本屋で立ち読みしてたら、誰かの「ぷぅ♪」が聞こえた。
駅の構内にある本屋さんで官能小説を立ち読みしていたところ、どこからともなく「ぷぅ♪」がした。
芸術点高めの屁音だった。
臭いは全くしない。
音で気づくタイプの「ぷぅ♪」。
***
人間、どうしても「ぷぅ♪」が我慢できないときってある。
美人であろうがなかろうが。
誰しもが遭遇したことがあるだろう。
我慢して我慢して、本当に我慢ができずに「ぷぅ♪」漏れてしまったとき。
ボクみたいな平凡小僧は、せめて、周りに気づかれないように「ぷぅ♪」をかまそうと思う。人生で知らず知らずのうちに培ってきた屁技術が試される瞬間だ。サイレントかつ、ノースメルのを「ぷぅ♪」意識する。
「ぷぅ♪」は、無色透明の気体である。ゆえに視覚では確認できない。人は、聴覚と嗅覚で「ぷぅ♪」を「ぷぅ♪」と認識する。言ってしまえば、人がいるところで「ぷぅ♪」したとしても、音とニオイさえしなければ、周りに気づかれることはない。
だが、しかし、世の中には、本屋さんのような静かなところで「ぷぅ♪」を奏でる奴がいる。別に「なんて奴だ!」と怒ってるわけではない。
むしろ逆だ。
このSNS時代において、一般人でさえ、どこで何を言われるかわからない。そんな中、公衆の場で「ぷぅ♪」するなんて、逆に新鮮である。なんなら清々しささえ感じる。
あるいは、自分の存在を「ぷぅ♪」で誇示しているようにも感じられる。ある意味、生への執着。ここに私がいる。確実に存在している。生きてるってこういうこと。とでも言わんばかりの「ぷぅ♪」だった。
もしかしてもしかすると、堂々と官能小説を立ち読みしている私に対する忠告だったのだろうか。
*
「ぷぅ♪」のお兄さんは、ぱっと見40~50代くらい。
「ぷぅ♪」の後も堂々と立ち読みを続けている。
何を立ち読みしているのだろう。
読んでいる本を見てみようとした。
が、できなかった。
近くで「ぷぅ♪」されるのは、さすがに嫌だったから。
公衆の面前で堂々と「ぷぅ♪」できるお兄さんと近くで「ぷぅ♪」されるのが嫌な私。この時点で人としての器の大きさで惨敗している気がした。
所詮、僕なんてそんなもんだなぁと思い、本屋さんを出た。
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