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フリーランスと不安

6月に入ると、コロナの影響でずっと止まっていた案件が再開したり、新規案件の連絡をいただけるようになった。とはいえ、コロナ前と比べ仕事量はまだ5分の1にも満たず、毎朝保育園に子どもを送り出す時には少し悶々とした気分になる。

京都市では、保育園のコロナ対策として、3/5〜6/14の間は登園を自粛するよう保護者に協力を依頼してきた。さらに、コロナで登園自粛した場合は、その日数分の保育料を保護者に返金するという。

だから、私と同様、これを機に改めて保育料の日割り計算をしたという保護者、特にフリーランスや自営業の方は多いと思う(京都市では保育料は各家庭の世帯年収によって定められる)
実際私も、「休んだ分の返金」があるのなら尚更、といった納得感とともに、潔く子どもを休ませることができた。

登園は6月から再開している。が、この時に改めて目の当たりにした1日の保育料というのが、ずっと頭の中に鎮座していて、何かにつけて意識するようになっている。良い点は、子どもを預かってもらっている時間をもっと有効に使わなくては、という思いが強くなったこと(入園当初や長いお休みの後などは毎度思うのだが、登園するのが日常になっていくとその感覚は大抵薄れてしまう)。厄介なのが、今日は1日の保育料分の仕事をできるのか?という問いが毎朝の送り時につきまとうことである。

先月で、フリーランスになって1年半が経った。

大学を卒業し、5つの会社を経験したが、12年間ずっと会社員として過ごしてきたので、フリーランスの不安定さにはまだ慣れていない部分がある。仕事量と給料が毎月変動するのは理解しているが、やはりここまで激減するとソワソワせずにいられない。

Nさんという起業家の知人がいる。彼は数社の会社経営に加えて、デジタルメディアのディレクションやコンサルなどをやっている。大企業との1000万を超えるような案件を次々にとってきたりとバリバリやっているタイプなのだが、仕事がない時は1日中家でゲームをやったり漫画を読んだり、ふらっとタイに遊びに行ったりすることもある。

私が独立したての頃、Nさんに言われて印象に残っている言葉がある。
「フリーランスに向いているのは不安とうまく付き合える人」
仕事がない時、不安なことを不安に思っても仕方ないしね、と。

これは「そこにただある真実だけを見つめることが大事」といったヨガの教えにも通ずるものがあるように思って、私はとてもしっくりきている。そうなのだ。その通りなのだ。でも意識しておかないと、不安にズルズル引きづりこまれてしまうから注意しなければならない。

私は常々写真家から影響を受けることが多いのだが、コロナ自粛中にも2人の写真家の取り組みが気持ちを前向きにさせてくれた。

写真家の浅田政志さんと千倉志野さんだ。

浅田さんは自粛期間中に家族写真の重要性を改めて感じ、自宅で家族写真を毎日撮影することを決め、1日1枚SNSに投稿。緊急事態宣言が解かれるまで48日間投稿を続けた。

千倉さんは子どもと一緒に近所の多摩川で過ごした50日間を記録し、毎日SNSに投稿。「外から物を持ち込まない」というルールを決めて、多摩川にあるものだけでどんな遊びができるかを親子で模索した。

コロナ自粛中、撮影仕事は壊滅的だったはず。その不安な時間を、楽しい挑戦に変えていく。いや、彼らはその時間を不安とも捉えていなかったのかもしれない。

不安との付き合い方にはこれからも意識して取り組んでいかなければと思う。

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