こと葉たち マリちゃん放課後の詩




「しんり!」
「しんり!」
「しんり!」

男子が今日も
はやし立ててきた

ほんとは、

「真理」
(まり)
なのに

イッキ!
イッキ!
みたいに
からかってきた

家では
お父さんが
神父をしていて
日曜日
手伝わされる
教会に
クラスメイトの
真哉君のお母さんが
手伝いに来ていて
なぜか
ふたりは
ツヤツヤしていて
ニコニコしてるのに
家での
食事の時は
いつも
なぜか
怒ってるみたいだから

なんか
どうしたらいいか
わかんなくなって

猫飼いたいといったら
また怒ってきて

シンジャの人と
ほかのシュウハの人の
わるぐちを
ずっと言ってて

水たまりのブランコで
ズッコケて
泥だらけで
帰っても
やっぱり怒られて

仲良しの和子ちゃんに
シカトされてたの
思い出したら
ごはんのおチャワン
持ちながら
ポロリと
ナミダが
出ちゃったのにつけ
泣くんじゃありませんと
やっぱり怒られて

担任の
薬師丸先生が
なんとなく
心配してくれて
放課後
お話してくれて

その後
図書室の
こころの本を
読んでいたら
たまたま

〘あまりに
ショックが大きいと
受け取りきれず、
ジブンジシンが
コワレるのを防ぐため
人はイチジテキにでも
気持ちにフタをする〙

あって

したら

その晩

夢に

アオっ鼻の
ネグセだらけの
アカオニさんが
トラがらの
ネマキのまま

ウィースッ
って
出てきて

こっち向いて
ニカッて

「泣いていいよ」

って
言ってくれた

人から、
ううん、
鬼からも
「泣いていいよ」

言われたのは
たぶん
モノゴコロ
ついてから
生まれて
はじめてで

それからと
いうもの

学校帰りの道にある
ブタの鼻みたいな
コンクリートのフタが
パカッと
開いて
また
アカオニさんが

「泣いていいよ」

「かなしい時は
かなしくていいんだよ」

「きもち、
消さなくてもいいんだよ」

って

笑って
出てきてくれれば
いいなぁ

真理は
気取ったカミサマなんかより
気さくなアカオニさんの方が
ずっとずっと
よっぽど
よっぽど
好きだよなぁ



 思ってます。 

そっちの
テンシって、
どんな感じ
ですか?

と、

テンゴクの
お姉ちゃんに

手紙を
書きたい気分だなぁ

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