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画狂老人卍・葛飾北斎【富嶽三十六景】岩波文庫チャレンジ72/100冊目

チャレンジ72冊目は少し異色の岩波文庫。なんと言っても表紙が良い

富嶽三十六景人気がありすぎて追加された10作を合わせて全46作がオールカラーで解説付き。ポケットサイズの贅沢鑑賞。

有名な作品は知っていても全作見たのはもちろん初めて。作風を知るにつれて、なんとなく好きだった葛飾北斎がますます好きになりました✨


富嶽三十六景とは

「神奈川県沖浪裏」「凱風快晴」(通称赤富士)「山下白雨」(通称黒富士)を3役に数える、富士山の見える景色を描いたもの。

神奈川県沖浪裏
凱風快晴(赤富士)
山下白雨(黒富士)

有名な富士見所もあれば、なぜその景色を描いたのかと、専門家でも不思議に思う場所もある。全作を通して、見たままを描くのではない北斎ならではの構図や天邪鬼加減が分かってくるのが面白い。

タイトルには描いた場所を表すものが多い。本書では、それがどの場所かや、北斎はきっとこういう思いで書いたのだろう、という考察が入っている。

例えば「尾州不二見原
尾州とは尾張国、愛知県にあった富士見原のことで、現在でも名古屋市中区富士見町という名前に残っている。富士山が見えたという記録が残っている事からついたようだが、面白いのは、実際見えたのは別の山(聖岳)を富士山と見誤ったものだとか。

尾州不二見原

他に勉強になったのは、武州とは武蔵国、武陽とは江戸、常州は常陸国すなわち茨城県、遠江は静岡県など。

クイズ番組でたまに目にするさざえ堂といえば、会津さざえ堂。DNAに先立つ二重螺旋構造として、国の重要文化財に指定されている。さざえ堂自体は「同じ通路を通らずに上り下りができる構造を持つ」堂。調べてみたら、全国にさざえ堂は何棟か残っている。

富嶽三十六景の一つとして描かれた「五百らかん寺さゞゐどう」は、これとは違うさざえ堂で、五百羅漢寺は現在目黒にあるという。

五百らかん寺さゞゐどう

そして自身の新たなお気に入りとなったのはこちら。いや〜良いね👍

深川万年橋下

浮世絵とは

町人文化が花咲いた江戸。当時世界最高の人口を誇った100万都市江戸。(ヨーロッパの人口が100万人超になるのは19世紀になってから)

浮世絵はそんな、活気のあった江戸時代(初期)に成立した。大名や武家など支配階級でなく庶民階級から見た風俗が主な題材、版画形式による大量生産で、一気に広まった。

教科書で見る浮世絵師には他に、菱川師宣、東洲斎写楽、歌川広重などがいる。

1867年パリ万国博覧会への出品を契機に、ヨーロッパで流行したジャポニスム(日本趣味の流行)の火付け役にもなった。浮世絵に影響を受けたゴッホ(タンギー爺さんなど)やモネ(ラ・ジャポネーズ)は有名だ。

ゴッホ(タンギー爺さん)
モネ(ラ・ジャポネーズ)

江戸はいいなぁ。活気があるって最高✨
ちなみに自身のスマホとウォッチの待受は赤富士とタンギー爺さんを長年愛用☺️

マジ卍

本記事のタイトルにもあるように、北斎の晩年の画号

              画狂老人卍(まんじ)

今でこそ、若者言葉と(一時?)なった卍。Webの説明では「善し悪しを問わず、何らかの点で非常に気分が高ぶっているさまを表す若者言葉」とある。

なぜこのような画号を用いたかについては、太田記念美術館の素敵な記事がありました。

卍が流行った今だからこそ分かりすぎる程分かる、まさに時代の最先端。
最高にかっこ良い

岩波文庫100冊チャレンジ、残り28冊🌟

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