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舞台「パタリロ!」を見に行ったら2.5次元舞台の興行としての強さに圧倒されて笑えなかった件

2.5次元系の舞台ってみなさん見に行ったりしますか?
私はもう普段は全然行かないです。1回取材で「ALL OUT!」を見たぐらい。「テニミュ」も「セラミュ」も関西出身だけど宝塚の「ベルばら」すらない。

だけどこれだけはどうしても見に行きたかったと言う舞台があって。
「パタリロ!〜スターダスト計画〜」見に行ってきました。

(※この記事書いている間に出演者の逮捕報道が出たので、タイアップとか結構ストップしてしまっているけれど、公開します。無論、性犯罪は許すべき点ではないし、警察が介入してますから然るべき判断が下されてちゃんと罪を償うべきと思います。何よりこの『パタリロ!』の舞台版の作品自体には罪はない。)

いやほんとまずあのまず前提として2.5次元舞台のこと「あんなの舞台じゃない」と見もしないで言っている人にちょくちょく会うんですけど、とりあえず「わかりやすく目立っていて売れているように見える」から僻んでるんですよね多分。だよねー新劇系って助成金中毒だもんね。でも実際に利益上がってるかなんかわかんないよ?
はっきり言って舞台行かない外野からしたら2.5次元だろうと新劇だろうと宝塚だろうと劇団四季だろうとカリフォルニアロールと寿司と手巻き寿司とちらし寿司ぐらいの違いで、どうせ全部酢飯どころか米だからなぐらいの印象でしかないでしかないと思ってるから(※個人の見解)米同士で戦っても仕方ないんだけど「インスタ映えもちゃんと狙って、見て来て買ってSNSにアップしてクチコミ投稿してもらえるところまでプロモーションもかけて狙ってるカリフォルニアロール」に「広報宣伝と言えるものは昔作ったオールドスタイルなホームページにとりあえずSNSアカウントもってるけど運用してないわかる人にはわかると言い切る寿司屋」が一方的に僻んでるような状況だなと。
別に見た上での好きとか嫌いとかはどうでもいいんですけど、「見てもないのに『あんなの芝居じゃない』と一方的にいう人がいる」のは解せないからとりあえず別に語れるほどは見に行ってないけど行かないのも良くないしちょうど好きな作品だったからホイホイ釣られていきましたよパタリロ。

私の前提スペック:「パタリロ!」は中高生からの読者。「パタリロ西遊記」は2005年の本放送時に見ていた。基本原作&原作者魔夜峰央先生ファン。
2000年代初頭にオタク文化にハマったので(海外ファンタジーとかコバルト文庫とか少女漫画など)「ジャンル違いだし腐女子ではないけどマリエさんの連載わかりみが深すぎる」


☆2.5次元舞台 一方的に言われがちポイント☆

注意※これらのポイントは私の周りでよく聞く小劇場や新劇界隈の演劇人で、おそらく2.5次元舞台に足を運んだことのないみなさまが受け取られてそのまま呟かれてるネタのうち気になってる点を個人の独断と偏見によりツッコミをひたすら入れて行くのであくまで個人の見解です!

● 役者が下手
ていうかもうこれ言いがかりやん最初から。まず見てから判断してます?
まあ確かに、「舞台でちゃんと見えるための技術的指導」というのを何かしらの形でちゃんと受けた人からすると、基本技術の鍛錬が少ないままにいきなりデビュー!現場!みたいな流れの役者さんもいるんだろうけど、演技下手な役者って活動ジャンル問わず一定数生息してると思うよ!そもそもそれぐらいのキャリアの若い人たちのみならず新入社員世代の人たちにプロ即戦力を求めるなー!!!・・・まあ私はうまいとか下手とかよりも「仕事に対して不誠実」な人はどんなジャンルでもいやだなあと思うけれど。

