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【らんまん】やっぱり、雑草という名の草はない 5/11感想【第6週・ドクダミ】

「らんまん」第29回感想です。

今日は再び、あの名言が登場しました。

「クサ長屋」こと「十徳長屋」に住むことになった、万太郎と竹雄。長屋は根津にあるという設定でした。
実際に牧野富太郎が下宿していたのは、飯田町(現在の飯田橋)にある長屋だったということなので、十徳長屋はドラマオリジナルの設定のようですね。

十徳長屋には学生や小料理屋の店員、落語家、棒手振り(今で言う移動販売のようなもの?)を営む者など、様々な人が住んでいましたが、共通点は貧しい生活であること。
万太郎は、長屋の敷地内に生い茂っているドクダミに目を付けます。

「かわかして酒に漬け込んだら、えい薬にもなりますき。夏には蚊に刺されんようになりますし、吹き出物もようなります」

と話し、長屋の住民たちに手伝ってもらいながら、ドクダミを抜いたり洗ったり、つるして干したりと作業を始めます。おお、ドクダミチンキだ…! 「蚊よけなら、棒手振りで売れるかも」と住人の及川(池田鉄洋さん)は期待します。
今日の放送に登場したドクダミは、栽培したものが撮影直前に枯れ、レプリカを駆使して撮影したとガイドブックにありましたが、地下茎がずるずる出てくる様子や、抜いた後の地下茎が散らばっている様子の再現度がすごいと思いました。

万太郎は、植物標本を盗んだ男、倉木(大東駿介さん)の部屋を訪れ、標本を一つも欠けることなく返してもらったことと引き換えに、百円を渡します(当時は大金だったようですね)。
倉木は上野戦争の生き残りの元侍で、現在は酒や博打に明け暮れる荒れた生活を送っており、万太郎に「たかが草だろうが。なぜ雑草に大金を払う?」と尋ねます。
「(雑草は)誰の目にも入らん。入ったとて、うとまれ、踏みにじられ…」と、雑草と自分を重ね合わせるような倉木の言葉に、万太郎は、

「雑草ゆう草はないき。必ず名がある」
「草花に値打ちがないち、人が決めつけな」
「わしは信じちゅう。どの草花にも必ず、そこで生きる理由がある。この世に咲く意味がある」

と力強く語りました。

ここで再び「雑草という名の草はない」という名言が登場しました。物語を貫くテーマの一つとして、これからも登場するのかもしれません。

雑草はどんなに踏みつけても、根こそぎ抜き去っても、草刈り機できれいに刈り取っても、すぐにまた何事もなかったかのように生えてきますし、放っておけば手が付けられないほど大きく強靭に成長し、恐怖を感じるほどの姿になることもありますよね…
人間なんて何とも思っていないような、「俺たちをやっつけようなんて100年早いんだよ」と鼻で笑っているような、とてつもないエネルギーが、憎たらしくもあり、うらやましくもあります。

でも、草に名前がなければ、それ以上の関係はできませんが、万太郎のモデルになった富太郎が、その一つ一つに興味を持ち、名前を付けてくれたことで、私たちはその生態に思いをはせることができるようになったのですよね。

矛盾しているようですが、何を言われようと、植物に対する純粋な思いを真っすぐに貫き続ける万太郎も、雑草みたいだなと思いました。そして倉木も、万太郎との出会いで、これから少しずつ心境が変化していくのでしょうね…。

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