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自尊心が傷つきやすい人への処方箋 【自己愛の傷の癒しかた】

こんにちは、野口嘉則です。

今日は、
「自尊心やプライドが
傷つきやすい人への処方箋」
という話をします。


「自尊心やプライドが傷つきやすい人」
とはどんな人なのか。


特徴をいくつか挙げてみますね。

・批判されると、
ひどく落ちこむ、
もしくは反撃する

・人と自分をくらべて優劣にこだわる

・恥をかくことをとても恐れる

・身近な人を、自分の思いどおりに
コントロールしようとする

以上が、自尊心が傷つきやすい人の
特徴なのですが、かつての僕は
すべて当てはまっていました。

今日は、そんな
「自尊心やプライドが
傷つきやすい人の心理」と

「どうしたらそれが癒される」のか
について解説していきます。


また、「自尊心やプライドが
傷つきやすい人が身近にいる場合、
その人と付き合うとき、
何に気をつけたらいいか」

ということもお話しします。



<自己愛的な人のイメージ>


「自己愛的」という言葉があります。


「あの人、自己愛的だね」って言葉が、
どのような人を指して使われるかというと、
一般的には次の二つのケースが
多いんじゃないでしょうか。


一つは、「自己顕示欲が強い人」を指して。
つまり、なにかにつけて、
自分の実績を自慢げに語ったり、
自分の優秀さをさりげなく
ほのめかしたりする人のことを、
自己愛的と言ったりします。


