見出し画像

漫画キングダムから学ぶ会社経営 #50:物流の重要性

本記事は、「漫画キングダムから学ぶ会社経営」と題し、毎回、様々な視点から漫画キングダムとビジネス(特に経営)での共通点及びそこから得られる学びについてまとめていきます。今回は50回目の記事になります、過去の投稿はこちらからご覧ください。(各記事は基本的に、キングダム最新巻までのネタバレを含みますのでご了承ください。)

前回は、「#49:本能型の経営者」と題して、本能型の武将のように本能型の経営者もビジネスの世界で活躍できるのかについて考察しました。まだお読みでない方は、上記リンクよりお読みください。

さて、今回は、少し視点を変えて物流について考えたいと思います。

物流というと、経営とあまり関係ないと思われる方がいるかもしれませんが、物を扱うビジネスにおいては、ビジネスの根幹となるところで、物流を軽視する経営者は一流とは言えません。今の世の中がこれほどスムースに回っているのは、優れた物流システムと、運営が当たり前のように行われているからです。以前も記載しましたが、当たり前の事を当たり前に行うのが最も重要で成功の近道なのです。

日本には世界を代表する物流会社、ヤマト運輸や佐川急便があります。また、アマゾンがここまで急成長できたのも、優れた物流システムによるところが大きいのは明白です。また、物流自体をビジネスにしていない会社でも、部品や材料を仕入れ、自社の製品を販売するにあたり、物流の重要性は言うまでもありません。

ビジネスにおいて物流の重要性がわかったところで、キングダム内で物流の話などあったでしょうか。実は一つ重要な物流の話がありましたので、今回取り上げます。

それは、大戦になった鄴攻略における兵糧問題です。

戦において、兵糧というのは、生死を分ける重要な物資になります。必要不可欠なライフラインなので、これが途絶えるという事は、無条件での死=敗戦、を意味します。逆に相手の兵糧を絶たせるという事は、勝利に繋がります。特に大きな戦では、人の数も多くなるので必然的に兵糧の数も増え、重要性が増します。兵糧の重要性は言われてみると当たり前なのですが、漫画という特性上、兵糧を主題にする事は中々難しかったと思うのですが、キングダムでは鄴攻めという大戦で敢えて兵糧問題が描かれていました。そんな、兵糧合戦となった鄴攻めで、以下現代ビジネスにも応用が利く重要なポイントがありましたので、考察します。

1) バックアップを持つ事
鄴攻めの大戦では、鄴を攻め落とすまでの兵糧の問題と、鄴を落とした後の兵糧の問題、2つの大きな問題が描かれています。今回の兵糧作戦において、実は後者の攻め落とした後の兵糧問題も非常に重要で、事前にその準備をしておく必要がありました。そこで王翦と昌平君が用意したのが、誰もが考えるであろう2つの手段+アルファのバックアップでした。考えられる2つの手段とは、秦国から陸経由と、黄河経由、2経路を使っての兵糧の輸送です。陸は一番普通の方法なので、敵国に狙われやすく、手間と費用がかかる黄河経由が本命とされていました。しかし、それら全て李牧に読まれ、両手段とも絶たれてしまいます。そこで、さらなるバックアップで登場したのが、真逆に位置する斉国からの輸送になります。私含めてこれを予想できた読者は少なかったと思います。李牧でさえ、最後の最期まで気づきませんでした。物流のように、致命的な事になりかねない事態に対しては、バックアップのさらなるバックアップを持つ事は非常に重要になります。たとえそれを使わなかったとしても、考えうる事は全て準備しておく事に越したことはありません。

兵糧 1

2) 同じ境地に追い込む
鄴攻めにおいては、開戦前から自軍の兵糧に憂いがある事はわかっていました。さらに、鄴という完璧な城を見た王翦は、鄴を(限られた時間内に)攻めて落とす事ができないと判断します。そこで、取られた方法が、鄴の城内の兵糧を絶たせる事により鄴を落とすという戦略です。相手にも同じ憂いを与えることにより、同じ土俵での戦いをする戦いに出たのです。これは、現代ビジネスにおいては、物流と言うよりは、競合相手にどのような戦略を取るのかという応用になります。自社が芳しくない時は、競合も同じ土俵に追い込む事は一つの手段として考えておく必要があります。

兵糧 3

3) 敢えて絶つ
王翦率いる秦軍は、当初、列尾を兵糧の拠点として考えていましたが、列尾が李牧により、奪いやすく、奪われやすいように細工されていた為、列尾を超える=兵糧の数が決まり、命のタイムラインを引いてしまう決断をしなければなりませんでした。つまり、自ら兵糧の流れを敢えて絶つ事により、後戻りが出来ない状況に追い込んだのです。これは簡単に言うと、強引にタイムラインを決めてしまい、背水の陣で戦うという戦略になります。逆にそのタイムラインで攻略できないようでは、兵糧以前の問題で、勝つ事ができないと王翦は判断したのです。これも物流とは関係なくビジネスではよくある手法です。だらだらと時間をかけて行うよりは、きっちりお尻の時間を決めて、これでできなければ潔く諦めるというのは、チームにも緊張感と好効率を生み出し、より良いサービスを提供できる事があります。

このように、鄴攻めの兵糧問題では、物流の重要性と共に、ビジネスに応用できるヒントがたくさん隠されていました。何度も言いますが、会社経営とは、戦における総大将に近いものがあります。相手を葬る事だけではなく、自軍のライフラインをどう確保するのか、総合的な判断で決断する事が求められます。

来週26日月曜は祝日ではありませんが、連休後になり、時間が取れないので、休載します。次回は8月2日の投稿になります。

それでは、また次回。

注)写真はすべて漫画キングダムより引用

この記事が参加している募集

マンガ感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?