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一生分のエナガを見てしまう

12月に入り、やっとやるべきことを少しずつやれるようになってきた。

夏の暑さを言い訳に怠惰な半年を過ごしてしまったのだ。暑すぎて倒れるとかなんとか。しかしなにもしない割に麦酒の量は日に350Lから1000Lに増え、ほぼ20年不動の体重もじわじわ増えてきた。
暑さだけでなく、仕事や家庭のストレスも・・・などと言い訳しても始まらない。

とりあえず、サボっていた薪割りをやる。チェーンソーの整備もする。倉庫で半年眠っていたので、斧はサビサビだし、チェーンソーはオイル漏れがひどい。
それでも、数時間かけてなんとか使用に耐えられる状態にする。試しに玉切り&薪割り。おお、久しぶり過ぎて腰が痛い。

次の日。これまた半年振りにトレイルに出かける。朝五時に起きてまだ暗い道をイソイソと走る。吐く息は白いけどワクワクする。
東の空が白みはじめた頃に山に入る。山と言っても道は整備されているし比較的快適に走れる。・・・すぐに息が上がる。弱すぎる。
このフィールド、春は植物観察、冬は野鳥観察ができる。そんなわけで走りつつも双眼鏡はリュックに。
まずは池。今年もカモが入ってる。いつものマガモたくさん、カルガモたくさん、そしてなぜか一匹だけホシハジロ。もう5年以上この組み合わせだ。毎年孤独なホシハジロが気になって仕方ない。寂しくないのかな。たぶん平気なんだろうな。遠くの肉親より近くの隣人だよね、などとかなりどうでもよく、なおかつホシハジロに失礼なことを思っていたら、カワセミが弾丸のように視界を横切る。キラキラ。やっぱり美しい。

そして小道を走る。ヒヨドリ以外気配がない。
まあ、こんな日もあるよね、と冬枯れの紅葉を見ながら走る。(ほとんど歩く)

急に風向きが変わる。立ち止まる。遠くから徐々に近づく甲高くちいさな音。
「あ、きた」
群れだ、たぶん。
カラ類だ。
視界に白い塊が入る。コロコロしてる。慌てて双眼鏡を覗く。
あ、
エナガだ。シジュウカラよりふた回りくらい小さい。でも尾は長い。頭の頂点が白くて可愛らしい。
だんだん増えていく。シジュウカラ、コガラ。メジロもいる。
「コンコンコン」枝をドラミング。ヤマガラもいるじゃないか。贅沢な混群。
みんなひとところには落ち着かず常に動いている。小さい子どもみたいでニヤニヤしてしまう。
どんどん増えていく。この群れ、エナガが多い。あっちこっちで小さな綿毛がちょこまかしてる。双眼鏡でどこみてもエナガ。何て言う贅沢!
シジュウカラが多い群れは見たことあるけど、エナガをこんなにたくさん見るのは初めてだ。どこを見ても可愛らしい。たまらない。こんな贅沢一人占めしていいのかしらん。
朝日が紅葉と綿毛を照らしてキラキラしてる。かしましい声も心地いい。

たぶん時間にしたら3分くらい。
やがて群れは去っていった。
いやはや、一生分のエナガを見てしまったんじゃない?

おなか一杯になったので、トレイル散策どころではなくなり、夢見心地で帰途に着いたのでした。

全く運動にならない。

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