毎朝のちょっとした悩みがある。

それはスキンケアが終わったあと
コンタクトレンズを入れるとき
毎回と言っていいほどレンズが裏返しになって
指先でひっくり返してからじゃないと
目に入れられないこと。

些細なことだけれど意外とイラっとする。

メガネを外してぼやけた視界で
コンタクトレンズの縁がほんのちょっと
そり返っているかを判断する時間と
ちまちまとひっくり返す行為。

それらが毎朝のちょっとしたストレスだった。

でも今日は
コンタクトレンズを指に付けた段階でわかった。

今日はいけると。

なんと珍しく両目とも裏返しにならず
一発で入られた。

ものすんごく些細なことだけれど
朝からちょっと感動。

(おぉ・・・)

クリアになった視界で鏡を眺めて
2ミリくらい微笑んだ。

たったそれだけでの事だけど
今日はなんだか良いことがありそうな予感がした。

我ながら幸福度のハードルがとっても低い。

こんな日の私は
いつも気に留めない小さな変化に
喜びを感じられる。

1週間ほど前にほんの少し切り過ぎた前髪が
自分の満足するちょうどいい長さに戻ったのも

パキラの新芽がまわりの葉よりも
大きく茎と葉を伸ばしたことも

なんなら
アイブロウで眉毛を上手く描けたことにすら
喜びを感じてしまう。

”今日は良い事があるかもしれない”

って思っていたけれど


もしかしたら今日は
些細なことにも喜べる心の余裕がある日
なのかもしれない。

いつもならバタバタと支度をして
時間ギリギリで家を飛び出るのに
今日は支度を早々に済ませて
家を出るまでに10分だけ時間が余った。

それもまた嬉しい出来事。

時間の余裕は心の余裕と比例する。

これは私だけかもしれないけれど

仕事が詰まってる時ほど
細かいところに気が回らず


逆に仕事に余裕があるほうが
一つ一つの仕事に集中できて
なんなら後回しになっていることに
手を付けられる。

私にとって余裕ってそういうもの。

せっかちさんには
理解していただけないかもしれないけれど。

電車の中でもパソコンと睨めっこをする人や
誰かとずーっとLINEのやり取りをしていて
忙しなく指を動かし続ける女子高生は
きっとそんなせっかちさん。

(いや、決めつけは良くないけど)

1ミリも時間を無駄にしたくない！
という気持ちもとっても分かる。

でもたまにはスマホを置いて
電車の音と揺れに身を委ねながら
車窓を眺めるのも悪くないけどな、と私は思う。

・・・といいつつ、他でもない私も
朝の電車内では最近の日課である語学勉強に
時間を当てているのだけれど。

代わりに最近は
お昼休憩をぼんやり過ごすようにしている。

そうじゃなきゃ私の中で帳尻が合わなくなるから。

”余裕”を無駄な時間と呼ぶかどうかは人それぞれ。

わたしには必要不可欠な
無駄な時間のおかげで
今日も良い日になっていく。

由佳