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夢二の夢はどんな夢?

竹久夢二のこだわり「浴衣は無雑作に着るべきもの」のnoteの続きで、竹久夢二についてです。


竹久夢二の世界観は、線が細くしなやかで、色鮮やかな世界はまるで夢のようですよね。西洋の文化が入り始め、和と洋が混じり合い、恋愛が謳歌され、大衆文化が花開いた大正時代。たった15年という短さに儚いイメージも重なって、何ともうっとりしてしまう、まどろみのような時代。

時代の雰囲気に見事にマッチしていた夢二ですが、今日は画家としてより詩人としての夢二に注目してみたいと思います。

実は、夢二は最初は詩人志望でした。

文字で詩をかくより形や色でかいた方が、私には近道のような気がしだして、いつの間にか絵をかくようになってしまった。
(「私が歩いてきた道」『中学生』第八巻第一号、一九二三年)

と記しています。

詩人夢二の世界を堪能できるのが「「竹久夢二詩画集」。詩とエッセイが収録されていて、詩と一緒に画も収められています。詩の方は画の世界と同じように、やさしくて繊細で女性的な印象の作品が多く、言葉のひとつひとつが妖艶な色をもって舞っているようです。

また、どの詩もとてもテンポがよくて読みやすく、その情景が目に浮かびます。恋愛、女性、人生、孤独、旅、郷愁、自然、四季が主なテーマで、身近な生活を情緒豊かに表現しています。その優しくて分かりやすい詩は、子供向けの童謡の詩としても多くが創作されました。


さて、そんな夢二の詩をひとつ。

花のゆくえ
ほろり ほろり と、花がちる。
花にゆくえを聞いたらば。
空へ舞ふのは、蝶(てふ)になる。
海へ落ちれば桜貝(さくらがい)。
花はのどかに笑ふてる。
ほろり ほろり と、花がちる。

(『絵物語 小供の国』)

いかがでしょうか? 優しい描写とその感受性に、瞬く間に夢二ワールドに引き込まれてしまいますよね。

多くの詩がこんな雰囲気を醸し出しているのですが、エッセイとなるとちょっとまた違う顔が垣間見れます。

夢二の詩とエッセイがたっぷりの本はこちらです!


今日のメイン画像は、2018年に東京ステーションギャラリーで開催された、『千代田区×東京ステーションギャラリー「夢二繚乱」』より

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