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熱中する体育授業をつくる! 能力差に合わせた授業づくり。

 みなさんは、「子どもにとっての体育の授業のイメージは?」と聞かれると、どのような考えをお持ちになるでしょうか。実際に子どもに対して授業のアンケートをとると、上位に体育の授業が入るのは間違いありません。その理由としては「体を動かすことができるから」「運動が好きだから」「面白い内容が多いから」など、様々な理由があげられます。体育の授業は、ある程度「楽しい」が約束されている教科であるとも言えます。
 その反面、「運動が苦手な子」にとっては中々苦痛な時間が続くのが体育の授業です。そして何より「苦手が表面化してわかりやすい」というのが苦痛ポイントになるのではないでしょうか。教室で行う授業であれば、ある程度大人しくしておけば授業をやり過ごすことができます。しかし、体育は必ず自分の番、自分が行動すべき場面がやってきます。チームで行う単元であれば「友達に何か言われたらどうしよう」「迷惑をかけてしまったらどうしよう」など様々なことを考えてしまいます。私は今までスポーツを続けてきましたし、教員は何かとスポーツに親しみをもっている方が多いような気がします。なので「苦手な子」の気持ちに疎い一面もあるのではないでしょうか。そこが体育という授業の問題だと感じています。「苦手・できない」を感じる子が熱中する授業をつくる。このマインドが教師には必要になってくるわけです。

①全員に同じ条件をやめる

 私が提唱する一番のことは「全員が同じ状況・条件下での活動をやめる」ということです。つまり、個人差に合わせる授業づくりを行うのです。例えば、リレーの授業があったとします。この授業では走るコースを3つ程度に分けます。Aコースは距離が長く、得意な人向け。Bコースは中距離。Cコースは一番短く、苦手な人向けのコース。そのように、コースを分けることで、「私は得意だからAコース。○○さん、もし苦手ならCにする?」など、選択の場が生まれます。苦手な子もCコースであれば頑張ってみようと思えますし、コースが違うので抜かされるという心配もあまりありません。また、単に1位や2位という順位を基準にするのではなく、一番最初に走ったタイムから、何秒縮まったかの差をポイント化することもできます。要は、過去と現在の変化をポイント化するわけです。
 全員が同じ状況ではなく、苦手な子も輝ける場面をつくることで、結果的に得意な子も体育授業を楽しむことができます。周りの子に対する意識が生まれるのです。自分だけでなく、チームとして考えていく。そのような気持ちが芽生えてくるのだと思います。

②工夫された内容の例

 例えば、どのような活動内容が考えられるでしょうか。私が今まで実践してきた内容の一部を羅列していこうかと思います。

〇ティボールではバットだけでなく、ラケットも可能
 ボールの大きさを自由に選べる

〇ボール運動系ではサイドマンをつくる。サイドマンは手でボールを操作可 
 能。自由に動くことができる。

〇リレー・折り返しリレーでは距離や折り返しポイントを複数指定。
 人によってはスタート位置を変えてもOK。

〇器械運動系では複数の場をつくる。スモールステップの考え方で
 「誰もができる場づくり」を必ず取り入れる。

〇バレーボールでは重量の違う複数のボールを用意する。
 1人はキャッチ可能な人をつくってもよい。

など、様々な内容で工夫することができます。その単元の中で「苦手な子が活躍するためにはどうするのか?」を考える必要があります。単元計画を考える前にそのような視点を取り入れておくことが大切です。

③学級経営の大切さ

 今まで述べてきた内容を支えているのは間違いなく「今までの学級経営」です。そもそも違いを認め合える集団であるのかどうかということが大切です。能力に差があることで、もちろんルールの差も出てくる。この部分を受け入れられるかどうか、子どもたちの認識が問われます。
 ですが、私の考えはそのような違いを認め合える集団を体育を通してつくっていけば良いということです。学級開きの段階でこのような工夫を用いた体育授業を継続的に行っていくことで、違いを認める認識が子どもたちに生まれます。体育で学級経営をするのです。学級経営との関連性を把握し、2つの視点から授業づくりを行う。これが必要であるのだと思います。

④終わりに

 さて、今回は体育での授業づくりについて述べていきました。常々、私は学級経営と体育の関係性を伝えてきましたが、そこには本当に大きな親和性が存在していると思います。「苦手な子が輝ける体育授業」は「違いを認め合う学級集団」の育成につながります。1つ1つの積み重ねが大切なのです。少しずつ、このような意識を大切にして過ごしていきたいものですね。


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