すいこがくせん

昔、ボート漕ぎ。 超体育会(体育会を超える)と思っているけれど、実は元活字中毒者。 活…

すいこがくせん

昔、ボート漕ぎ。 超体育会(体育会を超える)と思っているけれど、実は元活字中毒者。 活字で強くなったと思っています。 最近は動画ばかり眺めていたので、いかん、と思い、読書と活字リハビリ中。 「すいこがくせん」は「推古岳仙」と書き、亡くなられた書の先生からいただいた名です。

最近の記事

【読書】『ナショナル・ストーリー・プロジェクト一①、②』 ポール・オースター編 柴田元幸 他 訳

今年5月に『肩をすくめるアトラス』(アイン・ランド 脇坂あゆみ訳)を1ヶ月かけて読んだ。 難行苦行といっていいくらい苦しんで読んだ。 作者がアメリカで聖書の次に読まれている、と帯に書いてあったこと。 「資本主義」(民主主義ではない、ここ勘違いしやすい)とは何かということを知りたかったこと。 年取ったものが読めるか、というチャレンジ。 本によっては冒頭をちょっと読んで積読(つんどく)にすることもあるけど、この本はチャレンジだった。 結果は途中まで丁寧に読んだけど、最後は斜め読み

    • 【読書】『漢字百話』 白川 静 中公新書 (2003)

      この本は、うまく眠れない時のナイトキャップとして読んでいた。 だから読まない日も多く、いったいいつから読み始めたのかも良く覚えていない。 ただ、この本を買ったときのことはよく覚えている。 2022年2月に札幌に行き、「BOOK LAB.」という素敵な古本屋で買ったのだ。 札幌には観光で行ったのだけど、案内をしてくれた方が読書会を10年以上主催している、という読書家であった。 ここで、小説を読んだら、と勧められて、例えば「谷崎潤一郎」や「吉村昭」など、名前は知っていても読んだ

      • 【読書】『土木の肖像 Civil Engineers』 山崎エリナ グッドブックス (2020)

        この本は写真集だから「読書」とするのはどうか、と思うけれど写真も読むものだ、と勝手に解釈して書いてみる。 「土木」を「インフラを整備すること」、とすると、とても身近でなくてはならない存在なのに、なぜかスポットライトが当たっていないように思える。 あえて「整備すること」としたのは、新しく作ることだけではなく、メンテナンスも大事だからだ。 この本の写真の中で働く人たちは、雪が降ろうが、雨が降ろうが外で仕事をしている。 この本には兄弟本があって、同じ写真家が撮った「トンネル誕生

        • 【読書】『お金の学校』 坂口恭平 晶文社 (2021)

          「お金」について、特に「お金の稼ぎ方」について教えてくれるところはない。 お金の運用はお金の使い方の話で、お金を稼いでいるわけではない。 稼ぎ方を学ぶ前に、自分のことを見直すことが必要です。 自分が生活するのにいくらかかるのか。 坂口はお金がかからない生活をしている。 実は、ここが大切で、いくら使うかから積み上げると苦しくなってしまいますね。 まず、使わない生活するのではなく、生活する時間が稼ぐ時間とイコールなら使わないですよね。 僕はサラリーマンのいいところは、これはバ

        【読書】『ナショナル・ストーリー・プロジェクト一①、②』 ポール・オースター編 柴田元幸 他 訳

          【読書】『覚悟はよいか』 朝比奈宗源 ドクスメレーベル ごま書房新社(2023)

          この本は昭和53年に出版された原本を編集、復刻版としたものだ。 筆者は鎌倉にある臨済宗円覚寺の管長であった、 禅宗というと「見性」がある。 辞書などには「自己に本来備わっている本性を見究めること。」とあるけど、いわゆる「悟りを得る」ことだと思う。 そして「悟りを得て」からが始まりで、「うっかりしていると死禅になり野狐禅になる。」という。 「なお年月をかけて坐り、公案を調べて修行して、境界をみがかねばならない。」とある。 おそらく禅宗であれば、終わりなき世界であるとしても、後は

          【読書】『覚悟はよいか』 朝比奈宗源 ドクスメレーベル ごま書房新社(2023)

