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「あなたの沖縄」執筆者紹介

「あなたの沖縄」の活動を開始して約2年。執筆者の数は30名を超え、これまでに85本のコラムを投稿しました。個人的な思い出や体験を通して、それぞれにとっての沖縄を描くという趣旨に多くの方が賛同し、活動の輪が広がっています。

 最近は、リアルの場での活動にも力を入れており、メンバー同士の座談会や誰でも参加可能なトークショーの開催などに取り組んでいます。こうした活動の一つに、東京近郊に住む有志のメンバーで行っている「読書会」があります。

 今回は、読書会を運営している山本幸大さんに「あなたの沖縄」に参加した経緯や読書会についてお話を聞きました。

(聞き手:西由良)

山本幸大(93年生まれ 兵庫県出身)

自己紹介

 山本幸大です。父は兵庫で母は沖縄出身。自身は兵庫の山間の小さな町で生まれ育ちました。
 住んだことはないけれど、親という身近な人間を通して出会い、色んな想いを抱いてきた大切な土地。僕にとって、沖縄はそんな場所です。
 苗字そのままで、山と本(+お酒)が大好きです(笑)。

自分の距離感から沖縄を考える

──「あなたの沖縄」に参加した経緯を教えてください!

 去年の夏頃、シブヤ大学という市民大学で開催された『つながる沖縄近現代史』(2021年、ボーダーインク)の講座に参加したのがきっかけです。大学の先輩で編者の一人だった古波藏さんに誘われて行きました。そこで、主宰の西さんと会って、「あなたの沖縄」の活動を知りました。家に帰ってコラムを読んでみると、今まで色々なメディアで読んだ沖縄と違って、その人にとっての沖縄をその人なりの温度感で書いているのが素敵だなって思いました。それから、西さんに読書会に誘われて、今に至るという感じです。

──講座に参加したのは、沖縄に関心があったからですか?

そうです。母が沖縄出身で、小さい頃から沖縄の話を聞いてました。ガジュマルの木に秘密基地を作ったとか、ブロック塀の穴にハブがいるとか。家事をしながら谷茶前節(琉球民謡)をよく歌っていたのも覚えています。ただ、全部がほのぼのとした話というわけでもありませんでした。母は復帰前の生まれで、幼い頃は東京に住んでる叔母を訪ねるのにパスポートを取らないといけなくて。同じ日本人なのになんでなんだろうって子どもながらにおかしいなって思ったという話を聞いたことはとても印象に残っています。大学に入って、社会や自分のルーツに関心を持つようになってからずっと、沖縄について自分なりに考えています。

──ずっと沖縄について考えていて、その延長で「あなたの沖縄」に参加したんですね。

 大学以来、沖縄のことを知りたくて色々と文章を読んだり、意見を聞いたりしてきましたが、沖縄に関する議論は、「観光地の沖縄」か「基地の沖縄」の両極端になりがちだと感じていました。でも、私が母の話を通じて知った沖縄は、こうした議論からはこぼれ落ちているような感覚がずっとありました。自分にとっての沖縄を語ってもいい場所をずっと探していました。そんな時、先ほど言った「あなたの沖縄」との出会いがあったんです。みんながそれぞれの距離感で沖縄について書いているのを読んで、ここなら自分も沖縄のことを話せるかもと思って参加しました。

みんなと沖縄を語り、自分の殻を破る

──最初の活動は読書会ですよね。沖縄について実際に話してみてどうでしたか?

 大学のゼミ以来、初めての読書会で緊張しました。読書会に参加するまで、沖縄のことは自分の頭の中で考えているだけで、あまり周りにオープンにすることはありませんでした。でも、話してみると色々な発見があって。共感してくれたり、自分とは違う意見をくれたり、色々なリアクションをもらえました。自分の中だけで完結していた時とは、違う景色が見えたんです。

──読書会に参加してくれた後、「半分の沖縄とともに」というコラムも書いてくれました。

 最初は、コラムを書く気はあまりなかったんですよ(笑)。日記の中には、沖縄についての書きかけの文章がいっぱいあったんですけど、自分の中だけのもので。それをどう外に出したらいいのかわかりませんでした。でも、読書会に何回か参加してから、自分の言葉を聞いてもらう面白さに気づいたんです。その経験があったから書けました。今では書いてよかったと思います。

──山本さんは、今では読書会の運営もしてくれています。今後、読書会をどうしていきたいですか?

 読書会は自分だけのものじゃないので、これまで通りみんなで方向性を探りながら面白い会にしていきたいです。ただ自分の場合、これまで沖縄を考える中で、生まれ故郷の良さに目がいくようになってきた経験もあるので、「沖縄という一つの地域をじっくり考えることで浮かび上がってくる、他の地域にも共通する面白さや課題を考える会」みたいなことも今後できたら良いなと思っています。

──最後に、「あなたの沖縄」で好きなコラムを教えてください!

 二つあります。
 一つは、「親戚付き合いが嫌い前編後編」。
 これを書いたTさんにとって明るい話ではないし、「好きなコラム」という言い方はちょっと違うのかもしれないですが。。ただ沖縄の親戚付き合いのエピソードを通じて、本当は自分の身の周りにもあるのに目を向けていなかっただけの事柄があるんじゃないかなど、色々なことに気が付かせてくれたとても印象的なコラムです。

 もう一つは、「僕とコザとタコスのお話」。実は、大学生のときに、コラムに出てくるオーシャンに行ったことがあるんです。マスターに、「自分は生まれが関西だけど、母が沖縄出身だ」みたいな話をしたら、「そんなうちなーんちゅとかナイチャーとかどうでもいい。君がどう沖縄と向き合うかが大事なんでしょ」と言われました。すごく印象的な言葉で、今でも忘れられません。

──ありがとうございました!!

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