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【随筆】杉並第二小学校新旧校舎で感涙

 2月初旬、一通のメールが届きました。
母校である杉並第二小学校の同窓会事務局からでした。
何年か前の同窓会に参加し、メールを登録していました。

 2024年3月2日(土)に新校舎の内覧会と、旧校舎取り壊しに伴うペイントイベントを行うと書かれていました。

 私は杉並第二小学校が大好きで、卒業から40年以上たった今でもその頃のことがまるで昨日のことのように思い出されます。それだけ幸せな小学校時代を過ごすことができたのでしょう。両親に感謝しなければいけません。

 当日になり、早速学校へと向かいました。
まずは新校舎へ。ここが小学校⁉ と思うほど、近代的な建物がそこにありました。

中に入ると教室から備品まで、一つ一つのものがピカピカと光っているように見えて、在校生は毎日学校に行くのが楽しくてしょうがないのではないかと思いました。
そして体育館へ。舞台の脇に、手作りの校歌の歌詞が掲げてありました。

 自分たちもかつて作ったような記憶がかすかに蘇ります。
現在の在校生が新しい体育館のために作ったものだろうと思い、写真に収めました。

 撮った画像をよく見ると、最後に「第九十三回卒業生作」の文字が。
今年で創立140周年のはず。じゃあ93回卒業生は47年前……
自分たちじゃないか!!!
私は校歌のボードの下に駆け寄りました。

 「かつて作ったような記憶」ではなく、自分たちが作ったもの、そのものだったのです!
 よく見ると、歌詞の周りに卒業生一人一人の名前が刻まれています。
懐かしい同級生の名前の数々。一気にみんなの表情が浮かびました。
そして、私の名前もありました!
 間違いなく、自分たちが47年前に制作したものでした。

 新しい校舎の体育館に、47年前の卒業作品を掲げてくれるなんて、やっぱり杉並第二小学校は最高の小学校だと思いました。

 感激が収まらないまま旧校舎へ。
 取り壊される旧校舎に感謝のペイントをするというイベントでした。旧校舎は僕たちが過ごした校舎です。今でもしっかりと建っていて、僕を迎えてくれました。


 各教室にはそれぞれの教室の在校生がペイントしてあり、卒業生は主に職員室、校長室にペイントします。
 早速置いてあったポスカを持って校長室へ。

 さすがに扉と看板は新しくなっていました。
中に入り、大好きだった先生への感謝の気持ちを思いっきり書きました。

 4年生の一年間だけ担任だったその先生は、全員に親身になって接してくれて、みんなからも大人気でした。
 卒業式の日に、列になって卒業式があった体育館から出てきた時、声を掛けていただき、僕はそれに頷くことしかできませんでした。
 もっと話せばよかった、せめて感謝の気持ちを伝えればよかったとその後何度も思いました。
 卒業してからでも、訪ねていけば良かったのです。でも、僕にはそういう行動力はありませんでした。今でもずっと心残りでした。

 今、どこで何をされているかわかりませんが、今でも感謝の気持ちは変わりません。当時一緒に過ごした校舎に、感謝の気持ちを綴るだけしかできませんでしたが、今後しっかり生きていき、いつかきっとお目にかかって直接感謝の気持ちを伝えたいと思います。

 ペイントをした後、涙がこみ上げてきました。
周囲には在校生たちもたくさん来ていました。僕たちの過ごした校舎はなくなってしまいますが、杉並第二小学校は確実に新しい世代に引き継がれているのを実感しました。

 旧正門を出ました。
「何やってんだよ、試合始まるぞ!!」
 野球帽をかぶった友達の声がどこからか聞こえてきました。
 もう一度校庭に向かうと、当時のみんなの笑顔が目に浮かびます。
 私は勢いよく校庭へと続く坂を駆け下りました。

 ありがとう!! 杉並第二小学校。
 私の母校は最高の母校です。
 

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