もう一つは、
「ナルシスティックな人」を指して。
つまり、自分の才能や、
自分の美しさ・かっこよさに
酔っている人のことも、
自己愛的と言ったりします。


実は、どちらのタイプの人も、
「自己愛が傷ついている人」なんです。


愛とは、自分を愛することですから、
それ自体は大切なものです。

そして、健全な自己愛とは、
ありのままの等身大の自分を愛すること。

できない自分、未熟な自分、
失敗する自分もふくめて、
どんな自分でも
受け入れることができる状態を言います。


一方、自己愛的な人
(自己顕示欲が強い人や
ナルシスティックな人)は、

自己愛が傷ついているため、
「有能な自分しか愛せない」
「優れている自分しか愛せない」
「イケてる自分しか愛せない」
という状態になっています。

等身大の自分では
受け入れられないのです。


<自己愛が傷ついている人の特徴>


30代くらいまでの僕が
まさしくそうだったんですが、

自己愛が傷ついてる人の特徴を
いくつか挙げてみますね。


①プライドが高く傷つきやすい

優劣にこだわってしまいがち。

負けず嫌い。

意地でも謝らない。

向こうから謝ってくるまでは、
一切こちらからは歩み寄らない。

➁叱責されることが極度に苦手

叱責されることに過敏に反応する。

就職しても、
上司から何度か叱責された
ということだけを理由に
すぐに会社を辞めてしまう。

会社を辞めたあとでさえも、
自分のプライドを傷つけた上司への
恨みを根強く持ってしまう。

③恥をかくことに耐えられない

恥というものに敏感。

恥をかくことを非常に恐れる。

④身近な人を自分の思い通りにコントロールしようとする

家族などの身近な人を
自分の思い通りにしようとする。

身近な人が思い通りにならないとき、
冷静さを失い、反応的になりやすい。

⑤万能感を手放せない

万能感を手放せず、
思い通りにならない状況に
耐える力が弱い。

モンスターペアレントや
クレーマーになりやすい。


<傷つき度合いが強くなる要因>


自己愛の傷つき度合いが強くなる要因
と言われるものがいくつかあります。

ひとつずつ説明していきますね。


①条件つきの愛ばかりうけて育つ

「条件つきの愛」や
「条件つきストローク」と言われるものです。


いい子にしていたら、
親からめちゃくちゃ褒められる。

テストでいい点数を取ったら、
親がとても喜んでくれる。

かけっこで1等賞になったら、
親が赤飯を炊いてくれた。

親の期待に応えたときに、
すごく注目されたり褒められる。


こういったことが続くと、
「優れている自分でないと注目してもらえない」
「有能な自分でないと愛されない」

つまり、
「ありのままの自分では受け入れてもらえない」
という心境になり、自己愛の傷つきとなるんです。


こういう言葉があります。

「子どもの自尊心は、
かけっこで一等になって
褒められたときに育まれるのではない。
かけっこでビリになっても、
抱きしめられたときに育まれる」


これが自尊心が育まれるプロセスです。

以前、さらに詳しく
解説した記事をあげていますので、
ぜひ参考にしてみてください ↓


➁自己愛の傷つきが強い親のもとで育つ


親が自己愛の傷つきを
強く持っているということは、
親が自己愛的ということです。

そうすると、親が自分の自己愛を
子どもに投影する
ことが多いんです。


子どもの成績が優秀であることを、
親が親戚に自慢をする。

子どもが獲得した表彰状やトロフィーを、
親が自宅に飾る。

「世間に対して恥ずかしい」や
「みっともない」という言葉を、
親がよく口にする。


こういった姿を
子どもがいつも見ていると、

自分は優秀じゃないと駄目なんだ」
「結果を出したときに注目されるんだ」
という思い込みが強化される
と言われてます。


そして、恥に対して敏感
という自己愛的な人の特徴を
前面に出されつづけた結果、

子どももその生き方を受け継いで、
自己愛的になりやすい
と言われています。


<現代は自己愛の傷つきが多い時代>


育ってきた環境によって
自己愛の傷つきが強くなる、
とお伝えしましたが、
そもそも完璧な親というのはいませんよね。

なので、
ありのままの自分を
親に受容してもらえなかったという経験は、
だれもが通っている道です。


親の期待に応えられなかったとき、
親にがっかりされてしまった。

親に反発をしたら、
親に無視をされた。


こういうとき、どうしても
子どもは自己愛が傷ついてしまいます。


でも、そのことをだれかに言って

「それは傷ついちゃうね」とか
「つらかったね」と

寄り添ってもらえると、
そこで自己愛の傷つきは修復される
んです。

あとは、親があとで謝ったりすると、
これもある程度は
自己愛の傷つきの修復になると言われてます。

「さっきはごめんね。
ちょっとお母さん余裕がなくて、
あなたにきつく言ってしまったけど、
あれは言い過ぎた。
あれは本当のことじゃないのよ」
なんて親にこころから謝まられると、
傷つきの修復になる
わけです。


傷ついても、修復の機会があれば、
子どもの自尊心というのは健全に育ちます。


ところが、
現在は自己愛の傷つきを持ってる人が
多い時代だと言われています。


それはなぜか。


かつては、
大家族が一般的だった時代
がありました。

おじいちゃんやおばあちゃん、
兄弟や姉妹、
またおじさんやおばさんとの
人間関係が日常の中にあったわけです。

つまり、大家族の中では、
子どもの自己愛が
両親との関係で傷ついても、
他の家族との関係で
修復されていったんですね。


さらに当時は、
地域社会もコミュニティとして
非常に機能していました。

家族の他にも、
近所のおじちゃんおばちゃんで
気を許せる人がいたりして、
その人との関係によって
修復されることもありました。


子ども社会も、当時は、
ガキ大将のようなリーダを中心にして、
異年齢集団で遊ぶことが多かったんですね。

そこでの年上の子との関係によって
自己愛の傷つきが修復されることも
多かったわけです。


こんなふうに、かつての時代は
こころのセーフティーネット
というのが多様にあったんです。


しかし核家族化が進んでからは、
セーフティネットがどんどん失われて、
子どもの自己愛の発達が
親との関係のみに左右されやすい状況
になってしまったわけです。

なので特に、いま若い人ほど、
自己愛の傷つきという課題を
持っていると言われています。


<顕示性自己愛性パーソナリティ障害>


そして、
自己愛の傷つきが
特に強い人の場合、
特定の性格傾向として
現れることがよくあります。


「自己愛性パーソナリティ障害」
という性格傾向です。


パーソナリティ障害というのは、
かたよったパーソナリティ
(性格傾向)のために、
周囲の人と良好な人間関係を
なかなか築けなかったり、
本人自身が生きづらかったりするケース
のことを言います。


ある研究者によると、
人口の15%ぐらいが
パーソナリティ障害なんだそうです。

6、7人に1人という感じですね。

そして、
10種類あるといわれている
パーソナリティ障害の中でも、
特に多いのが
「境界性パーソナリティ障害」と
「自己愛性パーソナリティ障害」です。


障害という言葉がついてるので、
なんだかすごく大げさに聞こえますが、
僕もかつては
「自己愛性パーソナリティ障害」
だったと思いますし、
意外とたくさんいるんです。

