度な金融工学を用い分析や予測を行うクオンツ、個別株に関するものまで様々な種類があります。特に個人投資家の関心を集めているのが、株価レーティング(投資判断)が付与されている個別株のレポートです。

 個別株のレポートでは、証券アナリストがファンダメンタル分析を基づいて個別株の企業価値を算出し、現在の株価に対する「割安・割高」から「買い(強気)・中立・売り(弱気)」などの株価レーティングを付与しています。

 レポートがリリースされた直後は、一時的に値動きが大きくなるため、こうしたレーティングの情報を材料に売買する個人投資家も少なくありません。ただし、銘柄によっては、寄り付きが天井になってしまうことも多々あるため、レーティングに期待して買ったら高値を掴んでしまったという経験がある方も多いのではないでしょうか。

 はっきり言うと「レーティング引き上げ=儲かる」は間違いです。「玉」よりも「石」の方が多いため、これだけでは勝率としては低いと考えた方がよいでしょう。しかし、「玉」と「石」を見分けることができたらどうでしょうか。勝率はぐんと上がります。

■株式市場への影響が大きい株価レーティングの定義


 
 株価レーティングの表記は証券会社によって様々です。一例を紹介すると、岩井コスモ証券では、買い(強気)から弱気(売り)の順に「A」、「B+」、「B」、「B-」、「C」の5段階としており、基準は半年以内にTOPIXを何%上回る(下回る)かです。

 東海東京調査センターでは、買い(強気)の順から「Outperform」、「Neutral」、「Underperform」の3段階に設定されています。基準は、岩井コスモ証券と同様に半年以内にTOPIXを何%上回る(下回る)かです。

 三菱UFJMS証券では、買い(強気)の順から「Overweight」、「Neutral」、「Underweight」の3段階。サブセクター内におけるパフォーマンスが基準となっています。ただし、中小型株については、「Buy」、「Hold」、「Sell」とアナリストの株価予想が基になっています。

 いちよし経済研究所では、「A(買い)」、「B(中立)」、「C(売り)」の3段階。アナリストが試算するフェアバリューに対して、どの程度株価が割安(割高)かが基準となっています。

 このように各証券会社で定義や基準があるものの、基本的には「売り」「中立」「買い」、「弱気」「中立」「強気」の3段階や、「やや弱気」、「やや強気」を加えた5段階で定義されることが多いです。

 日々、株式市場でリリースされるアナリストレポートは、業績予想の見直しなどにより株価レーティングや目標株価が引き上げられたり、引き下げられたりしており、株式市場に大きな影響を与えています。


■上昇株を発掘する3つのコツ


 株価レーティングや目標株価が引き上げられて株価が上昇することはよくありますが、ほとんどの場合は自動取引などによって瞬時に株価に反映され、寄り付きから買い気配になってしまうことが多くあります。無理に上値を追って買おうとすると、そこが天井だったということも多々あります。そのため、個人投資家の間ではアナリストレポートに対してネガティブな意見を持つ方も多いようです。

 しかし、すべてが刹那的な上昇で終わってしまうわけではなく、中には全員参加型に発展し、短期だけでなく、中長期でも大きく上昇するお宝銘柄もあります。その違いはなんなのか?株価レーティングを15年以上、研究しつづけて発見した3つのポイントを紹介します。このポイントを踏まえて投資をすれば、「玉」と「石」を見分けることができるようになり確率は格段に高まります。

①株価レーティング引き上げの理由


 値動きばかり見ていると、株価レーティングの引き上げ理由について関心が薄れがちですが、実は理由によっては、息の長い相場となることがあるのです。レーティングが引き上げられる際に記載されている内容は大きく見て2つあります。

 1つは株価下落によりバリュエーションが割安になった場合です。業績拡大シナリオに変化がなくても、外的要因によるショック安などで株式市場全体が下落するケースや、同業他社の不祥事などでツレ安したときなど、ミスプライスが発生した時によく見られます。

 またレポートで、業績面を評価しつつも、「株価が割高なため、レーティングは『中立』とする」という内容もよく見られます。普段からこうしたものをチェックしておき、全体相場が下落したときに押し目を拾っておけば、いずれアナリストが割高感が薄れたと判断し、レーティングを引き上げる可能性が高まります。

 ただ、こうした理由によってレーティングが引き上げられた銘柄は、上昇がそれほど長く続かない傾向があり、待ち伏せ買いに成功した場合は利益確定を検討してもよいでしょう。

 2つ目は業績拡大による場合です。一概に業績拡大といっても、短期的な話なのか、1~2年程度続くような中長期的な話なのか、また、市場が拡大しているのか、それとも新製品や新技術の開発など個別要因によるものなのか理由は様々です。

 短期的な理由よりも、中長期的な理由の方が投資家にとっては夢や期待が膨らむため、株価へのインパクトは大きくなる傾向があります。
 また、市場が拡大しているという理由は、アナリストが説明しやすく、投資家にとっても分かりやすいため、株価への織り込まれ方も早くなる傾向があります。逆をいえば、相場が早期にピークアウトし、高値掴みになりやすいともいえます。

 息の長い相場が期待できるのは、中長期かつ個別の要因で業績拡大が予想される場合です。個別要因の場合、新製品や新製品で市場でのシェアを高めたり、場合によっては他の市場へ垣根を越えて販路を広げることもあります。そうなると、業績への成長期待が一層高まり、思わぬ株価上昇につながることがあります。

