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『局所性ジストニアを見つめる』  1. はじめに

はじめに

前回、7月に局所性ジストニアに関する取り組みや経過をざっくりとまとめた文章をnoteに投稿しました(https://note.com/ytatlab/n/ne460ab10872a)。その中では、私の局所性ジストニア的症状の変化をまとめ、最近読んだ局所性ジストニアに対する心理療法的なアプローチと自分の経験を比較しながら、アレクサンダーテクニークについて話をしました。それ以降、今年の夏は局所性ジストニアに関係する文献をさらに読み続けてきました。さすがに本一冊とそれに関係する論文を読んだくらいでは理解として十分ではないだろうと思ったからです。

特に、学術の世界で局所性ジストニアの何がどのように研究されているのかを私は何も知らないことに気が付きました。このままでは、アレクサンダーテクニークをそのような文脈でどのように位置付けるられるのかも全くわからないまま。局所性ジストニア的な症状を経験していて、アレクサンダーテクニークを学んでいる人間として、それはちょっともったいないんじゃないの!?というのが私の始めの問題意識でした。

いざ探してみると、様々な文献・研究論文に触れることができました。ただ、研究論文はお金の問題もあり、残念ながらオープンアクセスのものまでで限界でした。そのため、原論文まで辿れないことも多く、その点ではガッカリもしました。まぁ、仕方ない。参考文献を参照する際は、大変申し訳ないのですがこの点を了承いただければと思います。私自身で試すところまでは行っていないものの、「こういう取り組み方をしたらうまくいく」という提案をされている方も複数見つけ、そう言った方々の発表している書籍などにも目を通しました。また、自分の経過を振り返るため、アイルランドに来てから約3年分のノートも改めて確認しました。
以上の取り組みをまとめて、今回は『局所性ジストニアを見つめる』というタイトルで私が文献を読んで学んだ局所性ジストニアに関する知見と私の経験を投稿していくつもりです。その中でアレクサンダーテクニークの話もします。アレクサンダーテクニークについて話すのも好きなので。

色々と資料を読んでいると、局所性ジストニアの研究やその対処法は非常に多岐にわたることがわかりました。様々な方向からのアプローチがあります。しかしそれでもまだ、局所性ジストニアはその発生メカニズムも完全には理解されておらず、それ故に「これをすれば大丈夫」というスタンダードな対処法が確立されているわけではありません。現状は、引き金になる原因も様々考えられており、それぞれが自分にあった対処法を見つけていく必要があります。
今回はそういった様々な要因を私なりに整理しながら局所性ジストニアとアレクサンダーテクニークについて語っていくつもりです。アレクサンダーテクニークをベースにして局所性ジストニアに取り組んでいる方は実際に多くいらっしゃると思います。ですが、これら2つを合わせて経験したことを書いた文章というのは意外と少ないのではないかと思います。私の経験をお伝えするのが何かの役に立てば嬉しいです。

この文章を通して私がお伝えできるであろうことの1つは、「アレクサンダーテクニークは局所性ジストニアをカバーしうる」というメッセージです。局所性・動作特異性ジストニア予防・改善の希望の1つと言ってよいと思っています。ただ、今日提案されている様々なメソッドとは異なり、アレクサンダーテクニークは局所性ジストニアに特化したメソッドというわけではありません。しかし、だからと言って全く的外れなメソッドというわけでもない。他のメソッドと並行して取り組むことも可能です。
アレクサンダーテクニークの原理は常に「局所性」ではなく、「全体性」「総合性」を志向しています。「局所性ジストニア」にフォーカスしすぎないことで「局所性ジストニア」も改善される、というのが私の経験であり、アレクサンダーテクニークは「そういうもの」なのだということをお伝えできればと思っています。

そんな気持ちで、『局所性ジストニアを見つめる』というシリーズでしばらく連続で投稿していきます。お付き合いいただけると嬉しいです。

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