おじいちゃん、ありがとう。

2022年9月21日(水)。
祖父の葬儀が無事に終わりました。
97歳でした。

私はこの日初めて、お通夜・お葬式というものが、こんなにも感謝の気持ちに溢れるものであることを知りました。

家族葬

昨今の流れとして、家族葬が多くなってきましたね。
祖父の場合も家族葬で行うと、前々から決めてはいました。
しかし、田舎ならではの『ご近所付き合い』があります。
どなたまでお知らせすべきか、大変迷いました。

ご近所さんも高齢化が進んでおり、わざわざご足労をおかけするのも申し訳ない気持ちもありつつ、なぜ知らせてくれなかったのかと悲しまれる方もいらっしゃるとお聞きします。

散々悩んだ挙句、とても仲の良かった方にだけお伝えさせて頂きました。
ですが、蓋を開けてみればたくさんのご近所の方、並びにグランドゴルフのお仲間さん達が、わざわざ祖父に会いに来てくださいました。

私は受付に立っていたので、来ていただいた方々のお話されていることが、ちらほら耳に入ってきました。
するとそこには、孫の知らない1人の男性としての祖父の顔があったことを知りました。

祖父から教えてもらったこと

私が幼い時の記憶では、そんなに祖父と話をした事が無かったと思います。
ですが、今回のお通夜・お葬式の2日間で、祖父からたくさんの事を教えてもらいました。

お葬式の時、友人代表でグランドゴルフ仲間さんのお一人が、スピーチをしてくださいました。
その方も、祖父よりは若いですけど世間一般的には高齢者さん。
言葉がなかなか出てこない場面こそちらほらありましたが、この方のスピーチで私は堰を切ったように涙が止まりませんでした。

この方は、祖父にグランドゴルフの基礎から向き合い方まで、たくさんの事を教えて頂いて大変感謝しておりますと、何度もスピーチの中で祖父への感謝の気持ちを伝えてくださいました。
その言葉ひとつひとつがテンプレート化されたものではなく、全てリアルで心のこもったものでした。

祖父は、グランドゴルフでの試合で明らかにもう勝つ事が出来ない状況においても、最後の一打まで丁寧にやり遂げていたそう。
そして、お友達が何か道具を買いに行きたいけど、何を買っていいか分からないと相談したら祖父は一緒にお買い物へ行き、自分が知っていることなら何でも教えてくれたそうです。
最年長ながらも優勝回数はズバ抜けて多かった祖父ですが、何一つ威張る事なく、お友達を思い、誰よりもグランドゴルフを楽しんでいたようです。

そんな祖父の姿は、孫の私には分からないこと。
この方が教えてくださらなければ、一生知らなかった祖父の姿。
私は、この方のスピーチが終わった後の親族へお辞儀に対して、深々と感謝の意を伝えました。

この歳になって、最後の方は施設や病院に入っていたため、顔を出すこともなかったにも関わらず、たくさんの方が最期のお別れをしに来てくださって、私たちにたくさんの思い出話をしてくださるお友達が居たという祖父を、改めて尊敬しました。
この日私は祖父から、
『最後まで手を抜かず、丁寧に誠実にやり抜くこと』
『感謝の気持ちを忘れない』
この2つを教えてもらいました。

いいお葬式だったね

今まで生きてきた中で、お葬式に出たことは数回しかありません。
ですが初めて、心から『いいお葬式だったね』と思いました。

正直、お葬式というと親戚が何年振りに集まって、興味のない話を聞かされたり、こっちの近況を根掘り葉掘り聞かれる、とても窮屈な時間だと思ってました。
そこに加えて、着慣れない喪服。
礼儀正しくして居なきゃ、仏様に失礼のない所作をしなきゃってことばかりが、頭の中で渦巻いてて、とにかく早く終わって欲しいことにしか思ってなかったです。

ですが、今回は私も歳を重ねて、大人になりました。
祖父との最期の時間を後悔することなく、過ごそうと決めていました。
お焼香の際の何度もお辞儀をしなきゃいけない作法とか、はっきり言って何回誰に頭を下げたらいいだか…って思いながら今まではやってました。

ですが、今回は本当にお辞儀をしたい、来て頂いた方に感謝の気持ちを伝えたいとの気持ちから自然とお辞儀をしてました。
心の底から、あの場に居た皆さん、祖父に関わってくださった皆さんに、ありがとうございますという気持ちでいっぱいでした。

そして、冷たくなってしまった祖父に何度も触れては、その度に今までの感謝を伝えました。
幼かった私は、旅行に連れて行ってもらった、美味しいモノをたくさん食べさせてくれた、という事実だけしか覚えておりません。
しかし、その事に対してだけでも十分に感謝の気持ちでいっぱいなのです。

泣かないと思ってた

97歳だし、もういつ逝ってもおかしくないと覚悟は出来ていたつもりでした。
亡くなったという知らせを聞いた時も、泣かなかったです。

ですが、やはり棺に入ってお花に囲まれた姿を見たら、寂しくなりました。
そして私の母(祖父からして娘)が、棺の中の祖父に対して号泣しながら、ありがとうと伝えていました。
その姿は、私の母ではなく、ひとりの娘として父に最期の別れを告げていました。
そんな母をこれを書きながら思い出してしまい、私はまた大号泣しています。

祖父の時に、こんなにも寂しいと感じたんです。
両親の時には、私はどうなってしまうのだろうかと、今から心配です。
もう誰も私の前から、居なくなってほしくないって思ってしまいます。
私はもう誰も冷静に見送れそうにないので、先に逝かせて欲しいとさえ思ってしまいます。

後悔しないためにも、今からでも遅くないです。
とことん、親孝行しなきゃと心に刻みました。

【おじいちゃん、今まで本当にありがとう。おばあちゃんに会えた?2人で上から見ててね。】

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