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暑い時期の食中毒対策!~後編~【Healthy Life】

前回の記事では黄色ブドウ球菌とサルモネラ菌についてとその対策を紹介しました。
(前回はこちらhttps://note.com/you_care/n/n35552f1b6bf9)
後編ではその他の細菌とその対策法を紹介していきます。

・カンピロバクター

カンピロバクターは主に動物の腸内に生息します。
食肉(とくに鶏肉)が主な原因食品ですが、二次汚染や動物のフンによる汚染で生野菜や生水が原因となることもあります。

怖いのはサルモネラだけじゃないんです

カンピロバクターは食品中では増えにくく、細菌が腸内で増殖して発症します。
そのため潜伏期間が長く、1週間たってから発症することもあります。
腹痛、下痢、発熱が主な症状で、多くの場合発熱や倦怠感等の前駆症状があります。
また、二次汚染による感染にも気を付ける必要があります。
前編のサルモネラ菌の項でも挙げた、調理器具や手指の洗浄や、器具の使い分けを行いましょう。

対策としては、
・カンピロバクターは熱や乾燥に弱いので、調理器具は使用後に良く洗浄し、熱湯消毒や乾燥を行う
・十分な加熱を行い、食肉の生食をしない
・生水を飲まない
・生のまま食べる食品の近くで生肉を扱わない

などが挙げられます。

カンピロバクターはまれにギランバレー症候群という神経が障害される難病を引き起こすことがあります。
市販される鶏肉の4~6割からカンピロバクターが検出されたという報告もありますので、鶏肉は特に十分な加熱がされているか注意が必要です。

・腸炎ビブリオ

腸炎ビブリオは海水中に多く生息します。そのため、腸炎ビブリオによる食中毒は魚介類が原因となることがほとんどで、中でも生のまま食べる刺身やお寿司が代表的な原因食品です。

味も安全も鮮度が大事です

特徴として、他の菌より増殖が速いことと真水に弱いことが挙げられます。
また、先ほどのカンピロバクターと同様に、包丁やまな板、手指からの二次汚染が発生するため注意が必要です。
潜伏期間は8~24時間ほどで、主な症状は腹痛や下痢ですが、発熱やおう吐を伴うこともあります。

対策としては、
・生の魚介類を調理する際は水道水で洗浄する
・可能な限り保存は4℃以下の低温で行う
・生の魚介類を扱ったらその都度手指と調理器具を洗浄して二次汚染を防止する
・加熱する場合は中心部まで十分に加熱する(60℃で10分以上が目安)

などが挙げられます。


・O157(腸管出血性大腸菌)

大腸菌は人や動物の腸管に存在しますがほとんどは病原性はありません。
しかし、一部の大腸菌はヒトに対して病原性があり、それらを総称して病原性大腸菌と呼んでいます。
O157もその一つで、家畜の糞に汚染された食肉や、その食肉からの二次汚染で生野菜なども原因食品となることがあります。
ユッケやレバ刺しが原因の食中毒が多発したため、10年ほど前に提供が禁止されましたが、主な原因菌がこのO157です。

食中毒事件を覚えていらっしゃる方もいるでしょう

カンピロバクター同様潜伏期間が長く、平均して4~8日とされています。
症状は激しい腹痛や下痢から始まり、その後下血がみられます。
重篤な症状として溶血性尿毒症症候群があります。
菌が産生する毒素により赤血球が破壊され、貧血や腎不全などの症状が現れ、最悪の場合死亡することもあります。

対策としては、
・生野菜はよく洗ってから食べる
・食肉は中心までしっかりと加熱する(75℃で1分間が目安)
・二次汚染を防ぐため、調理器具は使用後必ず洗浄する。可能であれば熱湯消毒もしくは塩素系消毒剤をによる消毒を行う

などが挙げられます。


前編・後編合わせて5つの原因菌を紹介しました。
ほとんどの原因菌に共通する「洗浄」「加熱」「器具の使い分け」が予防のキーワードです。
前編でも紹介した食中毒予防の3原則「付けない」「増やさない」「やっつける」と併せてこの夏を安全においしく乗り越えましょう!



今回の記事は管理栄養士の本田が担当しました!


参考:
https://pro.saraya.com/sanitation/chudoku/
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/shokuhin/micro/campylo.html
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/shokuhin/micro/tyouen.html
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/shokuhin/micro/o157.html

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