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#5 毒親にバレる事件発生。彼女との将来は…?(後編)


※俺と彼女の交際のエピソードです。
※元ネット恋愛カップル。遠距離恋愛3年の月日を経て、今年4月より同棲始めました。


前回の記事↓



前回の続きから。
2月の夜7時。殴られる覚悟で実家に着いた俺は、いつものように玄関から入ろうとするが…ドアが開かない。
鍵がかかってるのはそんなに珍しくないので、ドアを叩いて誰かに開けてもらおうとした。
誰も来ない。鍵はかかったまま。
合鍵なんか持ってないので、もう一度ドアを叩くが…何も反応がない。

明らかに様子がおかしいと思った俺は、まず親父に電話をかけることにした。
出ない。

次に母と兄に電話をかけるも……出ない。
もう一度親父に電話をかけるが出ない。

外から窓に向かって「お父さん」と割と大きな声で呼びかけたが…これも無視。
明かりはついてるし、キッチンで何やら料理をしている音も聞こえる。間違いなく俺が帰ってきたことは皆んな気付いているはず。

それでも一向にドアが開く気配がない。
完全に無視されている俺は、ドアを開けてもらう為にも仕方なく窓に向かって「すみませんでした」と謝罪の言葉を投げてみるが…これも無視。
さらにもう一度、親父に電話をかけるが今度は秒で切られる。

色々試したが全て無視された俺は、外で既に30分を経過している。2月の夜7時なんてもう気温は4〜5度しかない。
寒さで身体が震え出してきた俺は車の中に戻ろうかと思ったが、車の中に籠ったら更に親父が激怒するのが目に見えたので、わざと分かるように窓の近くでうずくまることにした。
それでも中々出てこない親父。

もう外で1時間が経とうとした時、玄関から母が出てきて「もう中に入りなさい」と言ってくれた。
なんとか中に入ることができた俺はいつものようにリビングの方に向かうと、悪態をついて座る親父が居た。
とりあえず謝罪をしなければいけない雰囲気なので謝ると「半殺しにあう覚悟はできてるか?」「何か言い訳があるなら聞くぞ?」と言われた。

① 真っ先に友達に会いに行くくらい友達のことが好きなのか。
② そんなに家に帰りたくないのか。
③ ウソをついて何かしてるのか。

親父は「友達と遊ぶ」だけで2日も家に帰って来ないのか疑っていたらしい。
そもそも親父はたとえそれが事実でも、大変な時期(親父が仕事を辞めて貯金がなく、俺や兄の稼ぎで生活をしなければならない)に自分だけ楽しい思いをしようだなんて抜け駆けを許せないとのこと。
散々自分は散財しまくったくせによく言うぜ。流石毒親。やりたいことはめちゃくちゃだなぁ…。

俺にはウソをつき通す覚悟が足らなかった。
もう親父に友達と遊んだことがウソだとバレている以上、打つ手がないと思った俺は正直に「彼女とデートしてたんだ」と告白した。

…すると親父は「やっぱり」と言った。
殴られるか罵倒されるかと覚悟したが、急に穏やかになった親父。「彼女がいるならいると言えよ」「男に興味があるのかとヒヤヒヤしてた」
と言い出し、一切怒らなかった。
安心した親父は「じゃあ、愛人ちゃんにも報告するから」と言って電話をかけようとした。
「え?なんで?」と報告を阻止したかったが「お前が帰って来ないから愛人ちゃんも心配してたんだ。家族同然の人なんだから別にいいだろ?」と言って電話は愛人と繋がった。
彼女が居ることを愛人にも暴露され、「とりあえずゆっくり休めよ」と言って2階に上がった親父。

彼女の存在を知られてしまった以上、今後会いに行くのも難しくなる。そしてあの悪魔2人がどんな妨害をしてくるのか分からない。
兄は「もっと賢いウソをつけよ」と怒ってくれたけど、寒さで身体の限界を感じ、彼女と離れて胸が苦しいかつ殴られるかビクビクしてる状態で上手いウソでやりきれるほど俺は賢くないし、強くもない。


親父は「すまんすまん。彼女だと言ってくれてたらこんな真似しなかったのになあ」と謝ってくれたけど、俺は「なぜここまで親に縛られないといけないのか」「俺はそんなに悪いことをしたのか」とじわじわ憤りを感じた。
親の為に。家族の為に。朝早くから出勤して残業までして働いた給料のほとんどを生活費として親に渡し、休みの日はなるべく親父の機嫌を伺う為に嫌いな愛人とも笑って過ごし、苦痛で仕方がない家族との時間も我慢して過ごした。

「一体俺の人生はなんなのか」と今回の件で改めて考えた俺は、彼女とのこれからの人生を選ぶ為に親父と愛人と縁を切ることに決め、家出を決意した。

「俺は金稼ぎの道具なんかじゃない」

◆  Twitter:@Sense1Yozora

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