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日誌「ブルターニュ展」 #725

春分の日。11時ごろに目が覚めてテレビをつけると野球の試合が放送されていた。「そうか、これがWBCか」としばし見てからテレビを消す。外は予報通り曇っているが雨は降らなそう。ボーッとしている間に家を出るギリギリの時間になってしまい、何も食べることなく外へ飛び出した。そうして到着した上野。パンダが初めてやってきた日かと思うほど人がいる。アラサーにして《春+祝日+上野公園=ヤバい》ということを知った。

目的は国立西洋美術館で行われている『ブルターニュ展(憧憬の地 ブルターニュ)』の鑑賞。ブルターニュと言われれば「ワインで有名ですよね?」と反射で答えたくなるが、おそらくそれはブルゴーニュだろう。実際はガレットやシードル、ゲランドの塩などで有名らしい。塩が名産というところからも分かるように、ブルターニュはイギリス海峡などに面した地域だ。英語では“リトルブリテン”とも呼ばれるらしい。

そんな“異郷”を愛した、または暮らした、訪れた人たちによる作品がテーマとして展示されている。本当の所は分からないが、絵画からは「陽射しが強くて温暖そうな場所だな」と感じられた。序盤のクロード・モネの『ポール=ドモワの洞窟』や、ポール・シニャックの『ポルトリュー、グールヴロ』はそのような雰囲気が反映されていると思う。個人的には、アンリ・モレの『ロケルタの風景』がこの展示を通して最も好きだった。

展示中盤からは日本との関わりが見えてくる。ブルターニュの別荘で暮らしていたというパリ出身のアンリ・リヴィエールは浮世絵(ジャポニスム)に影響を受けたそうだ。そのため、ブルターニュの長閑な風景が描かれているが、タッチは何処となく我々に馴染みがある。この対比はとても興味深かった。また、日本の画家たちもこの地を訪れていたそうだ。1900年前後に極東からブルターニュへ至る旅路はどれだけ遠かっただろうか。そんな思いを馳せた。

国立西洋美術館
クロード・モネ / ポール=ドモワの洞窟
久米桂一郎 / 林檎拾い