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妊婦さんへの処方薬② ~ストレスを力に変える具体的方法~

前回のnoteで、ストレスホルモンが体に害になるか良い効果をもたらすかは
“ストレスの捉え方”次第であるというお話をしました。

そうは言っても、イライラすることがあると
“ストレスは体に良いものなんだー”と言う知識なんて
どこかに行ってしまいますよね。
今回は、具体的にストレスを力に変えるための考え方について
お話したいと思います。
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<目次>
1 すべてはストレスへの思い込み
2 そもそもストレスとは

  今日の投稿はここから
   ↓
3 強いストレスを力に変える方法
4 人助けをすることはで、ストレスから身を守る
5 適度なストレスは、胎児のレジリエンスを上げる
6 それでもダメな時は、逃げる

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3 強いストレスを力に変える方法

ストレスを感じたときには、「成長思考」「チャレンジ反応」を持つことで、コルチゾールはDHEAに変化することが分かっています。

つまり、「このストレスを乗り越えて、自分は成長できるんだ!」というマインドセットを持つことです。

そうは言っても、「そんなこと出来るの、根っからのポジティブ人間なんじゃない?」「私みたいに自己肯定感の低い人間には無理よ」と思うかもしれません。

安心してください。物事をポジティブにとらえる力は、鍛えることが出来ます。


ポジティブさは、訓練です。

私も、根の部分は内向的な超ネガティブ人間です。
今でも疲れていたりすると、その根っこの部分が顔を覗かせそうになります。

ここでは、ストレスを力に変えるための「マインドセット介入」の方法を2つ紹介します。

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【1】アリア・クラム博士の3ステップ
コロンビア大学・ビジネススクールのアリア・クラム博士が提唱する方法。強いストレスを感じた時、その場で対処できるすることができます。

<STEP1>
  まずはストレスが自分にかかっていることを客観的に認識する
  この時、体がどのような反応をするかに注目してください。
  胃の辺りがキュッとする。心臓がドキドキしてきた。
  呼吸が浅く、早くなってきた…等。

<STEP2>
  自分が今脅かされている、大事なものは何かを考える
  そして、何故それが大事なのかを考えてください。

<STEP3>
  そのストレスのエネルギーで、自分は何が出来るかを考える
  ストレスで湧き上がってきた力を、その対処に向けて下さい。
  自分のやるべき行動が見えてきます。

こうして具体的行動にまで移すことが出来れば、それが自身となり、マインドセットが変わります。

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【2】誰かの「挫折と成功のストーリー」を、自分に置き換えてみる
少し準備が要りますが、あなたのマインドセットを効果的に変え、長期的な効果をもたらしてくれます。

<STEP1>
       他人の「挫折と成功の体験談」を探してくる
  自分とどこか似た状況にある人の話が良いでしょう。
  有名人の話でも、知人の話でも、どこかの自己啓発本でも構いません。

<STEP2>
  そのストーリーの主人公を自分に置き換えて、書きだす
  「〇〇で超ストレスで、めっちゃ大変だったけど、
  〇〇を経て今は〇〇になった!」

<STEP3>
  出来れば、誰かに伝える
  そのストーリーを実際人に伝える事で、
  人間には「一貫性の原理」(自分が以前行った事と
  その後の行動に一貫性を保とうとする心理状態)が強く働き、
  マインドセットはさらに強固なものになります。
  「そんなの恥ずかしくて出来ないよ!」と言う人は、
  ストーリーを書きだす所まででも、効果はあるようです。
  ちなみに私も人に言えるタイプではありません。

ちなみにこれは、スタンフォード大学の心理学者グレゴリー・ウォルトン博士「社会的帰属」の研究で大学1年生を対象とし、実際驚くべき効果を上げたマインドセット介入実験を応用した方法です。
確りとした科学的根拠に基づいているので、効果も期待できます。

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ここまで、積極的にマインドセットを変える2つの方法を紹介しました。

