ワクチンの職域接種で思い出したアメリカ社会

知人で職域接種でコロナのワクチンを打つ人がちらほら出てきて、2009~2010年にアメリカに住んでいた時のことを思い出した。

当時、新型インフルエンザが流行していて、アメリカではH1N1と呼ばれていた。夫は某アイビーリーグの大学に所属していて、その大学の保健センター的なところで素早くワクチンが用意され、私のような家族も含めて、通常のインフル用とH1N1用と両方のワクチンを打ってもらえた。たしか無料で、たて続けに2回打ったんじゃなかったかな。

日本もアメリカも国家による社会保障が薄く、パワフルな中間集団はそれをカバーしてくれるので所属している人はその恩恵を受けられる、というところがあるんだろうな。ヨーロッパだとまた違うんだろうか。こういうのは格差を広げて固定させる仕組みで、本来はよくないことだと思う。ワクチンはさっさと打たないといけないので、今から社会の仕組みを変えるわけにもいかず仕方ないけど。

アイビーリーグの大学はアメリカでも有数のパワフルな中間集団といえるのだろう。ワクチン以外にも、例えば大学に所属している本人ではなくその家族である私まで、大学のIDを発行してもらえて、wifiを私のパソコンでも繋いでもらえたりとか、図書館やジムなども自由に使えたり、帯同家族のための英会話講座があったりとか。日本の大学ならそこまでやらないような、家族まとめて面倒みますよ的なところがあった。

逆に、自治体などの外国人向けのサービスとかプログラムは全然知らなかったし調べようという発想もなかった。大学のある市は豊かな自治体ではなかったはずなので実際にほとんどなかったのかも。

大学独自のパトカーやらゴミ収集車まであった。そういう普通は行政が用意するようなサービスまで、自治体の税収が少なくてサービスの質が低いとなると、お金持ちの私的団体は自前で用意してしまう。大学のゴミ収集車は見た目もきれいで分別リサイクルもしているけど、自治体のはしてない、みたいな違いがあるのは、日本社会で育った者としてはかなりの衝撃だった。

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