見出し画像

【感想】コンビニ人間

タイトルは聞いたことがあったが読んだのは今回が初めてだった。表紙の絵をなぜこんなに不気味なものにしているのかと思っていたけど、読んでみると納得した。すごく不気味な話だった。

不気味なのは主人公の考え方だが、『異常者』と完全に分離できるものでもない、私たちにも一部そういう考え方があるのではないかと思えてしまうのが不気味で、読了後は何とも居心地の悪い気分になった。

余談だが、この本は人から面白いと勧められて読んだ。誰だよ、勧めたやつ。良作ではあるけど、私は人に勧めたくはない。

私にとって一番ショックだったのは、主人公の女性が

  • 未婚

  • 恋愛経験なし

  • アルバイト

の3つ揃ってるからヤバい、ヤバいけどみんな表立って言わないだけだ、と言われていたこと。あー、私、2つ揃っちゃってるわ。

周囲の人と雑談すると「良い人居ないの?」とよく聞かれる。「恋愛したくない」と言うと「きっとすぐに良い人が現れるよ」と言われる。

いや別に、良い人が現れても恋愛はしたくないんだけどな…
と思うけど、あまり言っても伝わらないので「良い人、現れますかね?」なんて適当に流すことが多い。

私は恋愛感情が分からないから恋愛に対する熱量が周囲と違うのだなとは思っていた。「みんな恋愛話好きなんだな」って思ってたんだけど、そうじゃなかったのかな。結婚しないなんて人としてヤバいから頑張った方が良いよという励ましの話だったのかな。

仕事についても、私は今の仕事がしたいからアルバイトであることを受け入れているだけで、正社員かアルバイトかを選んだわけではなくて…というのも主人公と似ている。似てしまっている。
主人公は18年も働いていたのであれば、コンビニの社員になれた(推薦された)のではないかとも思うけど、何年も続ければ正社員になれるかというとそうではないというのも知っているし、18年も勤めたのに最後の日はあっさりと終わってしまったという描写も理解できてしまった。

本の最後の解説の、五感の描写についての説明が面白かったとか、現代なら主人公はカウンセリングに行けばもう少し何とかなるんじゃないかとか、もう少し感想を述べようかと思ったけど、何だか気持ちが落ち込んできたのでここで終わりにしたい。

この記事が参加している募集

読書感想文