 ただし、多い時には数十ページに及ぶアナリストレポートをすべて読むのはとてもじゃありませんが、現実的ではありません。効率かつ時間をかけずに内容を把握するためには、レポートの見出しやリードと呼ばれる導入部分に注目します。見出しやリードには、アナリストの主張したいことやレーティングの根拠などレポート内での重要なポイントが要約されています。ここでアンテナに引っかかるようなら、概要が記載されている最初の1ページ分だけでよいのでざっくりと読んでみましょう。アナリストが主張することに対する理由や根拠、背景が具体的に書かれていれば、それは質のいいレポートといえ、さらに信頼度は高まります。

 ごくまれではありますが、何を主張したいのか、内容がはっきりしないレポートもあります。この場合、企業が何らかの開示や発表を予定しており、こうした書けない情報をアナリストが持っている可能性も考えられます。ただし、アナリストの表現が下手なだけの場合もあるので、注意は必要です。

 また、いくらレポートの内容がよくても、その時の相場によって物色の柱が異なるため、株価へのインパクトが異なります。例えば、小型のグロース株について、ものすごく強気なレポートがリリースされても、相場のけん引役となっているのが大型のバリュー株だとしたら、思ったより伸びないということもあります。そのため、「大型株・小型株」、「グロース株・ バリュー株」、「景気敏感株・ディフェンシブ株」など、どのカテゴリーが物色の中心になっているのか、普段から意識しておくことが重要になります。

②目標株価との乖離の大きさに注目


 2つ目は、目標株価と現在の株価の乖離です。当然、目標株価が現在の株価より高ければ高いほどいいに決まっていますが、2倍近くになってしまうと逆効果になります。株価は刹那的に上昇しますが、短期で相場が終わってしまうことが多いからです。

 レポートを見てみると、通常+10~20%程度の乖離が多いですが、中長期的なパフォーマンスが良いのは+30~40%程度です。また、+10%程度の乖離の場合でも、各証券会社が高い頻度で小刻みに目標株価を引き上げているものは、長期的な上昇が期待できる場合があります。

 ただし、目標株価の乖離率が+30~40%だったとしても、株価レーティングが「新規」に付与されたときと「格上げ」されたとき、「継続」で目標株価のみ引き上げられたときで、短期的な株価の動き方も変わってきます。
 「新規」の場合は、寄り付き前から買い気配となるなど人気を集めるものの、寄り付きがほぼ天井になってしまうことが多く見られます。「継続」で目標株価のみ引き上げられたときは初動は緩やかですが、じりじりと息の長い相場に発展することが多いようです。あまりリスクを取りたくない方向けといえるでしょう。そして一番株価へのインパクトが強いのが「格上げ」の場合です。短期間で十数パーセント、場合によっては十数パーセント上昇することもあります。

 ここで注意が必要なのは、目標株価を算出するためのロジックです。通常、PER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)、EV(企業価値)がEBITDA(営業利益+減価償却費)の何倍とされているかを表わすEV/EBITDAなどのマルチプル法、DCF法(ディスカウント・キャッシュ・フロー)などによって目標株価を試算することが多いですが、バブル期になるとそれでは説明しきれなくなるため、新たな指標が出てきたりします。実際、2004年~2005年の新興市場バブルでは、高PERだけど高成長を考慮すれば割安株であることを判断するPEGレシオで目標株価を算出するレポートが相次ぎました。

③アナリストの影響力


 3つ目は担当のアナリストです。アナリストによっては鼻息荒い表現でレポートを書いたり、控え目に書いたりする方がいるなど多種多様です。アナリストによって癖を掴んでおくのも良いでしょう。例えば、いつも業績予想を控え目にしておいて、上方修正していく癖があれば、株価も上値余地があると考えることができます。またアナリストAがレーティングや目標株価を引き上げた後は、必ず他の証券会社のアナリストBが追随するというケースもよくあります。そのほか、強気なレポートを書くと株価は天井を付けることが多いアナリストなど逆指標となる方もいます。

 それよりも重要なのは、そのアナリストがどのくらい機関投資家のファンを抱えているかです。私が株を始めたころ、とても人気のある外資系のアナリストがおり、そのアナリストが強気なレポートを書いたら数日連続でストップ高が続くことがありました。そのため、レポートがリリースされた当日の寄り付きからストップ高買い気配になるのですが、途中で値が付くことも多かったため、株価水準が高くても、構わず成り行きで買いを入れていました。


■個人でもできる!株価レーティングの入手方法


 株価レーティングが記載されているアナリストレポートは基本、機関投資家向けに書かれているものであり、個人投資家はなかなか入手しにくいというのが現状です。無料の投資情報サイトでは、レーティングや目標株価に変更があった物のみ一覧で掲載しているところもありますが、具体的なレポートの内容を掲載しているところはあまり見かけません。

 しかし、個人投資家でも口座を開設するとレポートを入手することができる証券会社もあるようです。マネックス証券はJPモルガンのレポートを提供しています。また、いちよし証券や岩井コスモ証券、東海東京証券も口座を開設すれば、レポートを入手できるようです。

ぜひ参考にしてみてください。

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