「自己愛性パーソナリティ障害」
の特徴を説明しますね。


①自分の業績や才能を自慢する

自分の業績や才能を誇示する。

露骨に自慢するケースばかりではなく、
さりげなくほのめかすような形で
自慢するケースもある。

➁賞賛を過剰に求める

とにかく、
賞賛されたい・尊敬されたい
という欲求が強い。

賞賛されるために頑張る。

③限りない成功や美しさを求める

限りない成功、
限りない才能、
限りない美しさを求める。

上昇志向、拡大志向。

プロセスよりも
結果を大事にする(結果主義)。

④特別な人と付きあったり
そう扱われるのを好む

自分は特別な人間だという意識が強い。
特別な人として扱われるたり、特別な人と付きあうことを好む。
有名人と知り合いだということを自慢するケースもある。

⑤共感性が欠如している

弱い立場の人の気持ちや
欲求に共感することが苦手。

落ちこんでる人に対して、
「そんなに重く考えずに
ポジティブに考えたらいいのに」
といったスタンスをとりがち。

弱っている人を
見くだしてしまう傾向がある。

⑥他者に嫉妬する

自分の競争心を
かきたてられる相手(ライバル)や、
自分よりも優れているように
みえる人に対して嫉妬する。

羨望せんぼうの感情を持つ。

➆「有能か無能か」で人を見る

「すごい人か、たいしたことない人か」
「有能な人か、無能な人か」
「イケてる人か、ダサい人か」
といったかんじで、
人を優劣で見てしまう。

そして、自分にとって
「たいしたことない人」
「無能な人」
「ダサい人」
を見下したり、
上から目線で評価する。

自分に対しても
「理想の自分」か
「ダメな自分」という
ふたつの極端なイメージしかない。

⑧身近な人の他者性を受けいれられない

自分のパートナーや子どもを、
自分の延長線上だと捉えてしまう。

自分と違う価値観や感じ方を
彼らが持つことを受けいれられない。

自分がすごいと思うものに、
パートナーもすごいと思ってくれないと、
腹が立ったりする。


以上が
顕示型の「自己愛性パーソナリティ障害」
の人の特徴です。

カリスマ的に見えるケースも多いです。
自分をすごく見せることに長けているので、
カリスマ的存在になったりするわけです。


顕示型「自己愛性パーソナリティ障害」の人は、
実は、基本的に本人は自分には
問題を感じていないことが多いんです。

周りの人のレベルが低いために
自分が困っていると思いがちなので、
自ら心理カウンセリングを受けたりする
ケースはかなり少ないです。


パワハラやモラハラや
モンスターペアレントなどに
なりがちな傾向もあり、
本人はストレスを溜めていなくても、
周囲の人がストレスを溜めていることが多いです。


<隠れ型自己愛性パーソナリティ障害>


そして
「自己愛性パーソナリティ障害」には、
顕示型とは別に、もうひとつ
隠れ型と言われるものもあります。


かつての僕は、
こっちの隠れ型タイプの
「自己愛性パーソナリティ障害」
だったと思います。

隠れ型の
自己愛性パーソナリティ障害の特徴には、
こんなものがあります。


①消極的で引っこみ思案

恥をかくことが怖いので、引っこみ思案。

会議などでも、自分の意見をあまり言わない。

➁注目の的になることを避ける

注目されて、期待されて、
結果的にその期待を
裏切ったときの恥をかくことが怖いので、
目立たないように安全な場所にいようとする。

褒められても、
「自分なんて大したことないんです、
まぐれですよ」と謙遜けんそんする。

③羞恥心を感じやすく、恥をかくことを避ける

上記の①や②の特徴の背後にあるのが、
恥をかくことを恐れる心理です。

④他者の感情に過敏である

自分が
「人から受けいれられているのか、
受けいれられていないのか」
「好かれているのか、
好かれていないのか」
がとても気になる。

⑤理想化された他者によって自己愛を満たそうとする

自分の子どもを有名校に入れるために、
親が必死になる。

カリスマ的な人物に心酔しんすいして、
その人とのつながりに固執する。


<表裏一体の2つ>


顕示型の自己愛性パーソナリティ障害と、
隠れ型の自己愛性パーソナリティ障害は、
性格としては違うように見えますが、
実は根っこは一緒です


どちらも、自己愛の傷つきがあり、
プライドが傷つきやすい
というところで一緒なんですね。


また、家庭の中では顕示型なのに
外では隠れ型だったり、
もともと隠れ型だった人が
成功者になって顕示型になることなどもあります。

顕示型と隠れ型は表裏一体ということがわかりますね。


さらに、顕示型と隠れ型は、依存関係にあります


隠れ型の人は、自分は謙遜するぶん、
理想化できる他者を必要とします。

そして、多くの場合、
カリスマ的な人に心酔したりしていきます。

つまり、顕示型の人を求めるのです。

