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ChatGPTとCopilotに「トロッコ問題」は解決できるか?

 トロッコ問題は有名な思考実験なので聞いたことがある人は多いかもしれません。様々なレパートリーがありますが、主に知られているのは次のようなシチュエーションだと思います。

(a) 線路を走っていたトロッコが制御不能になった。このままでは、前方の作業員5人が轢き殺されてしまう。
 この時、たまたまAは線路の分岐器のすぐ側にいた。Aがトロッコの進路を切り替えれば5人は確実に助かる。しかしその別路線でもBが1人で作業しており、5人の代わりにBがトロッコに轢かれて確実に死ぬ。Aはトロッコを別路線に引き込むべきか?

Wikipediaから引用

 どちらに路線にも人がいてこのままでは必ず犠牲者が出てしまう。まさに究極の決断ですね。
 数に重きを置くなら、1人を犠牲に……と考えてしまいそうになります。ですが、その1人が自分の家族や恋人だったら? そう単純にはいきません。そもそも命を数で比較すること自体、間違っているのかもしれません。
 AIはどのような解決策を見出すのでしょうか。まずはChatGPTに訊いてみます。

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 トロッコ問題でどちらも犠牲にならない方法は何が考えられるでしょう。

 ChatGPT
 トロッコ問題(Trolley problem)は、倫理学や道徳哲学の分野でよく議論される問題の一つです。一般的に、トロッコが軌道上を進んでおり、その先には5人の人が立っており、トロッコを別の軌道に切り替えることで5人を救うことができますが、その先には1人の人が立っており、その人を犠牲にすることになります。この問題に対するさまざまな考え方がありますが、どちらも犠牲にならない解決策として考えられるものはいくつかあります。

1. **トロッコを停止させる**: 最も明確な解決策は、トロッコを停止させることです。これによって、どの人も犠牲にならずに済みます。

2. **全員を救う方法の探求**: 別の方法としては、5人と1人の両方を救う方法を模索することが挙げられます。例えば、トロッコが分岐する前に5人全員を避難させる方法や、トロッコの速度を下げて全員を救う時間を作る方法が考えられます。

3. **犠牲を分担する**: もう一つのアプローチは、5人と1人の間で犠牲を分け合うことです。例えば、トロッコを分岐させて1人を犠牲にする代わりに、5人全員が少しずつ傷を負うことを選択するという方法です。これは、全員が少しの不利益を受けることで、誰もが生存する可能性が高まるという考え方です。

4. **第三者の介入**: 他の解決策としては、第三者が介入して状況を変えることが考えられます。例えば、トロッコを停止させるように遠隔操作できるシステムを用意する、あるいはトロッコの軌道を変更するための自動化された装置を設置するなどが挙げられます。

これらの解決策は、トロッコ問題に対するさまざまな視点を示していますが、倫理的な議論や実際の状況では、より複雑な要素や制約が存在する場合もあります。

 まず1ですが、制御不能なんだから停止しようにもできない。

 2も微妙ですね。速度のコントロールはできませんし、分岐する前にどうやって助けるのかの具体的な明示がない。

 3はどちらも犠牲にしないという前提から外れているので論外。

 4は短時間でそんなシステムを用意するのは厳しいんじゃないだろうか。ただ、現実的に可能かどうかを考えないのであればありかなぁ。

 今度はCopilotに訊いてみます。会話スタイルは「より厳密に」にしました。



トロッコ問題は、倫理学の一部である道徳的ジレンマを示すためのシナリオです。どちらの選択肢も犠牲を伴うため、完全に犠牲を避ける方法は基本的に存在しません。しかし、以下のような解決策が考えられるかもしれません:

トロッコの速度を減速させる:トロッコの速度を減速させて停止させることができれば、どちらのグループも犠牲にならずに済むかもしれません。
適切な警告を発する:可能であれば、危険が迫っている人々に警告を発して、彼らが安全な場所に移動する時間を与えることができます。
トロッコの方向を変える:トロッコの進行方向を変えて、人々がいない方向に向かうようにすることも一つの方法です。

これらの解決策は理想的なもので、現実の状況では必ずしも適用できるわけではありません。トロッコ問題は、完全な解決策がない難しい道徳的ジレンマを示しています。それぞれの選択がもたらす結果を考慮に入れ、最善と思われる行動を選択することが求められます。この問題は、自動運転車などの技術が進化するにつれて、ますます重要になってきています。自動運転車が事故を避けるためにどのような行動を取るべきか、という問題は現代のトロッコ問題とも言えます。この問題に対する明確な答えはなく、倫理的な議論が必要です。

 減速させるという点は共通していますね。Copilotは「警告する」と「方向を変える」という別の案を出してきました。警告するはまあいいとして、トロッコの進行方向を人のいないところに変えるとなると、脱線させるしかないでしょう。
 
 僕の個人的な策としては、路線を変えてトロッコから降り、作業員のところまで全速力で移動してBを線路から離すとかですかね。
 ただ、これはAがトロッコよりも速く移動しなければならないので物理的に厳しい。
 やはりトロッコをどうにかして減速させないことには両方助けるのは困難ですね。
 やはりAIでも明確な答えを出すのはできないようです。いやぁ、本当に難しい。

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