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医療系資格者がトレーニング指導資格を取得するメリット

プロスポーツ現場でトレーナーをしたり、鍼灸整骨院でアドバイザーをしたり、若手トレーナー向けに交流会を主宰したりしている、竹田祐平です。

本日の現場からは【医療系資格者がトレーニング指導資格を取得するメリット】と題してお話します。

ここ最近のSNSを見ていると、
〝スポーツトレーナー〟や〝トレーナー〟の呼称についての議論や、〝パーソナルトレーナー〟による怪我の発生事案についての議論がなされているのを目にします。

私も自分なりの最適解を持って活動していますが、SNS上で繰り広げられる議論を垣間みて、自分なりに置き換えたり、新たな気づきを得ることもあります。

今回は、その議論に一石を投じるのではなく、医療系資格者(私は鍼灸師)がトレーニング指導資格(CSCS)を取得して気づいたメリットについて書いていきます。

取得した理由はとっても不純


私は、鍼灸師、柔道整復師、理学療法士、アスレティックトレーナーなどの知識について学べる大学で、鍼灸を専門に学びました。
その中で、アスレティックトレーナーの養成カリキュラムを受けたり、トレーニング指導をメインとしている先生に師事していたこともあり、それらについても〝それなり〟に知識やスキルを有していたと思っていました。

その理由は、師事していた先生に手取り足取り教えてもらい、現場にも連れて行ってもらいながら指導を受けた事、また、トレーニング指導する上での解剖学や生理学などは鍼灸やそれらを学ぶ延長線にあることなので、カバー出来ると考えていたからです。

そんな事もあり、トレーニング資格をわざわざ取得する必要はないと考えていました。

その後も、トレーニング資格を取得する事なく、様々な現場で鍼灸師として活動する傍ら、トレーニング指導をする機会が多くあったことも事実です。

しかし、あるきっかけでトレーニング資格を取得することになりました。

それは、過去に所属したチームでメディカルS&C両方を担うことになった時のことでした。

当時は、分業制が主だったのですが、私が命じられたのは、その両方をやって下さいという依頼でした。

自分の中では、トレーニング指導資格は有していないが〝それなり〟にやってきたし、出来ると思っていたので引き受けました。

しかし、トレーニング指導資格のみのトレーニング指導者からすると、トレーニング指導資格を有していない、鍼灸師の私の事は信頼も信用も出来なかったと思います。

そんなこんなで、この先もトレーニング指導を続けるのであれば、トレーニング指導資格を取れよ。と言わんばかりの圧を感じるようになりました。

そもそも、CSCSなんて大学を卒業してある程度勉強すれば簡単に取得できる資格だし、今更新たに学べることなんて無いし、時間とお金は他のところに投下した方が良いと勝手に思い込んでいました。

しかし、その圧と妬みのような感情に半ば反抗するような形でCSCSを取得しました。

CSCS取得の過程での学び


不純な理由で取得することになりましたが、その過程では多くの学びがありました。
(もっと早くその知識とスキルを学び、資格を取得しておけば良かったと思った)

実際に勉強してみると、これは知っている、これは分かる。という事もありましたが、
あーなるほどな!とか、点と点が繋がるような事も多々ありました。

医療系資格の延長線でなんとなく考えていたことや〝それなり〟にやっていた事を、トレーニングの専門家として正しい知識の裏付けのもと指導するのではその深みが全く違うと思いました。

また、医療系資格のトレーナーとトレーニング資格を有している人との大きな違いは、危機管理にあると思っています。

医療系資格のトレーナーでトレーニング指導なるものをしている人は、恐らくHow-toを中心にインプットしており、一見するとトレーニング資格者と大差がないように見えます。

しかしながら、危機管理の部分では大きな違いがあると感じています。

カラーやセーフティバーの適切な使用、動線を意識した機器の配置、メニュー構成やその順番など。

これらは、トレーニング指導の知識とスキルを有した人なら間違いなく大切にしていることの一つだと思います。

しかし、トレーニング資格を有していない医療系資格者のトレーナーによるトレーニング指導を見ていると、その部分が疎かになっていることがあると感じています。

恐らく当の本人は、トレーニングを指導する事=トレーニング指導者の仕事と思っているのでしょう。

しかし、トレーニング指導者は安全かつ適切にトレーニング指導することが重要な仕事の一つです。

その点でも、医療系資格者がトレーニングについて学ぶことで、防げる事故を未然に防ぐ確率を上げることができると思っています。
これは、医療系資格者がトレーニングの知識やスキルを学ぶ上で大きなメリットになるはずです。

互いの考えや思いを理解する


分業制が進むことについては、その専門性がより発揮でき、選手や目の前の人により良いものを提供できるのは良い事だと思います。

しかしながら、それぞれの専門家がカバーする範囲はオーバーラップする部分があり、きっぱりと線引きできるものでもないと思っています。

分業制にして、そのオーバーラップする部分の引き継ぎが上手くいかず、苦戦したり揉めているシーンを過去に見てきました。

大抵そんな時の議論は、お互いがお互いの主張を突き通そうとして自分の資格に対する知識を振り回している印象です。

そんな不毛な争いを解消するためにも、互いの理解が必要になると思っています。
その為に、医療系資格者ができることはトレーニング指導について学ぶことであり、資格を取得すれば尚良いと思います。

その学びの中で新たな気づきがあるはずだし、トレーニング指導者の目線を持つことができます。

これがあるだけで、オーバーラップする部分の引き継ぎや思いの共有もスムーズになるはずです。

これも、医療系資格者がトレーニングについて学ぶ大きなメリットだと思います。

雇用する側の切実な思い


プロスポーツ現場では、運営側の体制も整いつつあり、多くのチームではそれぞれの専門家を雇用するケースが増えてきました。

セラピスト:鍼灸師、柔道整復師、理学療法士、あん摩マッサージ指圧師など
アスレティックトレーナー:AT、ATCなど
S&C:CSCS、CPT、JATIなど

しかし、このような環境を整えられているチームはトップカテゴリーであって、アマチュアではなかなか整備が行き届いていないのも事実です。

雇用する側は、その専門性について詳しい知識を有していないことが多く、ある程度でなんでも出来る所謂〝ジェネラリスト〟であれば、少し極端な表現ですが、雇用にかける費用を1/2に抑えることが出来ます。

ここの問題を解決するには、双方の努力と進歩が必要な訳ですが、そんな状況でも、出来る限りその専門的な知識とスキルを身につける努力が必要だと思います。

まとめ


兎にも角にも、医療系資格者がトレーニング指導をする際は、やはりそれ相応の知識やスキルを学ぶ必要があると思っています。
もちろん〝資格〟を有していても、その点においては不十分な人もいるかもしれないので、その辺りの見極めは大切になるでしょう。

何にせよ、学ぶ事をやめない姿勢は大切だと思っています。


というわけで、
【医療系資格者がトレーニング指導資格を取得するメリット】と題して、お話させて頂きました。

本日も、最後まで読んで頂きありがとうございました。
気づきのキッカケになった方は、いいねやフォロー、シェアなどを宜しくお願いします。

それでは、この後も心身ともに充実した時間をお過ごしください。

以上、現場の竹田祐平からでした。


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