見出し画像

東京国立博物館でアートなお年始。「茶の美術 茶碗 茶の湯を語るうつわ」で茶の湯ブランディングを学びました。

東京国立博物館で2日から開催している
「博物館に初もうで 謹賀辰年ー年の初めの龍づくしー」
を見にいってきました。
もう、アート、アート、アート!
お宝がずらりで、目の贅沢をしてきました。
もちろん、目当ては長谷川等伯の松林図です。

これを見ないと一年が始まらないというくらい好きで、今年も拝んできました。
筆に迷いがないのが凄いし、構成力が神がかっていて天才の離れ技を感じます。
自分の才能に絶対の自信がある人が、あえて
「枯れ」
を描いてみせるのが天才が天才である所以です。
先月から始めた茶道、茶名拝受に辿りついたら、できれば「松」か「伯」どちらか一文字入れて、宗松か宗伯になりたいです…。

そして、茶道のお稽古を始めたばかりのビギナーには嬉しかったのが、茶碗のコレクションの展示!
「茶の美術 茶碗 茶の湯を語るうつわ」
は、茶の湯のトレンドの変遷が見て取れて面白かったです。

多くの茶碗が展示されているなかで、目立っていたのは。

黒織部。国博のサイトから借用した画像です。

写真で見るよりも、ずっと大振りでゴツい。
これでお茶を出されたら笑ってしまうと思います。
でも、当時のエネルギッシュな空気感や人の好みがガツン!とくる迫力がありました。

回し飲みで楽しむために作られたように見える茶碗は、サラダボールのような大きさでずっしりといかつい笑
大勢で遊山に繰り出して、花見や能楽でひとしきり盛り上がったあとにお茶を回し飲みすると、参加者に一体感が出て打ち解けられたのかもしれないですね。
シーシャみたい。

一方、茶の湯ぽいセンスだなあ、と思ったのがこれです。

魚屋茶碗 銘 さわらび
掌に乗るサイズ

侘茶が主流になり始めた天正年間に、朝鮮半島で作られた普通の茶碗が大量に輸入されて茶の湯の席で愛好されたそうです。
片手で扱えるすっきりした姿、優しい色使いに、トレンドの違いがはっきり見て取れて面白かった!
お茶の楽しみ方が、大勢で盛り上がる余興から、趣味のよさを競う社交になったのでしょうか。

ここからは現代人の妄想なので笑って読み流してください。
魚屋茶碗(ととやちゃわん)を眺めると、日本に輸入されてきたなんてことない茶碗を、
「これはよい!」
と見出して、茶席で使いこなしたセンスの持ち主がいたのだと思います。
そして、茶席という舞台と茶人同士のセンスの競い合いがトレンドを起こす下地になって、

ただの茶碗が大出世

したのでは。。。
目利きで見出した品物を人が追いかけて熱中するのって、たまらなくドヤ!だった思います笑

それにしても、この朝鮮半島で作られた茶碗が名物にまで上り詰めたのは、
金塊和歌集の一首、

さわらびのもえいづる春に成りぬれば
のべのかすみもたなびきにけり

から採った、
「さわらび」
の銘が付いたのが大きいのでは。
春霞がたなびくように釉薬がかかった茶碗にふさわしい名前、しかも由来を和歌に求めたのは、まさにネーミングの勝利、と怖いものなしの初心者は唸りっぱなしのアート詣ででした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?