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組織開発にUXデザインを取り入れると、企業価値の向上にもつながるのでは?という話

はじめに

こんにちは、アドウェイズの遠藤です。

社会人ならば誰しも、仕事中に「ストレス」を感じたことがあると思います(もちろん私も数えきれないほどあります!)。

要因はさまざまあるかと思いますが、見えないところで間接的に仕事の工数を圧迫し、ストレスの要因につながる厄介なものも存在します。

それは例えば、勤怠管理や稟議の承認システムなど、会社が社員向けに提供するツールの「使い心地」や、システムトラブルが起こったときに問い合わせる窓口の「整備状況(フロー)」などが該当します。今回の記事では、それらを仮に「社内機能」と呼んでいきます。

その「社内機能」は、昨今、多くの企業でDX化が進んでいることで、今までアナログで行われていたものがシステム化され、事務手間を削減する仕組みが構築されています。

しかし、スムーズに業務が回るようになった一方で、使いづらい「社内機能」が新しく導入されたり、はるか過去に採用されたシステムが居座ったりすることで、ストレスを感じることもあるのではないでしょうか。

どうして、これらのツールって、どれも操作方法が厄介なのでしょう。社内にはたくさんのツールが存在し、かつそれらがうまく連携されていないことも多いため「打刻したいのにパスワードエラーが発生して出勤できない」「エラーをどこに問い合わせていいかわからない」などの事象などが起こってしまい、二度手間ならぬ、三度手間がかかり業務に支障が出たことは、私もこれまで何度あったかはわかりません。

この図は、社員のとある1日の仕事内容をまとめたものです。こうして見ると「実務以外の仕事」に対し、日々大きなエネルギーを使い、ストレスにつながっていることがわかりますね(この人はだいぶおっちょこちょいな節がありますが)。

そういえば、以前とある調査で、アドウェイズ社員に対し「社内機能」や「働く環境」に対しての聞き取りを行ったことがありました。

結果は残念ながら「整備されて使いやすくなれば、もっと仕事に集中できるかも」「誰にどのような手順で質問すればいいのか判断できず、その分時間が取られる」「対応業務を行う総務も手一杯!」などの、ネガティブな意見が多く見られました。これらの意見を改めて見ると、誰も幸せにならない環境が醸成されていますね……。

今の時代、各サービスにおいて、UX(ユーザーエクスペリエンス)デザインは、最も大切にされる要素の一つです。直感的でわかりやすいシステムを作るため、細部に至るまでとても力が入れられています。

しかし、その反対に、社員が利用するためだけに作られた「社内機能」は、前述の通り、あまり整備されていない印象です。

たくさんのマニュアル、乱雑な規定、多くの承認フロー、各ツールの連携……。世の中では「UXが重要だ!」と大いに叫ばれているのにも関わらず、社内機能をより使いやすくするための動きは、ちょっと疎かになっている気がするんです。

そして、そんなことを考えている私も、UXデザイナーのはしくれの一人。これまで、自分が働く会社の社内機能に対してあまりアクションを取っていなかったことに対し、ちょっと後ろめたさを感じています(じくじたる思い!)。

少し考えただけでこれだけの「実務以外の仕事」がある

企業価値の向上が叫ばれているこんな世の中で

話は変わりますが、ここ数年「企業価値の向上」という言葉を耳にすることが増えていますね。

世の中に対して大きなインパクトを届けるためには、経済的な価値はもちろん、ESG、SDGs、DXなどの新しい取り組みを通じ「継続的な社会的価値」を作ることも大切である! それが「企業価値の向上」につながるんだ! という一連の話です

私が属するインターネット広告業界でも、数年前までは、不正に広告収入を得る悪質な手法「アドフラウド」が横行していました。しかし昨今は、規制が課せられたり、各社がこれまでとは異なる方法で広告を届ける仕組みを開発したりと、ユーザーに本質的な価値を届けるために業界全体が変わりつつあります。

