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鑑賞レビュー:六本木アートナイト&森美術館/ワールドクラスルーム 現代アートの国語・算数・理科・社会 みんなで学ぼうアートと世界

5月27日と28日の両日、今年は3年ぶりに六本木アートナイトがオールナイトで開催されることとなった。

27日のお昼間に横浜市民ギャラリーあざみ野で現代アート展を専門的に手掛けるキュレーターである天野太郎氏の講義を聞いた後、なんとなく”たまには現代アートみにいってみようか”とおもっていたところ、ばったり「今から六本木アートナイトにいく」という知人に会ったので、ノリでついていくことにした。
彼女とともに夕方から始まるオープニングイベントを見たり国立新美術館や東京ミッドタウンをうろうろと歩き回った後で別れ、その後一人で夜間にオープンしている森美術館にいってみた。

人垣のすきまからちょこっと見えたオープニングセレモニー
コロナ収束を待っていたとばかりに六本木のアート祭りを楽しむ人がいっぱい
ミッドタウン内に展示 鴻池朋子 かわとんび
国立新美術館に展示してあるものも併せて
全部で3点あったような気がするが、
このシリーズ作品の”大きさ”には圧倒される。

開催中の展覧会〈ワールドクラスルーム〉は、森美術館の20周年記念だというが、公式サイトを見てもこの展覧会の趣旨はよくわからなかった。

そして、サイトのテキスト→「現代美術館はまさにそうした未知の世界に出会い、学ぶ「世界の教室」とも言えるでしょう。(公式サイトより抜粋)」という文面からかなりもやもやして抵抗感があった。(たぶん、それは自分が美術館になにかを学びに行くのはめちゃくちゃ嫌だったからだと思う。)

まあ、でも、夜間に見られることは珍しいし、学生は無料の日だったので、無料ならみたいところだけ見ればいいやとおもって入館した。

森美術館20周年だということで、森美のコレクションが半数を占める展覧会だということだった。

特に現代アートに興味があるわけではないが、アイ・ウェイウェイやヨーゼフ・ボイスなどの世界的に有名なアーティストや奈良美智や畠山直哉など、よく行くギャラリーや横浜トリエンナーレなどで見たことある中堅作家の作品が多く、自分にとっては既知のものが多くて見やすかった。
しかし、それを義務教育レベルの学科と関連付けて展示しているというキュレーションだったが、どう関連付けられているのかがいまひとつわからなかった。

(どういうターゲットに向けて作られている展覧会なのだろう?)

一巡してみたところ、欧米の作家以外の作品も多いため視点がグローバルであり(それゆえ散逸して見えるが)、森美術館のコレクションのバリエーションがよくわかったうえ、世界レベルの社会的な傷、例えば搾取や戦争、差別、被災 など近現代の社会問題を表現した作品も多く、アートが装飾的な美しさや奇抜さだけが評価されているわけでははないという事も理解できる見せ方だった。

「ワールドクラスルーム=世界について学ぶ」というテーマのは趣旨は、展示室を見て理解できた。

学ぶ、というよりは”社会学的視点でアートを見る”と考えればわかりやすい。また、作品の文脈よりも幾何学的視点やデジタライズされたインスタレーションも含まれるため、そういうものを理数科目になぞらえたのかもしれない。

※ときどき気になってとってみた作品の画像を掲載しておきますが、主展数は150点と多すぎて全部はみられませんでした。こんな感じの作品もあったというくらいの情報です。詳細は公式サイトに作品リストあり。

宮島達男 《Innumerable Life/Buddha CCIƆƆ-01》 (一部)
李禹煥(リ・ウファン)  対話 :関係項
奈良美智  Miss Moonlight
片山真妃 F3P4#3
杉本博司 観念の形
杉本博司 
数理模型 022 回転楕円面を覆う一般化されたヘリコイド 曲面 
梅津庸一 黄昏の街
私的には今回の一番のお気に入り💛

見に行く前に天野太郎氏の「キュレーションの意図」についての講義を聞いたためなのか?いろいろ考えてしまったようだ。

ひとつひとつの作品については言及を避けるが現代アートの歴史的な作品や日本の中堅作家についても秀作が多く、映像作品もミヤギフトシ氏や田村友一郎氏のじっくり見られるものが多かった。
いろいろなことを考えながら時間をかけて見られる展覧会だった。

夜遅くなってしまったのでさくっと見ようと思ったが2時間30分もかかってしまった。

立地のせいか入館料が高いが、退屈はしない。日ごろから現代アートに興味がある人ならばまちがいなく楽しめる展覧会だと思った。















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