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敢えて案件を潰す、という知恵(1)

自分はデザイン会社の営業兼プランナー。
会社の売上を伸ばすため、新規案件の獲得が何よりも必要だ。

どっこい、今のご時世、どこもかしこも緊縮ムード。
景気回復どこ吹く風か、日々の生活で手一杯。
大手企業も、値上げをしなけりゃ旗艦ブランドですら守れない。そんなときにクライアントへ日参しようが、新たな案件なんぞ出てくる筈もなく。

だから営業は足…ではなく「知恵」を使う。

メーカーにいたときの経験で、バブル景気の頃から思考がストップしている、いわゆる「足で稼ぐ」タイプの営業が鬱陶しくて、嫌いだった。

忙しいから会えない、と言えば飛び込みで現れて、余計な時間を取られるのだから、たまったもんじゃない。
百歩譲って案件があったとしても、そんな古い体質の会社に仕事など頼みたくない。

言ってしまえば、それも経験から来る「知恵」
転職ばかりして、ずいぶんと遠回りしたけれど、そういった経験が今になって役立つのだから、人生ってのはわからない。

そんな中、今日は小さな玩具メーカーから頂戴した、新規案件の打ち合わせに行ってきた。
その結果、受ける予定だった案件をまるまる潰してきた。

たぶん、それだけを聞いたら、気の短いウチの社長でなくても「何をしとんのや‼」とぶちギレ金剛!!だろう。

いやいや!待たれよ皆の衆!!
ちゃんと勝算があるからこそ、敢えて潰してきた、とすればどうだろう?

今回の案件は、既存商品のパッケージリニューアル。
そのメーカーが展開している旗艦商品のパッケージがあまりに古臭いので、見た目を変えたい、というご相談だ。

今回、ご連絡いただいたご担当者は、あらかじめ資料を用意してくださっており、今回のリニューアルに伴い、どういった要素が重要であるかがすぐわかるようになっていた。

要項を把握し、サンプルを目の前にしたとき、ふと思った。

……今回の件、もっと大事な部分があるんじゃないか?と。

(つづく)

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