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『短編』始まりの陽 第1回 /全5回

 静まり返った道、今日始まりの陽の光がアスファルトに吸い込まれていくみたいな朝だった。

 おぼろげな記憶の中で、彼が帰ってきた音がした。時計は見てないけど、きっと深夜二時とか三時だと思う。うつらうつらしながら子供の未来(みく)を気にしたら彼女はすやすやと小さな寝息をたててぐっすりと寝ているみたいだった。起き上がって彼におかえりとでも言ってあげたかったけど、そこまでの余裕が私にはなかった。彼は彼で毎日遅くまで仕事して、早くに家を出ていく。
 だけど私も、毎日未来と過ごし、ほとんど社会から離れてしまったこの閉塞感という檻の中で生活してくのはそれなりのストレスを感じていたのだった。彼も頑張ってるから私も頑張らなくちゃいけない。そう自分に言い聞かせて毎日生活している。だからごめんね、と彼に心の中で言った。許してね、とも言ってまた目を閉じた。

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