● 原作のアニメだとか漫画があるんだからお客も来るに決まってるし売れるに決まってる。
→売りやすくするために原作ありきのもの選んでるのと、例えば出版社からすると「舞台1本打つのとテレビCM1本打つのとだったらどっちが費用がかかるかとか、作ってからの展開がどれぐらいできるのかを考えたら舞台打つ方が断然広告費として安いわ」って利害が一致してるだけのビジネスじゃないんですか?
原作ありきでごちゃごちゃいうならシェイクスピアとかイプセンとか清水邦夫とかやってないんですよね???
あと原作ファンこそ正直シビアだと思う。それ古典劇でも同じじゃないの?
というのも、実は私「パタリロ!」の1作目は見に行っていなくて、というのもやっぱり第1報「え、できんの・・・?(ちなみに妹は「バンコランはまぁ様一択」と主張)」→第2報キャスト発表「お、おう、いけそうなかんじ特にパタリロ」→ビジュアル公開「ビジュアルはかなり作り込まれていてキャスティングもバッチリ似合ってる。っていうかパタリロやすげえ。『何この安っぽいコス写真は!!!』みたいな気分にはならなかったから恐らく大丈夫なんだろう・・・けど!やっぱり舞台になってるのが想像つかなくてそのリスクはとれない・・・」で観に行かなかったんです。で、第1弾の評判もすごく良かったしDVD見た妹から「とりあえずバンコランのテーマが頭から離れへん」だの「地球上の人間で一番パタリロに近い加藤諒」という感想がいきなり届いたのでこれでようやく安心して見に行けたというか・・・。

ていうか原作つきが有利って思ってる人は「漫画の実写映画発表になった時に全員が全員諸手を挙げて歓迎してると思うなら大間違いやぞ」と言いたい・・・・・・。「銀魂」や「ハガレン」のキャスト発表された時の大騒ぎっぷりよ。
映像は最終的にはCGで編集すればなんとななるかもしれないけど、舞台は映像を後ろに流すにしても結局は役者の肉弾戦だからね!?!?映像や漫画で向いている表現と舞台で向いている表現は全く別物なのでそこにある程度の説得力がないと原作ファンじゃなく役者ファンで来場のお客様も普通に離れるからね。まず表現としては結構ハイリスクハイリターンだと思いますよ!?一歩間違えたらコスプレヒーローショーどまりよ!?
ちなみに以前見に行った『ALL OUT!』についてはアクロバットがうまいキャストがいたので「おおお〜体が効いてる〜〜単純にああいう動きができるっていうのは役者さんの今後の展開としてジャンル問わず可能性が広がるなあ」と見てました。でもまあパタリロは「漫画の絵そのものが小道具」って発想はなかったしあのヘリコプターの小道具は爆笑。ひどい(褒めてる)

どちらにせよ「これ、どう表現するんだろう?」というのを「うっわー!こう来たか!」という想像力を超える創造力で観客の目玉を騙して裏切らないと作品として納得してもらえないんだから、原作ありも完全新作オリジナル作品と比べて「事前予習簡単、途中でわかんなくなっても検索したらある程度自力で戻ってこれる」というメリットはありつつも、「下手すりゃ期待値マイナスから入って期待値マイナス下げ止まらずに終了」というデメリットもあるなと。

● 物販でグッズとか売って稼いでる。公演の本分は芝居そのもの!
わかったもう儲かってるのが羨ましいんですね!!!これビジネスだから!キャッシュポイント増やすことの何が悪いのかを逆に教えてくれ!!

個人の見解だけどグッズって運営側が「これこの値段で売ってもどうせオタクども買うだろwww」みたいな態度取った瞬間そういう匂いにはみんな敏感だからあっても買わないと思う。ていうかわざわざ時間もチケット代も交通費も予定も全部調整して来てくれてる人になんでそんな上から目線で考えられるのか。お客様のおかげでリアルに食わせてもらっていただいてるんだから感謝しかない。

