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子どもたちの間にある語彙の格差

ゴールデンウィークに「どこかに連れてってー」とねだられたお母さんが、お財布をのぞき込んでいるシーン
これを文章化する課題を小学4年生にさせた。

お財布をのぞき込んでいる

これはシーンそのままを文章化しただけ。

お金が足りるかどうか心配した

お。いい線行ってるね。意味はくみ取れている

ここで「財布に相談した」という慣用表現を持ち出せるか。ここが子供によって大きく違う。もちろん、たまたまこの言葉だけを知らなかったという場合もあるだろう。それを考慮しても、このような表現をタイミングよく出せる子と出せない子の差は確実にある。

「財布に相談するという表現があるんだよ」と話すと、

「習ってない」「教わってない」

と言い張る子どももいる。もう、根本的に学びに対する姿勢が間違っている。本来、言葉は習うものじゃない。大人が、他人が使っているのを聞いて「なるほど、そういう言い方をするんだ。面白い。自分も機会があったら使ってみよう」となるもの。

話を戻して、子どもたちの間にある語彙の格差はなぜ生じるか。それはもう、環境だ。身近な大人がそういう言葉を使わなければ、そういう言葉を使えるようにはならない。

例えば、私の両親は、付け足し言葉をよく使っていた。

驚き桃の木山椒の木
あたりき車力 車引き
結構毛だらけ猫灰だらけ

だから、こういう言葉はほかの家でも当たり前に使っているものだと思い込んでいた。ところが、友だちは「何それ?」という反応だし、若い先生は「ずいぶん珍しい言い方を知っているんだね」と言うしで、驚いたものだ。

付け足し言葉や慣用表現は、あるシチュエーションがあって、そこに乗っかって覚えると覚えやすい。言葉単体では頭に入らない。
だから、慣用句や四字熟語を、機械的に五十音順や試験に出る順で丸暗記しようという試みは、実に不毛だ。

今の、小学生の親世代は慣用表現や付け足し言葉を知らないかもしれない。だとしたら、ちょっと危機感を感じた方がいいかも。

おススメの本。リズミカルで楽しい言葉たち。ぜひ、親子で楽しんで。


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