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やっぱりおっぱい 〜がんサバイバーの奮闘記〜 第3話

11月19日、港区にある総合病院へ。
私が通っているのは乳腺外科クリニックなので、手術は提携先の病院で行うのだ。

1日がかりで術前検査。
採血、心電図、肺活量、MRI、レントゲン検査、造影CT。
意外とてこずったのが肺活量。思いっきり息を吸って吐き切るだけなのだが、うまくできずに、6回ほど行った。

造影剤を投与するC T検査のメリットは、小さな病変や正常組織・臓器とのX線透過性がほとんど変わらない病変は、普通のC T検査でも診断が困難な場合があります。
しかし、造影剤を用いることで、これらの病変、明瞭に摘出されるので、正確に判断することが可能になります。

しかし、この造影剤が投与されるとすぐに体がカッと熱くなります。特に、腎臓、膀胱などの股間周りがぐわっと熱くなるのです。

外科の先生と相談し、手術日を12月18日に決め、入院時の説明と手続きを行った。

11月20日、保険会社へ入院のための書類を送ってもらうように手続きをする。
正直、保険なんて使うことはないと思っていたけれど、入っていて良かったと心から思う。
だって、検査、入院、手術だけではなく、しばらく仕事も休まないといけないので、お金がかかるのだ。
がん保険だけじゃなく、女性特有の疾病特約にも加入していたのも幸いした。

その後、区役所に行き、限度額適用認定証を作成してもらう。
経済的負担も大きくなり、高額医療費として給付金が還付されるまでの間(3ヶ月〜)の負担を軽減するための制度です。
患者が請求された医療費の全額を窓口で払い、後で自己負担限度額を超えた分が払い戻しされます。

11月25日、クリニックへ左胸の検査結果を聞きに行った。
やはり癌だった。少し期待していたけれど、やっぱり・・・という感じ。
病院に行くたびに、頭が真っ白になり、先生のいうことを何度聞いても耳に残らず、IC レコーダーで録音するようにした。


両胸に癌。
家を出るときは晴れていたのに、帰りは雨。まるで私の心模様を表しているようだ。

この頃、街に出ると「がん」の文字が飛び込んでくるようになった。本屋に行った時、雑誌にがんという文字を見つけたりすると、いろんなところにあるがんの文字が飛び込んできて、動悸が激しくなり、冷や汗を書きながら本屋から出る。
電車の中吊り広告、ネットの広告記事、無意識にがんの文字が入ってくる。

12月3日、両親同席の元、クリニックで手術の説明と同意書にサインをする。
丁寧な説明と手術の仕方に父も納得していた。父は、母、祖母、私と3人の乳がんの手術に立ち会う人。私よりも知識がある。と同時に、親不孝な娘だなぁと一人で泣くことが多くなった。

待合室で、先生に手術をしてもらったおばさんが、
「心配しなくて大丈夫よ。ここの先生、綺麗に縫ってくれるわよ」と落ち込んでいる私に太鼓判を押してくれた。
このおばさんは、千葉からわざわざ通っていて、膝が悪かった時は愛媛の病院まで行ったという。
「大事なのは、病院ではなく先生で選ぶのよ」と。
確かに、有名な病院はたくさんあるが、誰が執刀するか。それが一番重要なことなんだとハッとした。

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