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いじめを再定義する ーなぜ学校はいじめを認めないのかー

  いじめについての考察を『いじめを再定義する ーなぜ学校はいじめを認めないのかー』という電子書籍にまとめました。下のリンクから無料で読めます。

 スクールカウンセラーとして多くの小中学校、高校で勤務してきました。現場で経験を重ねながら、大きないじめ事件が起きた時の報告書などを読んでいく中で、いじめを認めないメカニズムが見えてきました。
 この本ではいじめを行為としてではなく、加害行為があるのにそれが見過ごされるメカニズムこそをいじめと定義すべきだと提言し、それによっていじめの問題点や対策を考えていきます。
※ブクログパブー終了の為、下のリンクからは読めなくなっています。目次のリンクからnoteでお読みください。


 はじめに


「いじめは悪いことだ」「いじめをなくそう」という声はとてもよく聞かれますが、いじめに関係した事件のニュースは後を絶ちません。
 しかも、学校や教育委員会がいじめを認めず、非難されるケースもをよく見られます。
 なぜ、こんなことが起きるのか。私はスクールカウンセラーとして多くの小中学校、高校で勤務してきました。幸いというか、大きないじめの事件に居合わせた経験はありません。
 しかし、現場で経験を重ねながら大きないじめ事件が起きた時の報告書などを読んでいく中で、いじめを認めないメカニズムが見えてきました。
 文科省の定義するいじめは以下のようなものでした。

「自分より弱い者に対して一方的に、身体的・心理的な攻撃を継続的に加え、相手が深刻な苦痛を感じているもの」
 
 平成十八年にはこれにさらに以下の文がつけくわえられました。

「当該児童生徒が、一定の人間関係のある者から、心理的、物理的な攻撃を受けたことにより、精神的な苦痛を感じているもの」

 これによって本人がいじめと感じている加害行為がほぼ全ていじめとなるはずですが、この定義ができた平成十八年以降の現在でも、学校や教育委員会、第三者機関等がいじめと思われる自殺が起きた後に「いじめはなかった」とすることが多く見られます。
 私はこういった行為としてのいじめの定義ではなく、加害行為があるのにそれが見過ごされる、軽いものとして扱われるメカニズムこそをいじめと定義すべきだと提言します。
 なぜこんな定義の変更を提案するのか。それを説明するのがこの本です。
 まず、一章では今のいじめの定義によって何が起きているのかを説明し、大津市のいじめの事件を参考にしながら新しいいじめの定義とは何かを書いていきます。実例をあげることで今までのいじめの定義と私の提唱する新しいいじめの定義の違いが伝わるかと思います。
 二章では、なぜいじめを起きるのか、そしてなぜいじめがないものとして扱われるかを、いくつかの心理学の理論を交えて書いていきます。
 三章では新しいいじめの定義をつかって、いじめの諸問題を改めて考え直していきます。
 四章では大津の事件のスクールカウンセラーの問題点を皮切りに、いじめとスクールカウンセラーや学校組織との関係を考えていきます。
 五章は対策です。いじめを少しでも減らす為に何を変えるべきか書いていきます。

 なるべく分かりやすい言葉で、大人だけでなく小学校高学年から中学生くらいでも読めるよう心がけて書いています。
 それでは、いじめを巡る考察と提言におつきあいください。



目次

1 いじめの再定義

150万円とってもいじめじゃない?
いじめを飲酒運転事故に例えると
いじめの定義を変える 


大津いじめ事件の「いじめ」


2 いじめの心理学

いじめは正義から生まれる
いじめは被害から生まれる
アッシュの同調実験


ミルグラムの服従実験
割れ窓理論
いじめの集団心理まとめ


3 「いじめ」でいじめを考える

いじめられる方にも問題がある?
体罰といじめ
犯罪性のない(?)いじめ
集団といじめ


4 いじめとスクールカウンセラー 

大津いじめ事件とスクールカウンセラー
スクールカウンセラーと学校の関係
大津のスクールカウンセラーは何が問題だったのか


いじめにスクールカウンセラーはどう取り組むか
「いじめ」とスクールカウンセラー
「いじめ」から見る大津のスクールカウンセラー


5 いじめの対策を考える

いじめをやめようから「いじめ」を知るへ
チクリについて
いじめかどうかの判断は厳禁
いじめは自殺の原因か問題


いじめが起きた後に評価すべきことは
プロレスごっこが減ったはいいことか
クラス解体論について
いじめ認知件数の増加


割れ窓理論の本当の姿
つまりいじめ対策に必要なものは
今いじめられている人へ

改めて結論


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