でも、そんな事言ったってどうにもならないほどイライラしてしまう事もありますよね。
特に人は脳の前頭葉が疲れていると、物事を客観的に捉えて分析なんて冷静にできなくなってしまいます。(前頭葉の体力の回復方法は、また今度記事にします)

そんな時は、とりあえず「わー!!!今私めっちゃストレス溜まってる!!私成長してまうやん!!」とあえてテンション高く楽しそうに叫んでみるのも一つの手のようです。

・・・頭おかしいんちゃう?と思わないで、試してみるのもありですよ。

行動は人の心に影響します。
実際に、さっきより不安が減っているのが実感できると思います。

4 人助けをすることで、ストレスから身を守る

次はちょっと力を使いますが、ストレスによるマイナスの影響を減らすこの方法も良いかもしれません。

それは、人助けをしてみることです。

 「自分がしんどい時に、誰かを助けるだなんて」と思うかもしれません。
  でも実際、人は人助けをしている時に「オキシトシン」という幸せホルモンが分泌されることが分かっています。これにより、ストレスによるマイナスの影響を減らし、心を落ち着かせ、冷静になる事ができるのです。

  実際に、阪神大震災が起きたとき、ボランティア活動を行った被災者の方が、その後のPTSDの発生率が低かったことが分かっています。
  私も実際、3.11の震災後、現地で母子保健の活動に関わっていましたが、津波で家族を亡くされたお母さん達が、地元のためにボランティアをする事で、だんだんと表情が柔らかくなり、活力を取り戻す過程を目にすることがありました。

5 妊娠中のストレスは、胎児のレジリエンスを上げることも

 レジリエンスとは、「逆境に立ち向かう力」の事を言います。
 ジョンズ・ホブキンス大学の研究では、妊娠中に大きなストレスを受けた女性が生んだ赤ちゃん達は、脳の発達が強く、レジリエンスが高かったと言う事が分かっています。
これは、胎内で母親のストレスホルモンにさらされる事によって、胎児の発達中の神経がストレスへの対応の仕方を覚えた結果なのだとか。

 ネット等で「妊娠中の母親のストレスは胎児に伝わる」と言う記事を見て、不安になった方も多いかもしれません。しかし、これらの研究事例はラットの実験に関するものがほとんどで、人間が対象ではありません。このような実験で用いられるストレスとは、例えばラットを身動きでき無い程小さい容器に閉じ込めたり、溺れそうになるまで無理やり泳がされるといった事で与えられます。超非人道的なストレスです。

 人間を対象とした研究事例では、妊娠中にテロ事件に遭遇したり、住む家を失ったりするなどの重度のストレスを受けた場合には、早産や低出生体重等のリスクが高まる事が分かっています。しかし、日常的な些細な問題には、そのような傾向は見られなかったそうです。

 つまり、妊娠中はどんなストレスも体に悪いとは思わない方が良いという事です。ストレスを避けようとする行動(=全てのストレスは悪いと決めつける事)が、逆に周囲との軋轢を生んだり、自分や周囲のイライラの原因となってしまっては元も子もありません。

5 それでもダメな時は


 母体や胎児に悪影響を及ぼすレベルのストレスを受けたときには、そのストレスから逃げる方法を考え、具体的に行動を起こすしかありません。

例えばストレスを感じたときに
[動機が激しい。お腹が痛くなってきた。出血がある]等の身体的な変化が現れ[母体と赤ちゃんの命]が危険にさらされている]
と判断される場合は、すぐに病院に電話する、実際に駆け込むなどの対応を取ってください。

働く妊婦さんで、職を失いそうと言った不利益扱いといった不法行為を受けている場合には
労働局や組合、民間のマタハラ被害者支援団体、弁護士への相談という具体的行動を起こすことをお薦めします。

いかがでしたでしょうか。
ストレスは、戦うものでは無く、手を取り合うもの。
みなさんに、より良い素敵な未来が訪れますように!

<本日の参考書>
より深くストレスとの付き合い方を知りたい方は、こちらの本をおススメします。
<ケリー・マクゴニカル スタンフォードのストレスを力に変える教科書>


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