道端で私達に語りかける記憶
フィレンツェ、シエナ県公認ガイドの佐藤由佳です。
今日は先日のブログでふれた、記憶の日に関連するモニュメントについて。
フィレンツェだけでなく、他のヨーロッパの街でも見かける、石畳にはめられた小さなプレート。
これらはストルパーシュタイン: つまづきの石と呼ばれ、主にナチスの迫害にあった人々が住んでいた家の前にあります。隠れ住んでいた人もしくは監禁されていた人たちです。プレートの表面には住んでいた人の名前、生年月日、連行された日、収容所、死亡日などが記されています。
この取り組みはドイツのアーティスト、ギュンター・デムニッヒが1992年にケルンで、ナチスの荒波に飲み込まれた人々の足跡を残すために始めました。
被害者はユダヤ人の他にロマのような民族、社会的マイノリティー、ナチスに対抗した人たちも含まれます。
「つまづき」と呼ばれるのは、偶然プレートを見かけた人が迫害にあった人々がそこにいたことに想いを馳せるられるように、という願いを込めてです。ドイツ語でつまづくという単語は「偶然出くわす」という意味もあります。イタリア語のinciamparsi(つまづく)も同じです。
つまづきの石はほとんどのヨーロッパの国で今でも設置され続け、フィレンツェの街中にもたくさんあります。
もし街中を散策中にこれらのプレートを見かけたら、そこで激動の時代に生きた人達の事を思い出してみて下さい。
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