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ハピネスダイアリー 2/2-3 2024

雨がくる虹がたつ

こいつにな 虹を入れるために 俺は旅をしているんだよ

大きなかめ(壺のような入れ物)を手で叩きながら虹郎はそう言った。

橋大工を勤める父親が虹に魅入られ、雨が降り出すと虹を求めて外を飛び出してしまう。雨が降らない日は水を浴びるように飲み、村のみんなからは気味が悪いと避けられるようになった。いつしか病気を患い、虹を追いかけることができなくなると、寝たきりとなってしまった。

虹郎自身、腕を怪我してしまい大工としては二流止まり。出来の良い兄が父親の代わりに、橋を建てるようになった。気付いたら虹郎の居場所は父親の隣で看病をすることしか無くなってしまった。

居場所が無くなり、虹郎は父親の代わりに虹を探す旅に出る。聞こえはいいが、自分に降りかかっている現実から「虹探し」という理由で逃げ出したのだ。理由がなけれは旅に出られない(自分の居場所を構築できない)虹郎は、目的もなく旅をしているギンコとぶつかる。

ギンコは流れ者。流れた先で目的を見つける。時には余暇を楽しむ。それが旅だと語る。
虹郎はギンコのことが羨ましいのだと思う。

虹の正体は虹蛇(こうだ)という蟲。
特に悪さはせず、生きているということ以外は自然現象で発生する虹とは一緒とのこと。ただ触れてしまうと取り憑く。近くの河原でたまたま虹蛇の根本を見つけた父親は、虹蛇に触れてしまい、取り憑かれたのだ。

幾度も雨を待ち、いよいよ虹蛇とご対面。
その美しさに圧倒され、惹きつけられた虹郎は虹蛇の中に入ってしまう。父親から受け継いだ性質なのか、追い求めすぎたのか、すでに虹郎も虹に魅入られてしまっていたのだと思う。ギンコのおかげで取り憑かれることはなかった。

自分にはどうにかできる代物ではないと知った虹郎は、これからのことは少し考えると言った。

西の国の暴れ川に、壊れぬ橋ができたという。
増水に合わせて、自動で橋の向きを変え、川の流れに身を任せる。その橋の名前は流れ橋

蟲師の第七話。虹をテーマにした話だから七回目に合わせたんだと思う。この話が大好きで何回も観ている。

感想ではなく、30分のアニメのあらすじを書くということをしてみた。みんなたのむから観てくれ

もう何年も虹を見ていない。
小学生の頃の記憶。土砂降りの後、太陽の光が差して、教室の誰かが「虹が出てる!」と叫ぶ。授業なんか忘れてみんなで虹を見た。
そんな神秘的な時間をもう一回過ごしたい。

虹とは空気中の水分が屈折と反射を繰り返してできるらしい。空に七色の橋がかかるって、そんな御伽話みたいなことが自然現象として存在している。こんなミラクルがあるこの世に生まれて本当によかった。

虹郎も父親も羨ましい。
何か一つのことに強烈に熱中してみたい。
そのことを前にすると全てを忘れて一直線に走り出したい。ギンコのように目的のない旅の先でたまに美しいものに触れたい。

私の前に虹蛇は現れてくれるだろうか。
東京にいる蟲はどんな姿をしているのだろう。

そんな自分も虹に魅入られてるのかもしれない。

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