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市内RPG 54 天狗との死闘

ぼくら、レベル11の、勇者、戦士、魔法使い、僧侶の高校生パーティー。子郡市役所で勇者登録をして、魔王討伐のために、子郡市内をうろうろしている。

僧侶カナのおじいさんのお兄さんの「天狗」の修行を乗り越え、試練のほこらに挑んだのだ。ほこらの奥から、牛の置き物を帰ってきたところで、天狗にそれを奪われた。

「返して、天狗さん。」カナは叫んだが、天狗の目が青く光って、聞く耳をもたない。

「ほこらに入るときは、ただのじいさんだったのに。」戦士ヤスがマもの星竿を構えながら、言った。

天狗もいつの間にか、大きな葉っぱのうちわを右手に構えている。
左手には、ヤスから奪った黒牛の置き物をつかんでいる。

天狗がうちわを小さく動かした。
とたん、ヤスとカナがはじけて飛んで倒れた。

「ミナビリーだ」魔法使いヒラがつぶやいた。
※ミナビリー=雷の全体魔法。

大きな動作もなく、瞬時に魔法を打ち出せるらしい。
「だいじょうぶ?」ヤスとカナに声を掛けた。
「がくがくするぜ。」ヤスが足に力を入れて立ち上がった。

ヒラがぼくに目で合図を送った。
ぼくは、天狗に勇者のカッターで切りかかった。
天狗は、ふうわりと宙を飛んで、少し離れたところに着地した。

その間に、ヒラはカナに駆け寄り、薬汁を飲ませた。
「ありがと。」カナもなんとか無事なようだ。

天狗は用心深そうにこっちを見ている。
「メチャアツッ。」ヒラが呪文を唱えた。
天狗は、またふうわりと宙を飛んだ。

天狗は目だけでなく、耳も青くなっている。

「これ、やばいんじゃない。」ヒラが言った。
「どんどん青くなる。」カナも言った。
「パワーアップか?」ヤスも言った。

ヤスとぼくで天狗をはさんで、打ちかかった。
天狗は、またふうわりと宙を飛び、うちわを小さく震わした。

「やばい。ミナビリー・・・」そう思う間もなく、雷がぼくとヤスを打ち抜いた。

「ミナナムー」カナが呪文を唱えた。
「ナイス、カナ。メチャツメタ!」ヒラは今度は水の呪文を唱えた。
天狗には当たらない。

天狗の顔がさらに青くなった。
そして、体を震わせている。

「もうだめかもしれない。」そう思った瞬間、

gerogerogerogeroーーーーーー、真っ青になった天狗は地面に突っ伏して、吐き出した。

「今だ。」ぼくとヤスは勇者のカッターとマもの星竿で天狗の背中をたたいた。
「メチャビリー。」ヒラは雷の呪文を唱えた。
カナだけは、心配そうに天狗を見ていた。おじいさんのお兄さんだから仕方ない。

真っ青になった天狗は、倒れた。

「これはどうしたことじゃ。」
天狗は、仰向けになって、空を見上げながらつぶやいた。


これまではこちら。


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