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こちらの記事の内容を聞いた、読んだ方、たくさんいらっしゃるかと思います。

朝、突然飛んできたビックニュース。まぁ、ある程度予想できていたことではあります。

大学入試センター試験に代わる、大学入学共通テスト。その英語では、民間の英語試験を活用しようという方向で進んでいましたが、その実施が来年四月から延期になりました。

萩生田文部科学大臣の「身の丈に合わせて」がメディアで煽られる中、延期となった今回、迅速な来年の受験生に向けた案が求められるところでしょうか。

ただ、今回の一連の流れについて。大きな落とし穴があるように思えます。

それは、「いまだに生徒の学ぶ力を問おうとしていない」こと。

学ぶ力が高い=テストで良い点を取ること 

ではありません。生徒が、学習する過程で、社会で生きるための能力やスキル、資質などを身につけ、自立していく準備ができている状態を指します。

詳しくは、こちらの本が非常にその観点をわかりやすく、丁寧に実例を交えながら伝えてくれます。

さて、今回のセンター試験廃止→民間試験の導入の共通項はなんでしょうか?つまり、学びを評価していないと考えるポイントはなんでしょうか?

それは、「対策ができてしまうこと」です。

萩生田文部科学大臣は、「裕福な家庭の子どもが回数を受けてウォーミングアップできるというようなことがあるかもしれないが、自分の身の丈に合わせて2回をきちんと選んで頑張ってもらえば」と発言しました(余談ですが、これが抜粋され、身の丈に合わせてだけがフォーカスされています。これは煽り方はメディアの愚の骨頂ですね)。この、ウォームアップというのは、テスト対策とも言い換えることが可能です。

英検にせよ、GTECにせよ、対策本は書店に行けば必ずと言って良いほど売っています。それを、やり込めば合格できたり、良い点を取れるというのが現状です(特に、高校レベルであればなおさら)。

では、その過程で得た知識は、数年後生徒の中に残っているでしょうか?

僕はNOだと思います。なぜかというと、対策でなんとかなってしまうところがほとんどだから。

対策することが悪と言っているわけではありません。形式を知る、実際に体験してみるということは非常に重要です。

しかし、問題となるのは、その学ぶ過程がかなり軽視されること。だって、最後に点数を取った方が勝ちなんですよ?結果主義甚だしい。

「いや結果主義は社会の基本だろ!」という声、よくわかります。しかし、生徒が学校で得るべきものは、「点数を取るための方策」や「その点数」なのでしょうか?違います。その学びの中で得られる、「自己肯定感」だったり、「自己マネジメント力」、さらには「世界の課題に興味を持ち、それを発見し解決する力」などではないでしょうか?

実は、「対策ができる=パターンで覚えることができる」と同義です。例えば、「この単語の意味はわからないけど、この文法問題は、ここがこうなっているから、答えはこうだ!」と導くことは、一見勉強の成果に見えますが、ただのパターンで覚えている可能性もあるんです。つまり、読めないんだけど、解けてしまうということは、実際起こりうることなんです。

そして、その「読めないんだけど、解けてしまう」は、AIでもできます。AIのことは詳しくありませんが、ただの文字の羅列にしか見えなくとも、機械はパターンを人間では想像できないほど学習し、その数え切れないほどのパターンから、アルゴリズムを使い答えを導きます。Amazonの「あなたへのおすすめ」は、こういう原理でできているそうです。このことを詳しく書いている記事を貼っておくので、もしでしたら呼んでください。

つまり、対策ができてしまう以上、今の入試制度の過程で得られる能力というのは、AIが取って代わることのできることであり、このままの試験制度であれば、人間はAIに淘汰されてしまいます。

だからこそ、上述した、「その学びの中で得られる、『自己肯定感』だったり、『自己マネジメント力』、さらには『世界の課題に興味を持ち、それを発見し解決する力』など」の生徒が生涯使えるスキルを、彼らは学校現場で学ぶべきなのです。

これらは、これからシンギュラリティ(AIの知能が人間の知能を超える時)が来ると言われている2045年に向けて、これから社会に出始める子どもたちが持っておくべき資質能力です。彼らが、自分たちで道を切り拓いていくために、今私たちが変わらなければいけません。

ぜひ、今回の導入にあたり不安を抱えさせた文科省にはしっかり落とし前をつけていただき、改めて今大学試験で生徒に求めるべきものは何か、問い直してほしいと思います。それからでも、入試改革は遅くないと思っています。

それでは。




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