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親が生きている間に実家を片付ける時に、親から取り上げているもの

歳をとると、肉体的にも精神的にも力がなくなり、物が片付けられなくなる。この前の祝日「我が家では国旗は出さなかったけど、国旗の描かれたお皿があって、それを玄関に飾っていた」という話になり(すでに汗)あの辺にあるはずだと、探した食器棚の下に、箱に入ったままの頂き物の食器を複数見つけてしまった。

「これいるの?」

「いるかどうか、今は決められない。」

多分、今後も決められないだろう。これらを捨てるかどうか決めるのは、本人ではない気がする。それはずっと先のことだし、きっと、私も物を捨てる力がなくなったころだ。

私に限らず、実家の片付け問題は日本の大きな問題になっていて、雑誌などでも特集が組まれている。仕事をしながら親の亡き後の実家を片付けるのは難しく、相続税を払い、そして固定資産税を払い続けながら、空き家になった実家を、何年もかけて片付けをし、結局、売れそうな物も売れなくなったころ、ギブアップして業者に頼み、100万円! こんなことならもっと早く片付けていれば……というのが一般的らしい。

私もそんな記事をいくつも読んだので、実家に帰るたびに、少しずつ片付けをしていた。もちろん、長生き前提なので、使うものまで捨てないし、買い替えた方が安全なものもたくさんある。

ただ、歩けなくなった父にはもちろん、腰が悪くなった母にとって、膝の位置から下のもの、肩の位置から上のものには、手が届かないのだ。なので、その位置には防災対策も兼ねて、何も置かない方がいいと、私は思っている。

母は、人形が大好きなので、家のあちこちに人形がある。私は人形が嫌いだけど、母が自分でも作ったものも多く、母は、捨てる気なんて全くない。だが、それらがことごとく、個別のガラスケースに入っているのだ。

せめて、下に耐震マットを敷こうと、和風のガラスケースを持ち上げたところ、なんと、扉が外れて落ちて割れてしまった。このケースは、なんと50年物だった。ちょうど父も母も不在の時だったので、黙って片付けて、掃除機もかけて、綺麗にした。人形が割れなくてよかった。そして、帰宅した母に謝って、ケースを弁償する話をした。ただ、今度買うのは、アクリルケースにしたいと提案した。今は和風のアクリルケースもあるんだよね。

そんな感じで、あそこはこうした方がいい、ここはああした方がいいと、どんどん提案して、OKはきちんともらって片付けている。

大きくて重たいものは破棄して、軽くて動かせるものにしたり。
もう使わないものは、施設に寄付をしたり。

そうやって、どんどん片付けていくと、部屋は私の好みになっていく。ふと、これでいいのか?という思いに至った。

私と母は、人形だけじゃなく、いろいろな好みが違う。
私は黒やブルーが好きだけど、母はピンクが好き。
私は無地が好きだけど、母はレース柄や花柄が好き。
そう思って、古くてガタガタしていたアコーディオンカーテンも、工事をして、軽いものに替えた時、ピンクの花柄にした。
が、ピンクの花柄にすりゃあいいってもんじゃないよね。

私だって、ブルーが好きだけど、ブルーならなんでもいいってわけじゃないし。そんなのに替えられてしまった部屋に、心地よくなんて住めないよ。

何かを決定する時、了承を得るだけじゃなくて、本人に選ばせることが必要な気がする。それは本当に大変なことだけど、そこは骨を折らないと。

私は、両親が亡くなった時に、片付けやすい家を作りたいわけじゃない。
これから長生きする中、好きなものに囲まれて、でも、危なくないような家にするお手伝いをしたいだけなんだ。

ネットでバンバン注文して、私が実家にいる時にどんどん届くようにしてって感じで進めていた実家の片付けだけど、母と少しずつ、でも楽しんで片付けていこうと思いなおした。

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