          【R.I.P】坂本龍一さんを偲んで

          確かに、坂本龍一さんの体調はあまり良くない、と報道されていました。 しかし、こんなに短い期間に高橋幸宏さんに続いて亡くなられるとは思いませんでした。 坂本龍一さんを知ったのはYMO(と書いてイモではなく、イエロー・マジック・オーケストラ)が最初で、その後に渡辺香津美さんの「Kylin Live」でのエネルギッシュな演奏を何回も聞いた。 坂本さん(高橋さんも含むかな)のアルバムは、とても洗練された音だけど、古い(ということは若い)時代のライブには、エネルギーを感じます。 ぜ

          【R.I.P】坂本龍一さんを偲んで

          【読書】『ユートピアの裏側で −コムナルカとソ連の記憶』 鴻野わか菜+本田晃子+上田洋子 ゲンロン13より ゲンロン (2022)

          かつて「ソビエト連邦」(ソ連)と呼ばれ、多くの共和国で構成され、共産主義の総本山であった国が、1991年に崩壊し、「ロシア共和国」となった。 今回は、「ゲンロン13」という評論誌の中で、ソ連時代にあった共同住宅「コムナルカ」について、3名の討論を読んで考えたことを書きたい。 「コムナルカ」は、次のように紹介されている。 「ソ連時代のはじめに、帝政期(注:ソ連は1917年ロシア革命によって帝政が崩壊して成立した)に貴族や商人の住宅だった建物を国有化して作られた、都市の労働者

          【読書】『ユートピアの裏側で −コムナルカとソ連の記憶』 鴻野わか菜+本田晃子+上田洋子 ゲンロン13より ゲンロン (2022)

          【読書】『夜露死苦現代詩』 都築響一 ちくま文庫(2010)

          都築響一の本は、「ちくしょー」と悔しくなる、と書いたことがある。 なんでだろう、という都築響一論はとりあえず置いといて、この本を読んでも悔しいのだ。 僕にとって、「詩」は長いあいだ関係のない分野だ。 ちょっと、知っているのは宮沢賢治の代表作と小学校、中学校で習った俳句、短歌くらい。 この本にあるように歌の歌詞を入れると、もうちょっと多くなるけど、それはカラオケで歌っているうちに覚えたもので、メロディなしで味わったことはない。 「詩」を「うた」としたときに、白川静の『

          【読書】『夜露死苦現代詩』 都築響一 ちくま文庫(2010)

          【読書】『東京スナック飲みある記』 都築響一 ミリオン出版(2011)

          いろいろな本を読む間にながめる本として時間をかけてながめてきた。 「スナック」は12年前に「地元密着の老舗スナックが、不景気やママさん、マスターの高齢化で、どんどん店を閉めているのに。」(本書あとがき)という状態であった。 本書は「スナック」より23区の23の「スナック街」の本である。 写真が多いからながめるのだが、スナックの紹介の文がまた、いい。 都築はスナックに通いなれた人ではないと思う。 まぁ、23区の「スナック街」全てに通いなれている人はいないだろうけど。 「

          【読書】『東京スナック飲みある記』 都築響一 ミリオン出版(2011)

          【読書】『踊る虎』 栗田哲男 旅行人(2023)

          本を読んだことを忘れないために「note」に書くようにしている。 気になる作家を集中して読むことが多いけれど、一冊一冊独立した形で書いている。 この本を読む前後に『天路の旅人』(沢木耕太郎著 新潮社 2022)を読んだ。 『天路の旅人』の感想の最後に次のように書いた。 沢木は、主人公のたどった道を訪れたい、と書いている。 訪れた後に、この本に加筆をして、もう一度出してほしい。 こう書くのは、本書を読んでいたからだ。 栗田は、中国語を身につけ、長く中国で仕事をしたのちにフ

          【読書】『踊る虎』 栗田哲男 旅行人(2023)

          【読書】『天路の旅人』 沢木耕太郎 新潮社(2022)

