身体が透きとおる瞬間に
確かに愛しあっているのなら、二人の身体は溶け合いひとつになる。溶けて混ざり合うその一瞬前、肉体は何もないかのごとくに透きとおる。二人の細胞ひとつひとつが色為すことを止め、もう何も要らないと見えることを手放す。そこに居る存在それだけが全てだから見えている必要さえない。そのことを誰に命じられなくとも身体は解っているから、ひかりを反射することを停止して、存在を透明にする。そしてぼくたちはようやく理解する。ぼくたちを分け隔てている皮膚という境界など互いの気持ち次第でどうとでもなるとい