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『永遠の最強王者 ジャンボ鶴田 』読みました。


『永遠の最強王者 ジャンボ鶴田』


著者:
小佐野景浩


内容紹介
日本人レスラー最強説がいまだに名高い、ジャンボ鶴田評伝。

 

小学校の頃からプロレスは見ていた。

特に新日本プロレス派だった、と、いうこともないし、熱心なプロレスファンということもなかった。
新日本プロレスも全日本プロレスも見ていた。
見ていたはずなのに、ジャンボ鶴田の印象はほとんど無い。

記憶にあるのは、四天王プロレス(三沢光晴、川田利明、小橋建太、田上明)で、ジャンボ鶴田の次の世代を見ていたということなのだろう。

新日、全日問わず、日本のプロレスの歴史に触れていれば、伝え聞こえてくるのはジャンボ鶴田最強説だ。

元々バスケットをやっていたが、これではオリンピックには出れないと個人競技のアマレスに転向し、数ヶ月だか数年で本当にオリンピックに出場してしまった。

そんなエピソードからでも怪物性は伺いしれるし、長州力とシングルで対決したとき、60分フルで時間切れドローとなり、長州力は疲れて立ち上がれないのに、ジャンボ鶴田は普通に立ち上がって普通に帰って行った、とかそんな話も有名だ。

また、全日に入団するときに、団記者会見にて、「僕のようなでっかい体の人間が就職するのには、全日本プロレスが一番適した会社かなぁと思って。尊敬する馬場さんの会社を選びました」と発言したことが「全日本プロレスに就職します」と報道され、サラリーマンレスラーと揶揄されたのも有名な話だ。

伝え聞く話、そして本書を読んでいてジャンボ鶴田からは熱さというものを感じなかった。

ジャイアント馬場に次期エースとしてエリートコースを歩まされたのに原因のひとつがある。

いわゆる雑草魂というものがないのだ。

プロレスラーに憧れ、門を叩き、厳しい修業時代をすごし、いつかチャンピオンに、そんな熱をいっさい感じないのだ。

本書はそこにちゃんと言及していたのでちょっと驚いた。

一部抜粋してみよう。

 鶴田の試合は、相手のリードにしっかり対応して、そこからはみ出ることがなかった。よく言えば安心して観ていられるし、アベレージ以上の内容になるが、一手先がわからないハラハラ感や緊張感はなく、巧みにこなしている感が出てしまっていた。
 その一方で垣間見えたのはプライドの高さだ。頭を掻きむしって「オーッ!」と怒りを表すパフォーマンス、頭を抱えながら痛がる姿、身体をヒクヒクと痙攣させてダメージを表現する姿は、「実はこんなに余裕があるんだよ」ということを暗にアピールしているように見えたのである。これではファンの心は掴めない。


これに関しては、近い話を読んだ記憶がある。(ザ・グレート・カブキ自伝で読んだ記憶があったけど、調べてみたらその記述が見つけられなかったので違う本かも)

また渕正信の証言。

「俺の記憶では、馬場さんがみんなのいる前で猪木さんの名前を出して、“悲壮感、必死さがない。技術的にすごいものを持っているのに表現力が駄目なんだ。アマレス・スタイルでちゃんと極めれば相手が動けないのはわかるんだけども、表情が全然ない。コブラツイストにしてもお前は手足も長いし、ピシッと決まったら説得力もあるがずなのに顔が駄目。猪木みたいに必死に締めなきゃ力強さ、迫力がないんだよ”って鶴田さんに言っていたことがあるね」

ジャンボ鶴田の本だからといって、いいところばかりじゃなく、ダメなところはちゃんとダメと書く。
決してよいしょ本ではない。

本書は信用できる本じゃないだろうか?

次期エースとして活躍するも、タイトル戦などではあと一歩で勝てず”善戦マン”と汚名を着せられてしまう。

それでも”日本人レスラー最強説”と言われる理由。
それも本書にはキッチリ記されている。

昭和のプロレスを知らない、今のプロレスファンこそ読むべき一冊ではないだろうか。








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