          本を良く読む人の本の選び方には二種類あると思う。 一つは、話題の本を読む。 これは、売れている本を指すことが多い。 もう一つは、読みたい著者の本を読む。 これは、たとえ絶版になっていようが探して読むことを含む。 もちろん、100%どちらかになることはなく、読む本は選ばれているからこそ読まれものであり、売れている作家の本は話題になるので両方という人も多いと思う。 僕は圧倒的に後者に片寄っている。 最近は、発売から時間がたってしまい。古本を探して読むことが多い。 大型店に行った場

          【読書】『天路の旅人』 沢木耕太郎 新潮社(2022)

          【読書】『現代社会の秘密結社−マフィア、政党、カルトの興亡史』 安田峰俊 中公新書(2021)

          著者は中国関連のルポライターとして多くの本を書いている。 以前、天安門事件(中国では八九六四)に関する本を読み、その続きで本書を読んだ。 以前、宮崎学という作家が洪門、青幇(副題ではマフィアとなっている)について書いた本を読んだことがあり、興味があったからだ。 中国人は、中国国外において華僑として暮らす人々が多い。 海外に労働者として出た移民の子孫であり、また、彼らを頼って中国から移民として出てきた人であり、彼らは東南アジアを中心として経済的に成功をおさめ、大きな勢力を持

          【読書】『現代社会の秘密結社−マフィア、政党、カルトの興亡史』 安田峰俊 中公新書(2021)

          【読書】『BLUE GIANT 1〜10』 石塚真一 小学館(2013)

          いま、映画化されて人気のマンガだ。 「すごいいい映画だからみよう」と連絡があって予定していたけど、結局流れて映画は観ていない。 では、原作から読んでみよう、となって読んでみた。 いい作品なんだろうけど、僕なりの事情もあって感情移入できなかった。 映画は別、ということもあるみたいだけど。 僕なりの事情の「ジャズ」について。 ジャズがこれだけ評判になるのは、それだけ知らない人が多い、ということの裏返しだと思う。 主人公は、この次のシリーズでドイツを目指すらしいけど、ドイツで熱狂

          【読書】『BLUE GIANT 1〜10』 石塚真一 小学館(2013)

          【読書】『独居老人スタイル』 都築響一 ちくま文庫(2019)

          僕は50歳代後半なので、自分では「老人」ではないと思っているけど、僕が小さい頃は60歳というと「老人」だった。 今は60歳というと、まだまだ若い(老人として?)と言われるけど、本書に出てくる人のように「独居」で、かつ自分のペースで生きる人たちを知りたいと思い、読んでみた。 著者が「20代のころに50になった自分を想像することは不可能だったけれど」、と書いている。 僕もまったく同じで、20代の頃には50代の自分を想像できなかったし、何よりどうやって生きているかが想像できなか

          【読書】『独居老人スタイル』 都築響一 ちくま文庫(2019)

          【読書】『まずいスープ』 戌井昭人 新潮文庫(2012)

          文学の書籍新刊点数は、令和2年で12,104点(総務省統計局 統計データ 第26章文化 26-5 書籍の新刊点数と平均価格の中から文学のみ)。ゆっくり減っているとはいえ、毎年1万数千点の書籍が新刊として出ている。 こうした中で、この本とどうやって出会うのか。 僕は、この人が読んだ本を読んでみたい、と思っている中で「この人」が書評で取り上げていたから読んでみようと思った。 小説は読む。 こう書くとメインではないのか、と思われるけど、そのとおりでメインではない。 僕は、自

          【読書】『まずいスープ』 戌井昭人 新潮文庫(2012)

          【読書】『東京都北区赤羽 増補版1〜4』 清野とおる 双葉社(2014)

          この本はタイトルで分かるとおり、清野が住むことになった赤羽の近所ネタをとりあげたマンガだ。 清野の視線は興味しんしんであり、常にあたたかい。 僕の経験では。人への興味は若いほどストレートだと思う。 そして、いいも悪いもいろいろ経験して、このストレートさがなくなっていく。外見だけで、ちょっと話を聞いて勝手に判断してしまう。 もう一度、ストレートになろう、とは思わないけれど、自分の周りに見落としているものがあるのではないか、と思わせてくれる。

          【読書】『東京都北区赤羽 増補版1〜4』 清野とおる 双葉社(2014)