中高時代に結構どハマりしていたジャンルにはぼちぼち課金してたオタクとしては「気持ちよくお金を出せるかどうか、商品として魅力的か」というのは結構重要。そういう意味では「B3サイズ無線綴じフルカラー表紙PP加工付きパンフレット2,500円」は「安い!!!」と即決。だってこのサイズの同人誌だったらもっと値段する(←発想)あと単純に内容構成めっちゃ参考になる(資料目的)
あとTシャツ、ブロマイド、クリアファイルとかは「ごくごく一般的な観光地お土産・メジャーアーティストでも展開してるグッズ」と思えばそんなに目くじら立てるような種類でも価格帯でも全くないし、あと多分大量に撮影してる写真をオッケー出てる範囲内でなんらかの形で使いたい(供養)って意味ならアザーカットとかCDジャケットでもある話だよね!ていうか宝塚でもキャトルでブロマイド売ってるやん全体的に2.5次元舞台はNGで宝塚はOKって何そのダブルバインド。それこそ2.5の走りですよね宝塚。
もちろんグッズ展開しやすいジャンルしにくいジャンルあるけど、そのジャンルで見合った展開していることには全く問題ないじゃない。戦い方は考えよう。

★作っただけでは終わらないパタリロ

むしろこの2次展開の方がさすがだと思った。

舞台「パタリロ!」★スターダスト計画★×カラオケの鉄人×dアニメストアコラボキャンペーン(※現在は終了)

まず、舞台が終わってからというのは「記録映像でぐらいしかなんとかならない」ところに昨今の配信とちゃんとタッグを組んでるわけですよ。スマホ対応!
冷静に考えて、実家暮らしでも一人暮らしでも意外と「円盤観れる環境」の人って実は少ないのでは?ちなみに内閣府の調査だと二人以上世帯だとざっくり7割は何かしらの再生機器を所有している(2017年調査)らしいけど裏を返せば「仮に実家暮らしでも3割は持ってないし、最近のパソコンってCDスロット付いてないよね

やれ「CDやDVDが売れない」というけれど、「だって再生する機械持ってないもん」と言われてしまえばそれまでで、「だったらみんなが再生できるものにこっちが商品展開を合わせる」ということですよ。意外と従前の展開のままで時代の流れ気にしてない人多いと思うぞ世間の商品開発チーム。
パソコンは持ってなかったり家族共用だから・・・って人も流石にこの客層だとスマホは大体持ってるだろう。だったらスマホで最適化。

加えて、このキャンペーンの開催期間も「東京公演初日〜大阪公演終了後1ヶ月」と「『公演期間中に』前回公演写真のあるコラボルームでコラボドリンクがあって他にも特典ついてくる」と舞台の観劇前でも観劇後でもどちらにせよ高い熱量を持ったテンションのままで一気に楽しめるという熱量一点集中度がすごい。単純にカラ鉄行く一般来場客も「あ、ここでパタリロ配信してるんだ!登録してるから観てみようかな」となるしライト層への宣伝もできると。
しかもdアニメストア目線で考えると目的は明らかに「サイトに会員登録させること」だからそれにしても派手な花火を打ち上げてるもんだ・・・。

もちろんここまで大々的に展開できるのは「原作ありき」というのはもちろん強い。そうじゃないとなかなかできないことも確かにたくさんある。いろんなところが噛み合って「じゃあこうできるんじゃないか」の可能性を広げられるということは圧倒的な強み。

別にインディー的な小劇場や、正統派のストリートプレイが悪いわけでも嫌いなわけでもないけど、舞台だけでなく総合的に収益を上げるためにどういう工夫をしてるかとか考えるなら、できるできない・採用するしないは別にして「ああ、こういう風にやってるんだ」というのを一度見たらいいのにとつくづく思う。「どうせお客入るんだろ」じゃなくて「お客様に来ていただくために課金も工夫も展開も色々してる」の!何もしないでキャスティングと原作だけで来てると思うなら大間違いだよ!

以上、中学生の時に「パパンがパン」と呟いたら乗っかってくれたのは世界史の先生オンリーだったのに、会場でクックロビン音頭をまさか10ン年後に客席のみんなで踊れるとは思ってなかったオタクの戯言でした。おパタの新刊多分父が買ってるから実家帰ったら読もう。




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