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ゲイとしての自覚のタイミング

自分がゲイであると自覚するタイミングは、人それぞれです。
友人には、物心ついたころから自覚していた、という人もいますし、30代で目覚めた人なんかもします。
女性と結婚した後に、「自分はゲイだった」と気づく人もいるようで、それは結婚相手とか子供とか家族関係が大変そうだなーと想像するのですが、中には「既婚ゲイ」として自身をブランディングして既婚者好きのゲイにチヤホヤされている人なんかもいて、SNSでそういった人を見かけると「逞しいな・・・」と感心したりします。それぞれが幸せであれば第三者がとやかくいうことがではないと思うのですが、奔放な性活の写真や動画をネットにあげている人をみると、「結婚相手や家族にばれたらどうする気だろう・・」などと勝手にハラハラしながら、楽しませていただいております。

「ゲイかもしれない」の始まり

自分がゲイではないかという疑惑を持ち始めたのは、僕の場合は高校生3年生の18歳くらいのころです。「まさか、自分ってゲイなのだろうか・・・」と思いはじめて、大学時代の大半をグレーゾーンな状態のまま過ごし、大学4年生の22歳になってようやく”ゲイとして生きていく覚悟”をしました。今考えてみれば、「やっぱりゲイではなかったな~」と言ってストレートとして生きても良いし、バイとかノンバイナリーとか色々なジェンダーがあるので、”覚悟”なんて気負いしなくてもよいような気もしますが、その頃は「ゲイの世界に足を踏み入れる以上、俺はゲイとして生きていかねばならないんだ!」という謎の思いをもっていました。幸い、ゲイの世界に足を踏み入れてからは、ありのままの自分でゲイライフを謳歌しています。

いつからゲイなのか

ゲイとしての自覚をし始めたのは18歳の頃ではあるのですが、今思えば僕はずっとゲイだったと思います。
というのも、僕も多分に漏れず中学生の頃にアダルトな本やビデオを見ていたのですが、ずっと男性側を見ていたんです。お気に入りの本やビデオも、お気に入りの男優さんが出てくるもので、女優さんが誰かとか全然気にしていなかったのです。だからと言って自分がゲイだなんて思いもせず、ずっと皆そんなものだと思っていました。

中学生や高校生の頃には男らしい先輩に憧れを抱いて、学校で見かければ目で追い、恰好や髪型を真似てみたりしていましたが、それもゲイとしての恋心のようなものだったのかもしれません。
あと、思い返せば、中高生の頃に凄く仲が良くて、よく遊んでいた友人は、アイドルの振り付けを真似したり、女子生徒とオネエ口調で話したりする、ジェンダーレスな雰囲気の男の子で、その子は僕がゲイであるということを見透かしていたのかなと思います。彼とは高校は別の学校に通ったのですが、彼の高校の男の子をメル友として紹介してもらって遊んだりしていました。当時、その年ごろの男の子の場合、別の高校の女の子を紹介してもらってメル友になって、お付き合いするというようなことをしていたのですが、自分は何故か男の子とメル友をしていたのです。別にメールするだけの仲で何もなかったのですが、今思えば、友人が彼氏候補として紹介してくれていた(?)のかもしれません。

遠い存在だった”ゲイ”

そんな感じでありなが、何故18歳まで自分がゲイであることを疑わなかったかというと、僕がその頃住んでいた田舎にはゲイが周囲にいなかったからです。いや、実はそれなりに居たのでしょうが、僕の周囲にオープンにしている人はいなかったので、小中学生の僕が認識できていなかったんです。
"ゲイ"という言葉は知っていたし、ホモとかオカマとかそういう悪口を言う人も多くいたけれど、周囲に誰も知識を持っている人がいなくて、その頃の僕からすると、本物の”ゲイ”とか”オカマ”とかはテレビとか漫画とかの世界に出てくる凄く特殊な人で、自分が住んでいるような地域にはいないし、まさか自分が当事者だなんて思いもしない、という存在だったのです。その頃僕が”ゲイ”について持っていたイメージは、化粧をしている男性、女性になりたい男性、もしくは凄く特殊な性癖を持っている人、というような、強烈に偏ったものでした。

