字幕の韓流ドラマだから
ピアノ弾いてくれていいよと君は言う

テレビからは韓国語
ピアノからは長男の弾くドビュッシー

二つの音の間に座る僕は
ふとテレビに目をやり
「この人の髪型おかしくない？」

テレビに見入ってる君は
無反応でやりすごすから
僕の独り言はアイスカフェオレに沈む

君は武闘派じゃなくて微糖派で
僕は無糖派だけどちょっと虚しくて

グラスに無糖コーヒーを4分の3
微糖コーヒーを4分の1
牛肉じゃなくて
ギニュー特戦隊じゃなくて牛乳を
好きな色になるまで注ぐと
溢れるまであと1ミリ
いっそのことあと2ミリ注いで
表面張力を見たい衝動

でも後処理が大変で
後処理はいつも下っ端の
僕の役目だからと諦め

それでもグラスを運ぶには
あまりにリスキー

そっと唇を寄せて
8ミリ吸い込むと
思った通りに美味しい

二階からはボイチャしなから
オンゲーする次男が
「きぇぇーぃいィー」

いつもの奇声のあと
ケタケタケタケタと笑い声
いろんな音のブレンドで
そりゃあ美味しくなるはずだ