いっぽうで、顕示型のカリスマの人は、
自分のことをまつり上げてくれる人
(ファン、信者)を必要とします。

つまり、隠れ型の人を求めるのです。

おたがいが求めあい、
依存しあう関係といえます。


<傷つきはどうやって癒すのか>


さて、ここまで、
自己愛の傷つきについてお話をしました。

そしてこの、
自己愛の傷つきは、癒すことができるんです。

自己愛の傷つきを癒すと、
こんどは健康的な自尊心を
はぐくんでいくこともできるようになります。

効果的な方法をご紹介しますね。


①プロの心理カウンセラーから
継続的に個人セッションを受ける

一番確実で効果的な方法はこれです。

ここで重要なポイントは、
「自己愛の傷つきの
修復ができる心理カウンセラー」
を選ぶことです。

自己愛の傷つきは、
共感的に傾聴されるだけでは癒されません。

自己愛の傷つきを癒すには、
その目的に合った手法で
かかわってもらう必要があります。

心理カウンセラーに問い合わせするとき、
「自己愛の傷つきといった
テーマは得意とされていますか」
なんて聞いてみるといいでしょう。

ほかにも、
「どういうやり方を主に使われてますか」
というのを聞いてみるのもいいと思います。


自己愛の傷つきを扱ううえで
効果的な手法を、
いくつかあげておきます。

<自己愛の傷つきを
扱ううえで効果的な手法>

・自己愛の研究において第一人者である
ハインツ・コフートの手法
(自己心理学)

・パーソナリティ障害治療の第一人者である
ジェームズ・マスターソンの手法
(マスターソン・アプローチ)

・ウィルフレッド・ビオンの手法
(特にコンテイニング)

・関係精神分析や間主観的アプローチなど、
二者心理学の手法
(ツーパーソン・サイコロジー)

➁心理学を継続的に学び続けながら、等身大の自分を見つめていく

年月をかけて心理学を学び続けながら、
自分のありのままの姿を
見つめていくことに取り組む。

自己受容の練習も有効。

③身近な人といい人間関係をはぐくむ

おたがいが、もちつもたれつの
対等な人間関係があると、
その関係自体が
自己愛の傷つきを癒す役に立ちます。

以上が、
自己愛の傷つきを癒すオススメの方法です。


ほかにも、
自己愛性パーソナリティ障害の傾向が強い人は、
コツコツ作業が苦手な場合が多いのですが、
それを続けていくことで、
自己愛的な性格傾向がゆるんでいく
と言われています。

子育てなども、
日々の作業の積み重ねとして
非常にいいと言われています。

また、
ひとに貢献する喜びを味わうというのも、
くり返していくと、
自己愛的な性格がゆるんでいきます。

ぜひ参考にしてみてください。


<自己愛性パーソナリティ障害の人との付き合いかた>


自分の周りに
自己愛性パーソナリティ障害的な人がいる場合、
どう関わればいいのかというお話もしますね。


特に難しいのが
顕示型の自己愛性パーソナリティ障害の人
だと思います。

たとえば、上司が顕示型で、
ちょっとでもプライドが傷つくと、
不機嫌になって攻撃してくるようなケースです。

そんな相手にはどう対処すればいいのでしょうか。


ここでいちばん逆効果なのが
「媚びること」
です。


その人の機嫌をとって、
いつもその人を持ち上げていると、
その人の子分のようになってしまいます。

そしてそうなると、
手足のようにコントロールされてしまうのです。

その人の思いどおりの
手足にならなかったときに、
結局すごくきつく当たられる
ということになりかねません。


顕示型の人と関わるときのポイントは
「その人のお気に入りにならないこと」です。

適度な距離を保ち、
その人に媚びないようにする
というのがとても大事です。


その上で、
その人のプライドをなるべく
傷つけないようにするということですね。

媚びたりはしないけど、
その人の地雷は
なるべく踏まないよう気をつける。


そんな適度な距離を保つのが
一番無難です。


<まとめ>


今回は自己愛の心理と
その癒し方についてお話ししました。

ご参考になったとしたらうれしいです。

<まとめ>

・顕示的な人やナルシストな人は自己愛が傷ついている人
・傷つきが特に強いと自己愛性パーソナリティ障害になる
・顕示型と隠れ型は表裏一体
・傷つきは癒すことができる

僕のnoteでは、読めば読むほど
「自己肯定感が高まり」
「人間理解が深まり」
「人間力が養われる」
コンテンツをお届けしています。

これからも確実に自己実現へ向けて進みたい方、
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ではまた、次回の更新をお楽しみに!


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