そんな僕が「自分はゲイかもしれない」と思うようになったきっかけは、高校の同じクラスの男の子について「あいつはホモらしい」というような噂を聞いたり、「駅の近くの本屋にゲイ雑誌が売っている」という話を聞いたりして、少しだけ「ゲイ」っていう存在が少し身近に感じるようになったころ、当時使っていたガラケーで「ゲイ」についての検索をしたのがきっかけだったと思います。ゲイ向けのアダルトなビデオの広告が出てきて、「な、なんだこれは!すごい!」と、夢中になってそれを見ているうちに、「あれ、これに興奮するっていうことは、自分はゲイなのか・・・?」と思い始めたわけです。

確信

ただ、高校生の頃はそれ以上そのことを考えることもなく、夢のキャンパスライフ、一人暮らしを勝ち取るために、大学受験に向けて勉強に打ち込んでいました。
大学に合格してから、晴れて一人暮らしを始めて、以前ネットで見たビデオのことを思い出し、ネットでゲイ向けのアダルトビデオを買ってみて、「あぁ、やっぱり自分はゲイなのかもしれない」と思ったのでした。しかし、そんな自分を受け入れられずに、過ごしているうちに、大学3年生のころ初めて女性と付き合うことになり、彼女を人としては好きだけど性的には何も感じられない自分がいて、そこで「やはり自分はゲイなんだな」という確信を持ったのでした。

ジェンダーについて悩むタイミング

そんな感じで、それなりに悩んだりしながらもゲイであるという自覚をもつに至ったのですが、僕は割と丁度良いタイミングで悩んだりできたのかなと思います。
というのも、もっと早い段階で、まともな情報にアクセスできない環境の中で、「自分はゲイだ」という自覚があったとしたら、「自分は凄く特殊な人間なんだ、将来は女装してテレビに出たりするしかないんだ」などと日々悩んで過ごしていたのではないかなと思うのです。あるいは、吹っ切れて勉強なんてせずに大人のゲイとの出会いに夢中になっていたかもしれません。僕のゲイの友人の中には、「中学生の頃に既にオジサンと出会って遊んでいた」なんて強者もいたります。彼はオジサンとの出会いと勉強を両立出来ていたようですが、僕だったら出来なかったと思います。というか、中学生と出会うオジサンとか、完全に犯罪だから”ダメ絶対”なのですが。。
逆に、ずっとゲイであることに気づくことが無く女性と結婚した後に気づいたら、結婚相手や子供に辛い思いをさせてしまう可能性もあったわけです。
丁度よいタイミングで、そこそこ悩みながらも、あまり自分を責めすぎたりすることなく、自覚を持てたのはラッキーだったなと思います。

今は”多様性”とか”ジェンダー”とか、テレビでも取り上げられるようになっていますし、色々な有名人の方が自身がLGBTQであることを公言したり、当事者ではなくてもLGBTQへの理解を示す場面も増えています。学校で教えている場合もあるようなので、「自分がゲイかもしれない」と思っても「まったく特殊なことではない」「学校のクラスに数人はいるくらいの割合でLGBTQの仲間がいる」というような正しい情報を得ることで、ネガティブに悩み過ぎることなく、健康的に悩むことができる環境になりつつあるのかなと思います。とはいえ、まだまだ理解が足りないことが多いと思います。もっと普通にジェンダーについて考えることが出来て、多くの人が健康的に悩むことができるような環境になって欲しいなと思います。

そういった子供のジェンダーの悩み相談や教育などを行っている団体もあるので、興味のある方は調べてみるとよいかと思います。僕も本当に微力ながら、そういった活動をしているNPO団体に寄付をさせていただいています。若者が正しい知識をもって健康的にジェンダーの悩みと向き合うことが出来れば、もっと各自が幸せになれるのではないかと思います。

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