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【読書】『BLUE GIANT 1〜10』 石塚真一 小学館(2013)

いま、映画化されて人気のマンガだ。
「すごいいい映画だからみよう」と連絡があって予定していたけど、結局流れて映画は観ていない。
では、原作から読んでみよう、となって読んでみた。
いい作品なんだろうけど、僕なりの事情もあって感情移入できなかった。
映画は別、ということもあるみたいだけど。

僕なりの事情の「ジャズ」について。
ジャズがこれだけ評判になるのは、それだけ知らない人が多い、ということの裏返しだと思う。
主人公は、この次のシリーズでドイツを目指すらしいけど、ドイツで熱狂的に受け入れられた日本のジャズがある。
フリージャズの山下洋輔トリオだ。
1966年から1983年までメンバーの変遷はあったけど、山下洋輔のピアノ、ドラム、サックスが一本か二本、ベースが入ったり入らなかったりして続いた。
トリオの頭である山下洋輔は彼の著書(『風雲ジャズ帖』 音楽之友社 1955年)の中で、山下洋輔トリオのフリージャズのルールについていろいろ書いている。
この中で山下は「パワー」を求めて「ドシャメシャ」にした、とある。
どれくらいドシャメシャかは聞いてもらうとわかるけど、これが「ドシャメシャ」ではないのだ。
そしてねらい通り「パワー」は感じると思う。
縁あって、30年以上前にこの本を読んでいて、こういったところのジャズを聞いた身にとっては、「何を今更」なのだ。

マンガの主人公は、「パワー」を楽器をあつかう体力と技術で得ようとしている。
そして、ドイツを目ざしてアメリカを目指して最後に「フリー」にたどり着くのだろうか。
こういった楽しみはあるシリーズだと思う、といったら失礼か。
いずれにしろ、ここからもっとジャズを聞いてください。

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