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ポメラ日記 2020年5月29日(金) いつか空を見上げることの意味をきみと

良い天気だ。
六月一日からのぱんださん・よんださんの保育園登園が決まったので、土日を除いて今日が最後の登園自粛日だ。
このところ天気や仕事の都合や気分の都合が重なってピクニックに行けなかったのだが、最終日の記念にお弁当を用意した。
ぱんださんと、クリームチーズと水切りヨーグルト、砂糖をすりまぜたクリームにいちご・バナナを挟んだ定番のフルーツサンドを作る。
先日のピザの余りチーズが残っていたので、チーズとハムと茄子とプチトマトのホットサンドも作る。
ささださんを呼んで、外へ行った。

少し訪れなかった間に、いつものピクニック場所の周囲の緑はぐっと濃くなり、夏の気配がしっかりと根付いていた。
ハルジオンを始め、春の花々はもうほとんど実になっている。日差しが熱い。
草の匂いの中で、お弁当を広げ、サンドイッチと離乳食のお昼を摂る。
ぱんださんはプチトマトを美味しいものと認識したようで、「たべていーい?」と聞くようになった。どうぞどうぞ。
今日は、「医療従事者に感謝を表すため」とブルーインパルスが空を飛ぶ日だ。
ささださんがルートと時間をチェックして、待っていると、予想とは少し違う角度から飛行機が飛んできた。
雁行する飛行機が五機、飛行機雲を引いて飛ぶ。脇に、飛行機雲を引かない一機が随伴している。指揮のためだろうか。ささださんと、ささださんに肩車されたぱんださんが、すごーいと声を上げながら喜んでいる。
すごいね。
飛行機はすごい。
医療従事者に今のしかかる重圧とさらに差別とか、医療体制や彼らには回らない予算とか、権力がパフォーマンスだけをやることの意味とか、空を見上げて何かをすごいと思うことの危険性、「すべての美しいものにであうということ/そして/かくされた悪を注意深くこばむこと」という詩の一節。
ぱんださんには何も教えずに空を見上げていた。
飛行機は大きく曲がって、飛行機雲がその通りに線を残して、やがて消えた。

暑すぎるので、仕事に戻るささださんによんださんを託す。
ぱんださんは「かいぞくだ、たんけんだ」と元気に草むらの中に続く道を選び、わたしはそれに着いていく。
小径を通って少しだけ開けた日陰に、宝石のような紫陽花が丸く咲いている。
お花の宝物をみつけましたね、親分、と言うと、ぱんださんはにっこりわらって、その後もたくさんの宝物を見つけたり、勇気を出して石垣の上を通ったり、蜂におびえてしがみついたりしていた。
その背中に、ピクニックは今日で終わりだよ、月曜日から保育園にまた行くんだよ、という話をする。
ぱんださんはちらりとこちらを振り向いて、
「そういうひが、はじまったの? そうなのね?」
と言った。
そうだね。
今の日々が終わるのは、あたらしい日々が始まることと、同じだね。

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