では、働く社員にとっての、自社の「企業価値」とはなんでしょうか。

一般的には、事業の独自性や、企業が社会に与えるインパクトが、社員が思う自社の「企業価値」につながると考えられます。他には、会社が提供する環境も価値の一つ。その中には福利厚生や給与、人間関係なども含まれます。

でもよく考えると、企業の売り上げや、その価値を生み出し続けているのは、なんと言おうとも、働く社員たちなんです。ESGや、SDGs、DXなどの新しい取り組みを進めて「企業価値の向上」を一方的に目指す前に、その社員の働く環境を、きちんと整備することも、大切だと思うんですよね。

社内機能が使いやすいように整備され、より働きやすい仕組みが構築されれば、社員のストレスが大いに減り、時間を有効的に活用することができる。そうすると、仕事に集中することができ、新しい価値をたくさん生み出せる。この一連のフローが、自然に企業価値を向上させていく……。

私たちは毎日こんなに、もったいないことをしているんです!

なぜ、我々はこれまでこんな簡単なことに気づかなかったのでしょうか。

実際に「新プロジェクト」として動きはじめました

ここまで、あたかも自分が考えたかのようにばーっと喋ってしまいましたが、実を言うと、このスキームを考えたのは私ではなく、アドウェイズ社長のやましょーさんです

実は大学でUXデザインを学んでいたやましょーさん

やましょーさんは、こういった背景を鑑み、「社員の働く体験」にも、事業や制度と同じように投資をすべきである。会社機能にUXデザインを活用し、滑らかに利用できることが「この会社で働きたい」と社員に思われるファクターのひとつになる、と考え、社員の働き方を改善するプロジェクトをアドウェイズでスタートしたのでした。さすが社長です!(プロジェクトチームには私も参加しています!)。

やましょーさんは頻繁に「会社や仕組みをデザインする」と話します

やましょーさんのことがもっと知りたい方こちら↓

はじめに取り掛かった社内機能の整備は、バラバラだった「SaaS」の連携。

数年前までアドウェイズでは、100個ほどの「SaaS」が導入されていました。しかし、そのほとんどが上手く連携されていなかったため、言うまでもなく、社員にとっては使いにくい状況が続いていたのです。そのため、一つのログインで多くのサービスがそのまま利用できるよう最適化を行ったり、データ連携の拡充を図っていきました。

また、手続きや問い合わせなどに社員が時間を取られないよう、Slackに各部門ごとの「おしえて窓口」を設置し、誰でも簡単に質問ができる仕組みを導入しました。

Slackでは、質問のデータを収集し、機械学習に落とし込むことも可能なため、将来的には自動的に社員の質問に答えられるシステムを開発していく予定だそうです(すごい)。

私の動きと、ちょっとした告知

冒頭の通り、このスキームを知った時、私はこれまで会社の社内機能に対してアクションを取っていなかったことに対し、少し後ろめたさを感じました。

環境を変えられる余地は充分ありましたし、また自分も当事者であったのにも関わらず、改善しようという価値観に気づくことができなかったんです。当時は外部に向けた価値の提供に、精一杯だったんですよね。

気持ちを改めた今は、自分の持っているスキルを、いかにプロジェクトに落とし込めるかを考え、プランを練って進めています。具体的にどんなことに取り組んで、どのような成果が出たのかは、また後半でお話ししたいと思います(長くなりそうなので)。

ただ、ひとつお伝えしておくと、UXデザインを活用した社内機能の構築は、思っていたよりもとても楽しい仕事でした。クライアントワークとはまた違った形で、デザイナーが大いに活躍できる場所なんです。

そのため、これは告知なのですが、プロジェクトをもっと早く進めていくためにも、一緒に仕事をしてくれる方を、随時募集しております。社外からも、もちろん社内からも。ぜひ、お気軽にご連絡ください〜!

それではまた、後編でお会いしましょう。

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