さかなのこ。熱中するということ
「さかなのこ」という映画を観た。
さかなくんの自伝を元に作られた映画なのだけれど、本当に良かった。
何かに熱中し続けるとの大切さ、周りとの繋がり、愛されるということ、効率化とコスパに塗れたこの世の中に不足しがちな部分を思い出させてくれた。
熱中するということ
ミー坊(さかなくん)は魚のことしか考えられない。周りには優しい人しかおらず、誰一人としてミー坊を否定しなかった。
ミー坊になにか正論をかまそうとすると、「なんで?「なんでこれがいけないことなの?」などと全て質問で返される。そういう生意気なやつは小学生くらいの頃にはいたし、受け取り側もイライラすることが多いが、なぜかミー坊なら許せてしまう。そんな魔力が彼にはあった。
相手を困らせようとそうしているのではなく、ただ純粋に何が悪いことなのかが分かっていないのだ。父親はそれをなんとか矯正しようとしていたけれど、母親はひたすらミー坊を肯定した。作中で、気付いたら母親とミー坊の二人暮らしになっていたが、おそらくそういうことなんだと思う。母親だけではなく、周りの同級生もバイト先の熱帯魚好きのおじさんも、ただミー坊を肯定し続ける。
我が道を突き進むミー坊と、そんなミー坊を信じて応援する周りの人達。その絆が深まっていく過程で少しずつ仕事がもらえたり、ミー坊にいいことがあるとこっちまで笑顔になる。
この手の物語は、必ず挫折などもアクセントとして描かれるが、この映画はただ周りを巻き込みながら突っ走っていく。正直ミー坊が羨ましい。
いつからだろう、自分はこうあるべきだとか、社会人はこうでなければいけないだとか、年相応の態度をとらなければいけないだとかモヤモヤ考えるようになったのは。
ミー坊を羨ましいと思いつつも、自分の心の棘が何本か抜けたような、そんな心地の良い映画だった。
ギョギョ。さかなくんありがとう。
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