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母の短歌3:沖縄の低くたれたる雲の海に 太鼓は我を つきぬけてゆく

若き日に 熱砂 ねっしゃの上を 
はだしにて 走りし海の
空 まぶしかりし
 

岩にね  よどみにはまり
ゆく先の 大海原 おおうなばら
あをむきて まぶし
 

玄海 げんかいの荒き風波 ふうう
夕凪 ゆうなぎは 南の情熱 ねつ
つくりあげしか


海と空その空間は
われの住む  ぞくと清とを
分けて やさしく


沖縄の低く たれたる
雲の海に
太鼓 たいこは我を つきぬけて ゆく
 


 
(木下タカ作)

(木下タカの短歌作品14点は長野ゆうほ著「地球自転の音のない音」の小説の中に組み込まれてあります。)

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