入門編とは

R を使って「わかる」統計！合格！統計検定４級と題して記事を書いています。これらの記事は高校生で学ぶ記法などが出てきますので，中学生や昔数学を勉強してけれどずいぶん時間がたって何も覚えていないひとにとっては，ちょっと敷居が高いかもしれません。

そこで，入門編として，記事を書くことにしました。

統計学の目的

データを記述すること，これが統計学の目的のひとつです。

次の数値は2018年5月に測定された男子中学生の体重です（1年生，7名）。数値は，青山 (2022) の論文を参考に生成しています。2018年5月の段階では，私たちはまだコロナを経験していません。

体重は体重計で測定されます。なんらかの物差しで測った値のことを測定値といいます。測定値のあつまりをデータといいます。

次のデータは2020年5月に測定された中学生の体重です（男子生徒，1年生，5名）。2020年4月から5月にかけて，緊急事態宣言が発令され，学校は休校になっています。

学校がなければ，体育や部活動もありません。運動量は減るでしょう。食事はそのままで運動量が減れば，体重が増えることが予想できます。

それでは，2018年の体重のデータと2020年の体重のデータを見比べてください。2020年の体重のほうが2018年よりも重いといえるでしょうか。

データを眺めているだけでも，どちらの体重のほうが重いか，なんとなく印象を持つかもしれません。けれども，どのような印象をもつかはひとによってちがうでしょう。

統計学の目的のひとつには，データの縮約があります。縮約とは，データにある情報を数値で表現することを言います。具体的には，平均値，中央値があります。

平均値

平均値とは，すべての測定値を足し合わせ，測定値の数で割った値のことをいいます。式にすると次のように書けます。

$$
\frac{全ての測定値を足し合わせた値}{測定値の数}
$$

具体的な数字を入れてみましょう。コロナ前のデータで言えば，次のように書くことできます。

$$
\frac{34+37+38+45+47+52+61}{7}
$$

分子は7 個，測定値があり，それぞれを足し合わせています。分母は 7 です。

これを計算すると，$${44.85714 \cdots}$$ です。これを平均値といいます。

つぎに，コロナ禍のデータで言えば，平均値は次のように書くことができます。

$$
\frac{44+47+47+53+55}{5}
$$

これを計算すると$${49.2}$$です。

コロナ前の体重の平均値は$${44.85714 \cdots}$$ ，コロナ禍での体重の平均値は$${49.2}$$です。5キロちかいちがいがあります。やはり，コロナ禍では運動不足のため体重が増えてしまったのでしょうか。

このように平均値を算出することで，眺めているだけではわからなかったふたつのデータの特性を記述することができるようになります。統計学では，このように様々な指標を使ってデータを記述していくことをひとつの目的としています。

ところで平均値とは何か

平均値とは，すべての測定値を足し合わせ，測定値の数で割った値のことをいいます。けっきょくそれはどういう意味ですか？こう聞きたいひともいるでしょう。

名は体を表すといいますが，平均値という用語は，その意味をわかりやすく表現しています。平均値とは，平に均した値です。均すは「ならす」と読みます。でこぼこを埋めるという意味です。ですから，平に均すとは，平になるようにでこぼこをう埋めるという意味になります。

ここに，測定値，1, 2, 3, 4, 5 があります。棒グラフにしてみましょう。図１の左がそれです。わかりやすいようにタイル状にしています。

山のようになっていますが，このでこぼこをとりのきます。「ぼこ」となっているところに，「でこ」となっているところのタイルを移動させれば，平に均すことができます。平に均した後，棒グラフの長さはすべて 3 になっています。平均値は 3 です。

このように平均値とは，測定値を並べたときにできるでこぼこを均したら，どれくらいの値になるかを示した値だと言えます。

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統計検定４級合格を目指している方，一緒に勉強していきましょう。R を使って手をつかってデータを操作したり，実際に計算することを繰り返しながら，ひとつひとつ「わかった！」と思えるような記事を作っていきます。